【2回連続】 なぜ子どもたちが理科好きにならないのか~現場で感じる理科離れの原因<前編>
子どもたちの“理科離れ”という言葉を耳にするようになってから、どれくらいたったでしょうか。様々な教育プログラムの改革が行われている渦中ではありますが、なかなか成果が上がっていないという評価も多く聞かれます。このブログをご覧になっているみなさんの中にも、小学生のお子さんがいらっしゃる方が多数いらっしゃると思いますが、実感はいかがでしょうか? お子さん、理科は好きですか?
私は大学で社会貢献事業をしていますが、その一環として、子ども向けの支援教育にも力を入れています。在籍する中部大学には工学部や応用生物学部という理系の学部があり、その教育資源を社会に還元するべく、理科実験講座を積極的に開催しています。先週、小学生向けの理科実験講座を実施した時のこと。実験を担当してもらった工学部の教授から、強くお叱りを受けることがありました。
「これじゃ“失敗”できないじゃないですか。最近は理科実験ブームで、楽しく参加できて“成功”するパフォーマンスを要望されるが、それじゃ理科好きは増やせないですよ」
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この理科実験は、当初【2回連続】で受講してもらうことを前提に企画していました。そこで教授は、1回目にわざと“失敗”する実験をさせ、なぜ、どうして失敗したんだろうを考えてもらう。そこで様々な工夫を加えて、2回目に“成功”する実験をしてもらうという計画をしたわけです。ところが、私のミスから、1回しか参加できない子どもたちからの申し込みを受けてしまった。そのため、プログラムを変更せざるを得なくなってしまったのです。
「この“なぜ”“どうして”が一番大事なわけです。ここに興味関心を持てるかどうか。これが理科が好きになるかどうかの生命線なんです。うまくいく実験からは、実は何も学べない。理科のおもしろさと難しさは、この“なぜ”を解明することにある。自分で“失敗”しないと、何の疑問も興味も持たないんです。そこを判っていない人が、理科離れを防ごうなんて言っちゃいけませんよ」
理科教育の現場では、でんじろう先生みたいなスターだけでなく、日々試行錯誤を繰り返しつつ、がんばっている教員が多数います。私は、そうした教員諸氏の思いをちゃんと受け止められなかった。正直、かなりへこみました。私は文系出身で理科のスペシャリストではありません。でも、文系理系を問わず、この“なぜ”“どうして”の重要性は同じ。わかっていたはずなのに、できなかった悔しさがこみ上げてきました。
この続きはまた次回書きたいと思います。今回は、いつになく真面目な中村でした。。。