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【8.8%】 弁護士は人気ない?「ホカベン」視聴率と司法制度改革

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 日テレ系列で放送が始まったドラマ「ホカベン」。人気女優・上戸彩が熱血新米弁護士を演じる話題のドラマですが、その初回視聴率が意外にも(?) 【8.8%】 と低迷した結果になっています。昨年、木村拓哉が検事役で映画『HERO』に主演するなど、テレビや映画の世界でも何かと話題の法曹界ですが、今回の「ホカベン」は、残念ながら思惑がはずれたというところでしょうか。

 実はこの日テレの水曜夜10時という時間枠は、これまで数字を稼げる枠として実績を挙げており、局としても相当に力を入れています。これまでの初回視聴率を見てみると…

 19.7% 14才の母
 18.2% ハケンの品格
 17.3% ホタルノヒカリ
 16.6% バンビ~ノ!
 15.7% 働きマン
 15.3% 斉藤さん
 【8.8%】 ホカベン

 ドラマ好きの方ならきっとご覧になられていたドラマばかりでしょうから、ベタな説明は不用でしょうね。実は私、何を隠そう(何も隠す必要などありませんが)トレンディドラマ大好き人間でして、上記のドラマはすべて見ておりました…自慢になりませんね(爆)…語るつもりはありませんが、テーマ性、キャスティングなど、どれをとっても遜色ない力の入れ方がうかがえる作品揃いとなっています。今回の「ホカベン」、たしかにDVといった重い社会問題に、直球でチャレンジしているだけに、いわゆる“数字を稼ぐ”ことができなかったのは仕方ないという見方もできるでしょう。初回を見た私の個人的感想では、「重いけど気になる」ドラマであり、今後も必ずチェックする1本となっています。

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 ところで。増え続けるニーズに対して、絶対的人材不足状態にあった法曹界にメスを入れ、司法制度改革が打ち出されて、法科大学院が全国で開設されたのが2004年。政府目標として年間3,000人の司法試験合格者を目指すとされていましたが、ここにきてペースダウンせざるを得ない状況も生まれています。

 法科大学院の認証評価機関である日弁連法務研究財団が、3月26日、愛知大法科大学院を「不適合」とする評価結果を公表しました。同大学院は2006年の初の“新”司法試験で合格率が72%と全国トップになり、脚光を浴びましたが、今回の評価では「司法試験対策を主眼とした科目が多数あるなどカリキュラム基準を満たしていない」と判断されたとのこと。その直後の3月29日には、鳩山邦夫法務大臣が、司法制度改革の見直しを検討する方針を表明。これは日本弁護士連合会(日弁連)などが法曹の「質の低下」への懸念を指摘、「増員のスピードダウン」を要請し、それに応じた結果だと言われています。質を落とさず量を増やす…当初から難題とわかっていたことでしょうが、スタートして早々に見直しを迫られた格好となり、今後の動向が注目されます。

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 司法制度改革とテレビドラマの視聴率を関連づけて考えるのは不謹慎だとお叱りを受けそうですが、茶の間で司法の仕事が話題になるキッカケを提供してくれたという点だけでも、「ホカベン」はいいんじゃないでしょうかね。社会問題を扱う以上、評価には賛否両論あるでしょうが、少なくとも「ホカベン」は真正面からぶつかっている印象で、私は好きです。実は私、何を隠そう(これは隠した方がいいかもしれませんが、プロフィールに書いてしまっているので今さら隠せない)法学部出身者でして。法曹界とも放送界とも違う業界に進んでしまっておりますが、どうもこのドラマの行く末が気になって仕方ないのです。。。

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