IBMがクラウドとオープンへ向けて動き出す ~ついにCEO/社長が交代
一昨年Red Hatを買収し、クラウド/オープンソースに大きく舵を切ったIBMですが、先週社長兼CEOのGinni Romettyが退任し、4月に新たにCEOにArvind Krishna氏、社長にRed Hat CEOのJim Whitehurst氏が就任すると発表しました。
Krishna氏はインド出身でCognitive Computing(AIとクラウド)の担当、Whitehurst氏はもちろんオープンソース/クラウドというバックグラウンドです。これで完全に経営トップがクラウドネイティブに入れ替わるということです。記事にあるように、市場はこの交代を交換し、IBMの株価は5%程度上昇したそうです。Romettyさん、だいぶ人気が無かったようで。
個人的にこのニュースについて感慨深いのは、この買収についていくつかブログを書いていることもありますが、とりわけこのエントリーを覚えていたからです。
Robert X. Cringelyという人のサイトを引用したのですが、IBMがRed Hatの買収を発表した直後の2018年11月に、こんなことを書いています。
I do see Whitehurst as CEO of IBM in six months or less.
ホワイトハースト(Red Hatの現CEO)が6ヶ月以内にIBMのCEOになるだろう
これについて私は
ホワイトハースト氏がCEOになる、という予想はそれほど荒唐無稽な話でも無いのかも知れません。さて、どうなることでしょうか。
と書いていますが、いやはや、実際には1年半かかったとはいえ、予想は見事に当たりましたね。凄いです。
米ITをインド出身者が席巻
それにしても、日経の元記事にあるように、IT企業のトップにインド出身者が就くケースが続いています。
米主要IT企業のCEOにインド出身者が就くのは、マイクロソフトのサティア・ナデラ氏、アルファベットのスンダー・ピチャイ氏、アドビのシャンタヌ・ナラヤン氏に続く4例目となる。
インド出身で無くても、インド系と言えばアメリカのIT業界ではかなり多い人材ですし、特にプログラマーには優秀な人が多いという印象です。
それでもIBMは前途多難?
とはいえ、IBMがこれで生まれ変わり、業績が回復するかどうかはまだわかりません。株価は上昇したようですが、まだこの人事についての評価を出すのは早すぎるでしょう。
とはいえ、相変わらずCringelyさんはめちゃくちゃ書いています。
IBMの3つの部門(GTS、GBS、Red Hat)のうち、
GTS - that part of IBM most of us still think of as IBM - will probably be sold by summer.
GTS(私たちのほとんどがそれこそがIBMだと思っている部分)は夏までに売却されるだろう
ということです。これも凄い予想ですね。
しかし、この記事ではGTSがエンタープライズ向け事業領域全般のように書かれていますが、実際にはアウトソーシングやテクニカルサポートを提供する部門で、ハードウェアやソフトウェアは含まれないと書いているサイトもあります。いずれにせよ、大きな事業部門を売却する可能性があるということですね。IBMがそこまで追い詰められているのかどうか、注視しなければなりません。
「?」をそのままにしておかないために
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