オルタナティブ・ブログ > Mostly Harmless >

IT技術についてのトレンドや、ベンダーの戦略についての考察などを書いていきます。

ピンチをチャンスに! ~今こそDXを進めるとき

»

外へは出られないし、テレビもネットも重苦しいニュースばかりです。こういうときは、無理にでも景気の良い話題を探しましょう。ということで、「ピンチはチャンス」という話。ちょっと元気の出る話を見つけました。

もし新型コロナの影響で閉店を考えた飲食店がオンラインに対応したら

ちょっと長いですが、是非読んでください。コロナ騒ぎで売上の減った飲食店の店主(シロネコ)が、売上を回復するためにどうしたら良いかをにゃんこ先生に尋ね、先生が紹介する様々なデジタルツールを使って対策を打っていく、というストーリーです。YouTubeでのレシピ紹介動画の配信に始まり、noteでの情報発信、UberEatsでの配送など、9つのサービスが狙いと実例入りで紹介されています。書いたのは、店舗型ビジネスのデジタル化を支援するコンサルティング会社の社長さんです。

これは読み物ですし、実際にここに書かれたようにうまくいくことは無いのでしょうが、うまく構成されていていちいち納得感のあるストーリーになっています。実際に困っている飲食店さんにとってはもちろん、他の業種の方にもヒントになるでしょう。

job_izakaya_beer.pngこれはデジタルトランスフォーメーション(DX)のストーリーだ

にゃんこ先生は「飲食店に来店する客は減っているが、人間が減ったわけでも、食事の回数が減ったわけでも無い。消費が転換しているだけ。」と言い、「日本で最初のオンライン飲食店になる」ことを目指せ、と言います。そして、

シロネコの店は、外食産業ではなく食の悩みを解決するサービス業になる。

と言うのです。これ、記事の最後に種明かしされますが、まさにデジタルトランスフォーメーションのことです。何度かこのブログでも書いていますが、この「すべての企業がサービス化する」ということこそが、DXの根本なのです。

DX ~すべてのユーザーが「開発者」になる時代

売上の落ち込みをテイクアウトやデリバリーで埋める、という取り組みは多くの店舗で行われているようですし、そこにSNSやUberEatsを活用することは行われているようですが、「サービス化」という発想を持ち込んでいるところは、どれくらいあるでしょうか? 「サービス化」の視点に立てば、SNSの活用も単なるメニュー紹介ではなく、レシピや作り方などの「体験」の共有に目が向くでしょうし、UberEatsの採用でもまずは自分が配達員をやってみる、という発想が生まれるのではないでしょうか。

そしてこれは、今の飲食店の話ですが、他業種にとっての「明日の我が身」でもあります。環境の変化に合わせてビジネス構造を変えていかなければならないときに、この発想を持てるかどうか。

「その気持ちはサービスの細部に必ず出る」

他にも、いろいろな名言がちりばめられています。

強い種が生き残るわけじゃない、変化に対応した種だけが生き残る

そして、テイクアウトやデリバリーを始める動機が「下がった売り上げを補填したい」ということなら、そんなもの売れるはずないと言い、

お客さん喜んでくれるかな?という動機と、お店の売り上げを補填したいって動機は、全然ちがうから、必ず提供サービスの細部に出る。

ここ、特に重要らしく、ストーリー中に2回出てきますが、これがサービス設計(に限らず)において非常に大事であることは、私も同意見です。「使う人の身になって考える/考え抜く」ということですね。使いづらいWebサービスには、だいたいこの視点が抜けています。

「人生を変える唯一の方法は体験して行動すること」

これは、UberEatsで料理を配達すると同時に、自分でもUberEatsの配達員になって、他店の配達をやってみろ、というくだりで出てきます。実際に自分で配達した経験は必ず役に立つ、ということです。

これはUberEatsに限らず非常に重要なことでしょうが、UberEatsについては特に重要と思われることがあります。大人気に思えるUberEatsですが、検索すると悪い話も沢山出てきます。そのひとつが、配達された料理がぐちゃぐちゃになっていたり、スープがこぼれていた、というもの。それに対し、「配達員だけが悪いんじゃ無い」というエントリがあります。

ウーバーイーツの配達が遅い&料理がぐちゃぐちゃと文句を言う前に知って欲しいこと。

注文側の問題もありますが、料理を準備してパッキングする店舗側にも配慮の余地があることがわかります。実際に自分で配達を経験してみれば、店舗側になった時に顧客満足度を上げることができるでしょう。いろいろと示唆に富む良記事だと思います。

 

ITソリューション塾・第34期(5月15日開講)の募集を開始

第34期の概要

「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」を軸に、その本質と実践、これを支えるテクノロジーを分かりやすく、体系的に整理します。また、共創や新規事業開発、事業転換など、いま向きあうべき「これからのビジネス戦略」についても、解説させて頂きます。詳細なスケジュールは、下記よりダウンロード頂けます。

もはやセキャリティにファイヤー・ウォールもVPNもパスワードも不要な時代になりました。まもなく登場する5Gにより、ネットワーク構築に関わる物理的な作業は不要となります。クラウドがシステム構築の物理的な作業を置き換え、アプリケーションの開発は、サーバーレスが普及するでしょう。人手に頼っていた多くの仕事はAIに代替され、ITと人間の役割、ビジネスのあり方が大きく変わろうとしています。

こんな時代を背景に「デジタル・トランスフォーメーション」の潮流が押し寄せています。

本塾では、そんな「いま」と「これから」をわかりやすく解説し、この変化にどう向きあうかについて、共に考えてゆこうと思います

特別講師

この塾では、実践ノウハウについても学んで頂くために、現場の実践者である下記の特別講師をお招きしています。

  • アジャイル開発とDevOpsの実践
    • 戸田孝一郎 氏/戦略スタッフ・サービス 代表取締役
  • ゼロトラスト・ネットワーク・セキュリティとビジネス戦略
    • 河野省二  氏/日本マイクロソフト CSO
  • 日本のIT産業のマーケティングの現状と"近"未来
    • 庭山一郎 氏/シンフォニーマーケティング 代表取締役

お願い

参加のご意向がありましたらまずはメールでお知らせください参加者の確定や手続きに時間はかかるが、参加したいという場合は、ご意向だけでもまずはメールにてお知らせください。
直ぐに定員を超えると思われますので、その場合に備えて参加枠を確保させて頂きます。その際は、予定の参加人数も合わせてお知らせください。

実施要領

  • 日程 初回2020年5月13日(水)~最終回7月22日(水)
  • 毎週 18:30~20:30
  • 回数 全10回+特別補講
  • 定員 100名
  • 会場  東京・市ヶ谷、およびオンライン(ライブと録画)
  • 料金 90,000- (税込み 99,000)
Comment(0)