【60万部】 女性誌断トツ人気の「Sweet」と、トレンド情報誌「DIME」にみる付録戦略の違い
前々回、雑誌の付録ブームについて少し考えてみたのですが、今回もう少し続けてみたいと思います。
以前にシリアルイノベーションの今泉さんが「「世界経済を救うのは女子の物欲です!」(by Sweet編集部)」で指摘された宝島社のファッション誌「Sweet」。数多ある女性誌の中で、【60万部】というダントツの発行部数を誇っているということで、私も店頭で買ってみたことがありますが、これにもプチ・ブランドとのコラボによる付録がついており、驚異的な発行部数の一因を垣間見ました。
こうした付録ブームは、女性ファッション誌に限った話ではなく、広がりを見せています。たとえば、デジモノを中心とした小学館発行の情報誌「DIME」。今年3/18号で、オリジナルモバイルスピーカーを付録につけ、9/19号ではドラえもんイラスト入りのソーラー電卓付きマウスパッド、10/7号では、DIMEロゴ入りのオリジナルカードリーダーを付録。通常号よりいずれも150~200円程度高い値付けとなっていますが、もし商品として買うとしたら、その額では買えないはずの、魅力あるデジ系ツールを提供。もはや「付録と言わせない付録」がついてきた、というわけです。
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両誌に限らず、雑誌が競って付録を強化しているのは、言わずもがな、実売部数を伸ばすためです。「DIME」の付録は、その典型でしょう。一方で「Sweet」は、オリジナルのブランド・グッズが手に入るという価値の提供だけではないように感じます。発行側(宝島社およびブランド)は、サンプリング手段として付録を活用しており、本誌と付録、そして編集部とブランド企業が連動してブランディングを図るという新しい雑誌の取り組みを示しているのではないでしょうか。
もっと言えば、「Sweet」では雑誌全体がSP誌として機能しており、上述の今泉氏の記事にあるように、「…編集部員はバイヤーであり、アパレルブランドと「次に何を売るのか」を一緒に考え、毎号毎号取り扱った商品の売上も把握していて、次号で取り扱う商品の売上を向上させるべくさらなる工夫を凝らす、というようなサイクルが回っている…」ということなんだろうなと。
先回も記したように、情報提供メディアという役割だけでは、Webとの関係において雑誌がジリ貧であることは否めません。ならば、そこをどう脱却していくのか。興味が尽きないところです。
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最後に、前々回の記事の中でもふれたアイシェアのアンケートで、紹介していない項目を記しておきましょう。
- …ネットがあれば将来的に雑誌はいらなくなると思うか尋ねたところ、「いいえ」と答えたのが79.9%で、「はい」の20.1%を大きく上回った。性別、年代を問わず雑誌が不要になるとは思わない人の方が多く、「雑誌を買わない」と答えた人でも67.2%。雑誌にはメディアとして果たすべき役割があるということなのだろう…
※アイシェア 2009/06/11 雑誌の付録に関する意識調査
わたしも79.9%の一人です。