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Googleはゲームまでクラウドにしてしまった

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連休明けの先週、Microsoft BuildとGoogle I/Oが立て続けに(というかオーバーラップして)開催されました。この2つは開発者向けのカンファレンスで、しかも毎年重なって開催されるため、両方に出たくても出られないという意地悪なことになっています。偶然なのか両社で話し合っているのかわかりませんが、結果として開発者はどちらかに忠誠を誓う形になり、囲い込みに貢献しているのかも知れません。

今年も多くの記事が出ていますが、その中で気になったのが「STADIA」というキーワードです。

Google I/O会場で体験した「STADIA」は大化けするゲームプラットフォーム

Stadiaは今年3月にGoogleが発表したゲームストリーミングプラットフォームです。その特徴は、三次元グラフィックスなどの処理の全てをサーバー側で行い、画面を動画としてWebブラウザーにストリーム配信するというもので、いわば「ゲームをWebアプリ化する」ものです。

game_item.pngゲームをクラウド化するメリットとは

以下の記事では、

Googleの新ゲームプラットフォーム「Stadia」とは?アクセス方法や性能まとめ

クラウド化のメリットとして以下の点が挙げられています。

各ゲームをプレイする際、その対応しているハードウェアを所持しているか、所持していなければプレイできないという弊害がStadiaにより全て解決されます。それがStadiaのストリーミングの大きなメリットであり、革新的と言われる要因となっています。

まあ、クラウドアプリの特徴そのままですね。ただ、記事中に「Chromeブラウザー、Chromecast、Pixelなどのデバイスで数十億人の人がアクセスすることが可能」とあり、Googleのクライアントでなければならないかのような記載があります。これが本当だとすると、クライアント側にもなんらかの仕掛けがあるのかも知れません(後述)。

やはり気になるのはレスポンス

結局Google I/Oでは追加情報は出なかったと言うことですが、デモは行われていたようです。石川さんによれば、

サクサク動き、まるでローカルで動いているかのよう

ということですが、一方で

ただ、Google I/O '19の会場は、基調講演が行われるシアターのプレス席でも700Mbps程度の速度が出てしまうほど、超高速で安定した通信が行える環境だ。実際、自宅やモバイル環境などでは、どのくらい使い物になるかは改めて検証が必要だろう。

とも書いています。FPSなどは、わずかの遅延でも致命的な影響があると言われています。同様の懸念は3月の発表時にも指摘されていました。

Stadiaを待つ最大の障害にGoogleはどう立ち向かうのか?

こういうことがあったので、今回のI/Oでは通信環境を強化したのかも知れませんが、いずれにせよ最終的には実環境でどれくらいのパフォーマンスが出せるかが問題です。しかし、Googleもそんなことはわかっている筈で、それでも発表したわけですから、そのへんを克服できるという見通しは立っているはずです。

この辺を技術的に考察した記事がありました。

Google「STADIA」の可能性を検証してみる「遅延は大丈夫?」「ゲーム機は駆逐される?」(西田宗千佳)

この記事ではまず、ゲームの作り方そのものが遅延を考慮するようになってきている、と指摘しています。そして、エンドユーザーからのアクセスポイントを世界に7,500ヵ所置くことでエンドユーザーとネットワークの間の物理的な距離を短くする「エッジコンピューティング」により、遅延を少なくしているのではないか、というのです。エッジコンピューティングが5Gを組み合わさることで、より遅延を少なくできるとも指摘しています。全体としては、GoogleがStadia用に特別な技術を開発したわけでは無く、できることを「徹底」することで遅延を削っているのではないか、ということです。

Googleの技術を最大限に活用

ただ、別の記事では、StadiaにはGoogleが開発したWebRTCやQUICという技術が使われている、と書いています。

WebRTC でゲームストリーミング

どちらも低遅延のリアルタイム通信を実現するための技術ですが、標準化作業が進んでおり、オープンソースで提供されてもいるため、Googleだけの技術というわけではなく、現時点でも多くのブラウザで利用できるようです。しかし、この記事にあるように、使うためには高いハードルがあるようです。

WebRTCの敷居を下げるSkyWay、クラウド連携サービスを追加
「WebRTCを本格的に実現しようとすると、RTPのようなリアルタイムネットワークプロトコル、暗号通信、コーデック、API、NAT超え、メディアサーバーなどさまざまな技術を自前で実装する必要がある。」

こうなってくると、やはり開発元であるGoogleが実装面では有利になるでしょう。特別な技術というわけではないが、使いこなしは難しい、ということでしょうか。

ハイエンドでは無く、カジュアルゲームのためのプラットフォームか

いろいろ見てくると、現時点で断定はできないものの、扱えるゲームには向き不向きがあるのではないでしょうか。eスポーツなどのハイエンドの分野では、今後もゲームプラットフォームやゲーミングPCが使われるでしょうが、今でもスマホでプレイされているようなカジュアルなゲームのプラットフォームとしては、非常に大きなポテンシャルがありそうです。いずれにせよ、今後の展開が注目されます。

 

クラウドの未来はどうなるのか?

クラウドの世界は常に進化し続けています。もはやゲームですら、クラウドの仕組みに取込まれようとしており、そこにはエッジコンピューティングや5Gなどの技術が複雑に絡んでいます。変化の激しい時代、何に注目し、何を追いかけるべきなのでしょうか。

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