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EMC買収時のマイケル・デルのコメントに思う

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最近のIT業界でのビッグな話題と言えば、こちらでしょうか。

DellのEMC買収は成功するのか? 世界最大の非公開エンタープライズ向けベンダーの誕生

まあ、ビッグと言っても、買収金額が過去最大ということで、買収が意味するものがビッグかどうかはまた別ですが。。

というのも、私の回りの人たちと話していても、いろいろな記事を読んでも、どうもDellの狙いというか、勝算というか、が見えないのです。実際、上の記事のように、疑問符が付く記事が目に付くように思います。

もちろん、Dellなりの説明はあって、上記記事でも「エンタープライズベンダーになるべく計画を進めてきたDellは、EMC買収によってストレージや大規模顧客にアクセスできることになる。」と書いています。でも、問題はその記事の後ろにあるように、「何よりクラウドという業界の流れにどう対応するのだろう」ということでは無いでしょうか。私もこの意見には賛成です。

私はこの記事の以下の部分を見て、「ほお」と思ってしまいました。

Dellの創業者でCEOのMichael Dell氏は「エンタープライズソリューションのパワーハウス(発電所)を作ることができる。あらゆる技術環境で業界をリードするイノベーションを両社の顧客に提供できる」とコメントしている。

パブリック・クラウドはよく電気や水道などの公共サービスに例えられます。ネットコマースさんと開催しているITソリューション塾でもクラウドの解説をしますが、「従来企業が個々に持っていた発電機を、発電所にまとめて無駄を無くし、管理コストを下げる」といったような解説をします。

マイケル・デルともあろう人が、そのことを知らないはずはありません。とすると、わかった上でパブリッククラウドをあえて否定した、ということなのかも知れません。世の中がパブリッククラウドへ移行する中で、Dellだけはオンプレミス(あるいはプライベートクラウド)に注力して生き残る、ということであれば、EMC買収の狙いはわかります。

しかし、勝算はあるのか?パブリッククラウドへの移行が加速する中、時代の流れに逆行していると思えますが、それをわかったうえでの「逆張り」なのだとしたら、何かものすごい「秘策」があるのかも知れません。

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