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【107万人】ルールと状況判断、どっちが正しいのか。台風15号接近で考えたこと。

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 台風15号の接近に伴って、今日昼くらいから断続的な雨が降り、今日の名古屋は経験したことのない状況下にあります。報道によれば、愛知県だけで最大で107万人に避難勧告が出たとのこと。中でもJR中央線の高蔵寺駅地下道の水没映像には、目を疑いました。この3月までとっても身近な駅だっただけに、心が痛みました。これから明日にかけて台風が近づくだけに、被害が按じられます。
 
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水没した高蔵寺駅 「高蔵寺駅(JR東海中央線)台風15号の影響で浸水、状況まとめ」より引用
 
 午後、風雨が強まる中、どこの大学でも講義を継続すべきかどうか、判断に苦慮たはずです。ざっとホームページを見ただけですが、名古屋市内の一部大学(南山大学、中京大学、東海学園大学など)は、午後3時間目で講義を打ち切ったようですね。春日井市の中部大学も同様で、同大は明日の休講を早々に発表しています。
 
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 どの大学にも、台風接近時には対応ルールが定められています。その多くは、(1)当該地域に(2)朝6:00~7:00時点で(3)暴風警報が発令されていたら、午前中は休講。(4)午前11:00時点で発令されていたら午後は休講。これがスタンダードなルールでしょう。小中高とほぼ似通ったルールだと思います。
 
 ところが今回、台風はまだ遠く離れた海上にあって、日本中どこも暴風警報は発令されていないのに、豪雨によって河川が氾濫し、警戒水位を超える箇所が続出。結果、避難勧告が次々に出され、午後遅くにはJR中央線・東海道線、名鉄本線・小牧線・犬山線・瀬戸線の一部で運転見合わせとなりました。要所である名古屋駅もストップしたため、交通網は大きく混乱。加えて100万人以上の避難勧告。こうした状況下、一部の大学はルールに則らず、独自判断で休講措置に踏み切ったようです。
 
 災害時こそ、ルールやマニュアルが大事だという見方がある一方で、災害時こそ、ルールやマニュアルに固執するより臨機応変な対応をすべきだという見方もあります。今回の震災でも、大きく議論されているところです。では今回の台風時、今日はどうすべきだったのか。地震と違って、時間的にも考える猶予タイムがあったわけですが、果たして休講を決めた大学が正しかったのでしょうか、それとも休講しなかった大学が正しかったのでしょうか。
 
 大学は、教育機関という特性も踏まえ、より広範な影響を考慮しつつ、その時その時で的確な判断を求められます。こうした危機管理能力が、まさに今、試されているのだと思います。明日、被害が最小限に止まることを願ってやみません。

※2011年9月20日(火)23:21記述
※タイトルが誤解を招く可能性があったので、訂正しました。

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