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ARMを知っていますか?

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「ARM (アーム) という会社をご存じですか?」

5年前、ITソリューション塾を始めてから、ずっとこの話をしています。5年前には手を挙げる人は皆無でした。今でも60人中数人、という感じです。意外に知られてないなあ、というのが印象です。

ARMはイギリスの会社で、組込用のマイクロプロセッサの開発を行っている会社です。ARMという名前は知らなくても、ARMが開発したプロセッサは皆さんも使っているはずです。そう、携帯電話やスマートフォンのプロセッサのほとんどは、ARM製のプロセッサが使われています。

携帯電話やスマホだけではなく、ゲーム機やネットワーク機器などの組み込み制御用のプロセッサも設計しており、Wikipediaによると組み込み型32ビットRISC CPUの75%を占める、とされています。それなのに、なぜ名前を聞かないか、というと、ARMはプロセッサの設計だけを行うファブレスメーカーだからです。プロセッサの設計図 (IPと言います) を様々な企業にライセンスし、ライセンスを受けた企業が自社ブランドでチップを製造し、販売しています。現在ほとんどのAndroidスマホが採用している米クアルコムのSnapdragonや、AppleがiPhonelやiPadに開発したA4-A7のチップも、ARMが開発したプロセッサを元に作られているのです。

ARMアーキテクチャの特徴は、以下の様なものです。

  • 低消費電力で高性能なアーキテクチャ
  • 外部に様々な拡張機能を付けることができる
  • 契約を結べば誰でも利用できる

プロセッサをスクラッチから開発するのは大変な作業ですが、プロセッサの基本部分(コア)をライセンスして自社の特徴となる機能を追加すれば、競争力のあるチップを作ることができます。SnapdragonはARMコアにクアルコムが得意な通信機能やマルチメディア機能を拡張し、スマホ用チップとして使いやすいチップにまとめています。

Appleは、サービスとハード・ソフトを一体開発する会社です。自社のサービスに最適化されたチップを必要としたでしょうし、そこをライバルに頼るのは秘密保持の面からも問題が大きかったのではないでしょうか。結果、ARMのライセンスを受けてオリジナルのCPUを作ったということでしょう。ARMのパートナーページを見ると、世界中の企業がパートナーに名前を連ねています。(Intelも昔はライセンスを持っていました)

昨年には64ビットのARMアーキテクチャも発表されました。今後は、その低消費電力性能を活かしてデータセンター向けのサーバーなどでも採用が広がっていくと考えられています。また、これからの最大のマーケットはやはりIoTでしょう。あらゆるデバイスがネットに繋がると言うことは、あらゆるデバイスにチップが搭載されると言うことであり、ARMはそのマーケットに最も近い位置にいます。しかし、これだけの大市場を他のプロセッサメーカーが見逃すはずも無く、IntelやAMDも、この分野への参入を狙っています。

今後、この分野での闘いが激しくなり、ARMの名前をニュースで見ることが多くなるでしょう。というか、今でも結構報道などには出てくるのですが、ARMについて知らなければ、そのまま読み飛ばしてしまうのです。そういったニュースも、このエントリを読んだ後では、おそらく違って見えることでしょう。これこそが、「知る」ことの意味であり、「知らない人」よりも「知っている人」にどんどん情報が集まってくる理由なのです。

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