動き出したMicrosoft (2)
前回のエントリの続きです。クラウドへのシフトについて書く前に、前回書き忘れたことを書いておきます。
前回のエントリの最後で、Microsoftは自らハードウェアの開発・販売に乗り出したと書きました。これは、元々ハードウェアメーカーであったAppleや、ハードウェアメーカーとの付き合いの無かったGoogleが同じ決断をするのとは、意味が違います。Microsoftは創業以来、(ゲーム機などを除き)ソフトウェアの供給に特化し、外部のハードウェアベンダーとのパートナーシップを大切にしてきた会社です。そのMicrosoftがタブレットを出し、携帯電話事業を買収したのは、パートナーとの関係を根本的に見直すと言うことになり、Microsoftにとっては後戻りできないほどの重大な決断であったということができるでしょう。
また、スライドの中程にある「Azureのオープンライセンス化」ですが、これは、これまでMicrosoftが直販していたAzureサービスを、リセラーやディストリビュータ(日本ではSIerなど)が再販できるようになるということです。
クラウドと言うのは、客先にサーバーを置かずにネット上のサーバーを使って貰うということですから、ハードウェアが売れなくなるということを意味します。つまりはハードウェアベンダーと競合して、自社のサービスを直販していたというわけですが、これを今度はパートナー経由でさらに拡販する、ということです。ハードウェアベンダーとの関係を根底から見直した結果といえるのではないでしょうか。
さて、クラウドへのシフト (Azureの強化)です。(また長くなりつつあります。。)
クラウドへのシフトと言っても、Microsoftは早くからクラウドに取り組んでいます。しかし、ここへきてAzureを本格的にパブリッククラウドのプラットフォームとして位置づけ、強化していこうという戦略を加速させているように思われます。これは前述のハードウェアベンダーとの関係見直しとも無縁では無いでしょう。
Microsoftは5月にSAP、Salesforceとの戦略的提携を発表ました。実はこれに先立って、昨年Oracleとの提携も発表しています。全社に共通しているのは各社のアプリケーションソフトをAzure上で動作保証することです。Azureは基本的にはWindows Serverですから、動作検証にそれほど手間がかかるとも思えないのですが、各社の正式なサポートを大々的に発表して、Azureがメジャーなアプリケーションに対応していることをアピールしたかったのではないでしょうか。これはもちろん、対Amazon戦略です。
各社と競合する製品を持っているMicrosoftですが、Azureはベンダーニュートラルな企業向けクラウドプラットフォームであるという位置づけを強く打ち出そうとしているのではないかと思います。
さらに、SAPとSalesforceの提携では、両社のスマホ用ネイティブアプリをWindows Phoneに移植することも入っています。これは後に触れるモバイル戦略と関連します。各アプリは2014年内にβ、2015年早々にリリースされると言うことです。
また、スライドには書いていませんが、2月にAzureのデータセンターを日本国内に開設したのも、国内的には大きな動きです。クラウドのデータセンターはどこにあっても良いように思えますが、実はレイテンシ (応答時間) の問題があり、距離的に近い方が有利 (というか、アプリケーションによっては死活問題となる場合もあります) なのです。
すみません、またまた続きは次回で。次回はモバイルです。