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オープンソースのビジネスモデル

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皆さんは、オープンソースというと、どのような印象を持たれるでしょうか?

一昔前は「オープンソースなんて、学生の暇つぶしだろう」くらいに言われていたものですが、今やLinuxは金融機関の基幹システムでも採用されるほどの信頼性を持っていますし、クラウドコンピューティングのインフラはオープンソースソフトが無ければ成り立たないほどになっています。

しかし、オープンソースというのは「無料」です。どのようにしてビジネスが成り立っているのでしょうか?

プロプライエタリとオープン

公開せずにブラックボックス化された技術を「プロプライエタリ (独占所有物)」と呼びます。IT業界では、これまでプロプライエタリがビジネス上は有利と考えられてきました。メインフレームで成功したIBM、Windowsパソコンで莫大な利益を得たMicrosoft、Intelなどが代表例です。オープンはその反対語で、企業や個人が自分で開発した技術や仕様を公開して広く利用して貰おうというものです。対価を得る場合もありますが、ほとんどは無償です。

そのため、プロプライエタリに対してオープンはビジネスとして成り立たせるのが難しく、長らくは個人の趣味ベースでしか存在し得ませんでした。オープンの代表格とも言えるOSSもそうです。OSSのご先祖様とも言えるGNUプロジェクトが始まったのが1983年、Linuxが最初に公開されたのが1991年ですが、開発は職業プログラマが仕事外活動や学生だったと言われています。

Linuxが突然ビジネスの舞台に登場したのが1999年、IBMが自社ハードウェアでLinuxをサポートすると発表したときでした。その後Linuxは発展を遂げ、今では金融機関の基幹システムに使われるまでに信頼性をあげています。クラウドのサーバーOSもほとんどがLinuxです。IBMが何故このときにLinuxのサポートをはじめたのかについては、こちらのブログに考察が載っています。

Linuxに力を入れるIBM

IBMがサポートを宣言したことにより、Linuxの信頼性が高まったことは間違いないでしょう。しかも無料です。それから、ビジネス利用でのLinuxの採用が進み、他のOSSのビジネス利用も進んでいったのです。

IBMが変えたオープンソースのエコシステム

Linuxのサポート開始に当たって、IBMは専任のエンジニアチームを社内に作りました。彼らはIBMの社員であり、「正規の仕事として」Linuxのコミュニティに参加したのです。それまでオープンソースのコミュニティで開発に参加していたのは、学生やボランティアのプログラマーでした。そこに、プロのプログラマがフルタイムで参加したのです。これが、Linuxの品質を引き上げることになります。こうしてできたLinuxは無償ですが、IBM自身はLinuxを搭載したサーバーを販売することによって収益を上げることができるわけです。これが、Linuxの開発を商業的に成り立たせた仕組みです。

この後、様々な企業のエンジニアがLinuxの開発に参加します。彼らは所属企業から給料を貰いながら、「無償で」Linuxを開発しているのです。少し古い記事ですが、

Linuxカーネルの開発者数,2005年から3倍に増加

この記事の中に「カーネルの開発に携わる開発者の70~95%は,開発作業に対して支払いを受けている。」という記述があります。

オープンソースといえども、人々の「善意」だけではうまく回りません。その時点でうまくいっていたとしても、その後ずっとうまく行くかはわからないのです。組織を持続させるためには、人や資金がうまく回るような仕組みが必要です。さらに、企業が参加することによって製品の品質への信頼も上がります。「タダ」なだけでは、企業は採用できません。Linuxは、持続可能な組織運営とサポート企業の信頼性に裏打ちされてこれまで普及してきたと言うことが言えるのです。このビジネスモデルは、その後の多くのオープンソースソフトウェアでも採用されています。

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