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SAP好調の背景にある2025年問題とERP導入の新常識

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SAPがこのところ絶好調です。先週こんな記事が出たかと思えば、

NTTがグループ全社で「SAP S/4HANA」導入へ、2023年度までに千数百億円を投資

その直後にこんな記事も出ています。

MKI、「SAP S/4HANA®」への大規模移行プロジェクト第二弾を開始

これは、2つの2025年問題が関係していると考えられます。まず、オンプレミス版のSAP ERPが2025年までにサポートを終了すること。その前に、クラウド版であるHANAに移行させなければなりません。

そして、経産省の言う「2025年の崖」に備えて全社的なERPの導入を急ごうという動きです。ERPの導入が即DXを意味するわけではありませんが、全社のデータを均質化して集約できるERPは、DXへの前提条件と言っても過言ではありません。海外の関係会社を含めて全社導入できるERPは多くはなく、SAPが注目されるのは自然な流れでしょう。

business_shitauke_3ji.pngERP導入の過去の反省とは

「2025年の壁」が指摘している「レガシーなシステム」には、オンプレミスのERPも入っているはずです。なぜなら、現在国内で稼働している(SAPだけではない)ERPは、その導入においていろいろと反省点があったことが指摘されているからです。それは、「過度な現場主義」です。

本格的DX時代に日本のERPはどう対応すべきか

本来であればグローバルなベストプラクティスに沿ってBPRを行いERPを導入すべき処、日本では現場を大切にしすぎ、「ERPを導入しながらも、自社の特殊事情や現場に合わせ、業務プロセスを標準化しないままアドオンを多く組み込」んだ結果、

こうして生まれたグローバル展開しにくい"ガラパゴス化"したERPは、既存業務の効率化には貢献できても、新しいビジネスの創造には役立たない可能性が高い。

とうことになっていると言うのです。そして驚くべきことに、それがSAP(ユーザー会ですが)が今夏リリースした以下の文書にも明記されています。

「日本企業のためのERP導入の羅針盤~ニッポンのERPを再定義する~」発行のお知らせ

当事者がここまで具体的に過去を反省し、総括するのは珍しいのではないでしょうか。SAPは、SAP HANAへの移行に際して過去の過ちを繰り返さないために、この冊子を作成し、配布しているのでしょう。

移行先はHANAがベストなのか

しかし、SAP ERPとSAP HANAのアーキテクチャは大きく異なるため、移行にはまったく別のERPに乗り換えるのと同等のコストや手間がかかる、という見方もあります。

"2025年の崖"とSAPユーザーの選択肢

この記事は、「だからMicrosoft Dynamicsも検討しましょう」という内容なのですが、

既にアドオンが肥大化し、ERPとしての強みであるリアルタイム性や効率性が失われ、SAP ERPそのものがビジネスの足かせになっているケースが多い

ということが書かれており、ここでも過度のカスタマイズが問題視されています。

しかし、当のMicrosoftはSAPとの提携を発表しました。

SAP とマイクロソフト、市場初のクラウド移行サービスで提携

最近のMicrosoftは「自社製品に拘らない」のが特徴ですから、別に驚きではないのですが、SAP ERPからの移行を積極的に拾っていこうという戦略のようです。

ERPの導入がゴールではない

ついでに言えば、サポート終了の2025年までに移行すれば良いというものでもありません。その後にDXをしなければならないのですから、崖が迫り来る中、移行は少しでも早い方が良いでしょう。上の記事では、2025年までにSAPの移行を計画している企業は全体の16%ということで、絶望的に遅れていると言わざるを得ません。

そのような中、緊急避難的にまずは既存環境をクラウドに移行させ(リフト)ることを組み合わせてはどうか、という考え方もあるようです。

2025年SAPサポート切れは、企業DXのマイルストーン──既存環境のリフトから始めよ

また、移行のためのエンジニア不足も深刻です。7月にITソリューション塾にSAPの福田社長に来ていただいた時にも、「とにかく人が足りない」ということを仰っていました。とにかく、SAP利用企業はHANAへの移行を、ERPを未導入の企業は導入を急ぐことが大切です。その際、カスタマイズをし過ぎないようにすることをお忘れ無く。

 

「?」をそのままにしておかないために

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