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IoTは「何でも繋げば良い」ってもんじゃ無いんですよね

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IoTは、「世の中のあらゆるモノがインターネットに繋がる」と説明されることが多いと思います。それはその通りなのかも知れませんが、そういった説明を聞いても、それで実際に世の中がどう便利になるのかわかりにくい、と感じることは無いでしょうか?

私も、ITソリューション塾などでIoTについての説明などをするのですが、どうしても今の議論は技術的可能性に偏ってしまっており、実際のユースケースが具体的に語られていないと感じます。結局、多くの人にとっては「自分の生活にどのような影響があるのか?」が大事なのであって、「技術がこういう方向に進化しています」などと言われても困るのでしょう。

今朝、フェイスブックのタイムラインにこんな記事が流れてきました。

IoTは「サービスのモノ化」と考えたほうがわかりやすい

この中に、

「これってとりあえず家電をスマホに繋いだだけじゃ…」と感じる製品もあります。「良いIoT製品」と「変なIoT製品」の違いはどこにあるのでしょう。

という記述があって、「ああ、そうだよなあ」と思いました。

IoT系の製品をいざ自分が作ろうと考えた時、「インターネットにつながるハードウェアを作ろう」と考えるのではなく「サービスのモノ化」という視点で考え、「このサービスを提供するためにどうすればいいか?ハードウェアを絡めれば解決できるのか?」という所から製品作りをスタートするとうまくいくかもしれません。

そうなんです。「どんなサービスを提供するか」が大事であって、そのためにモノを繋ぐ、という順番で無ければなりません。現在のIoTを巡る議論は「とにかく何でも繋いでしまえば、何かよく分からないけどバラ色の未来が待っている」という感じで、なんら具体性が無いところに問題があるのでしょう。コーヒーカップや灰皿をネットに繋いで何が嬉しいのか、誰もまだ思いついていないのです。

いや、実際に嬉しいことがあるのかも知れませんが、具体的に見せて貰わないと我々凡人にはわかりません。ジョブズも「多くの場合、人は形にして見せて貰うまで自分は何が欲しいのかわからないものだ」と言っています。

近々にIoTについて具体的な使い方を見せてくれるのは、AppleかGoogleではないかと思っています。どちらもスマートホームに関連する企業買収やプラットフォームの発表を行っているからです。IoTの対象は、もちろん家庭内に収まるモノだけではありませんが、多くの人にとって効果を感じることができると言う意味で、まずは家庭からということなのでしょう。

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