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●人、●%、●億円…メディアにあふれる「数値」から、世の中のことをちょっと考えてみましょう

【70.0%】 就活で焦る学生に伝えたい~就活における出会いは、偶然なんかじゃないという、青臭い話

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 前回に引き続き、就活の話題を考えてみたいと思います。ディスコが『日経就職ナビ2011 就職活動モニター調査』(2010年5月)を公開しています。それによると、

…(前略)…5月1日現在の内定率は47.8%で、前年同期を1.7ポイント下回りました。文理別に見ると、文系学生は一人あたりの内定社数が前年より増えていることから、特定層に内定が集中している傾向が見られます。(*「内定」には内々定を含む)

 内定学生のうち就職先を決定し活動を終了したのは【70.0%】で、前年(62.4%)を7.6ポイント上回りました。企業が内定承諾の期限を短めに設定するケースが増えたことが影響したようです…(後略)…

※株式会社ディスコ『日経就職ナビ2011 就職活動モニター調査』(2010年5月)5月19日付 より一部引用

 数字の上ではすでに就活も後半戦、ということになるのかもしれません。こうした数値を見て、内心焦っている学生さんも多いことと思います。言うまでもなく、就活は早い人が勝者で遅い人が敗者、というものではありません。しかし、周りで内々定が出始めると、急に焦りが出てくるというのが普通の心境ではないでしょうか。
 
 前回のエントリーで、ミスマッチが起きてしまう原因について、次のような私見を書きました。

…(前略)…わたしが一番憂いているのは、厳しい就活に浸っている中で、本来の自分を見失ってしまうことです。最初は「こんな仕事がしたい」「こんな会社で働きたい」といった自分の意志から始まった就活も、高く険しい壁に跳ね返されている内に、「どこの会社なら入れるか」「面接でどう答えたら受かるか」と考えるようになってしまう…(後略)…

 厳選採用下、自分を押し殺して就職しても、それこそ就活以上に厳しい実社会で働く中で、「こんなはずじゃなかった」とミスマッチに悩んでしまう。こうした若者たちが、就職後数年で辞めてしまう予備軍になっているのではと推測しています。今、内々定を獲得できていない学生が感じている焦りこそが、ミスマッチ就活へ誘い込む大敵になるのではないでしょうか。
 
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 じゃ、自分を押し殺すことなく、自分のやりたいことを貫けばいいんだな、ということになるのですが、これって言うのは簡単だけど、実行は容易じゃない。いや、その前に。別の角度から考えてみると、そもそも自分のやりたいこと、適正、志向などが明確になっている学生がどれくらいいるのだろうかという疑問があります。現実的にはこちらの学生の方が多いのかもしれません。だとすると、上記の仮説はちょっと的外れということになります。
 
 学生は、世の中にどんな仕事があるのか、そのおもしろさや厳しさが何かといったことをほとんど知らないと考えるべきでしょう。だって働いたことがないのですから。いくら情報を調べ、説明会で先輩の話を聞いたところで、実感値を持つことは所詮不可能に近いわけです。この前提で考えてみると、「こんな仕事がしたい」「こんな会社で働きたい」はあくまでも予測・イメージ・想定でしかなく、仮に首尾良く希望通りの会社に就職できたとしても、実際働いてみると、そこに大きなギャップがあったりするというのが、むしろ普通なのかもしれません。
 
 つまり、そもそもの話として、学生が自分のやりたいことを明確にするというのは至難の業であり、そこを突き詰め過ぎると前に進めなくなってしまうのではないか、そこに悩んでいる学生が意外と多いのではないかということです。
 
 こうした学生に出会うと、「自己分析をやり直してみよう」という軸でアドバイスをしてしまいがちなのですが、これは諸刃の剣だと思っています。もちろん、自分を知るというのは就活の上で大変重要なファクターですし、多くのキャリアコンサルタントはそう指導するように思います。でも、働いたことがない、実感が持てないところで、自分の仕事観を突き詰めるというのは、大変難しい。むしろここで前に進めなくなってしまっている学生が多いのでは、そんな印象を強く持っています。
 
 前に進めない学生から話を聞いたとき、単に逃げている、甘えているだけの学生もいるでしょう。彼らには、「自分に合った仕事なんて簡単に見つかるもんじゃない。世の中を甘くみてはいけない。そんなごたくを並べる前に、働くという覚悟を決めなさい」と叱咤激励することも必要になると思います。
 
 そうじゃなくて、溢れる情報に埋もれ、考え過ぎて行き詰まっている学生には、「実際に動いてみて、そこで確かめてみようぜ」という処方箋が必要になると思います。多少のことは目をつぶって、活動しながら自分の気持ちを確かめてみようということです。個人的にオススメなのは、理屈ではなく感情による企業選択と行動です。判断基準がはっきりしない学生でも、「好き」「きらい」の感情は持つことができるはずです。業界、職種、待遇、商品、何でもいいので、自分が「好き」と思える会社をリストアップし、そこにアタックして確かめてみるのです。
 
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 数ヶ月前に相談を受けた学生がいました。彼女は「ここなら大丈夫だろう」と思っていた会社にふられてしまったことで、自信喪失して自分を見失いかけていました。そこで、いろいろ話を聞きながら、彼女が「好き」なことを基準とした会社探しを勧めてみました。
 
 先日、再びわたしのところにやってきた彼女が、「はじめて説明会でおもしろいと思える会社に出会った」と報告してくれました。その会社は彼女の好きなサービスを提供している企業でした。事前に調べた情報ではわからなかったのですが、説明会に出てみると新しい発見が数多くあったようです。こうした出会いこそ、就活の醍醐味であり、人生を切り開くきっかけになるのではないでしょうか。彼女は、以前の自信に満ちた表情を取り戻していました。
 
 彼女がその会社に出会ったことを、たまたまだ、偶然だと思う人もいるでしょう。でも、本当にそうなんでしょうか。就活における出会いは、実は偶然なんかじゃない。実際に行動したからこそ、そこに出会いが待っている。わたしはそう思うんです。甘いのかな、わたしは。。。

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