「キャラクター登場型」のARをまとめてみた。
昨日閉幕した「ワイヤレスジャパン2010」。様々な先進技術・サービスが展示されていましたが、中でも来場者が集まっていたテーマの1つがAR(拡張現実)技術だったようです。例えば冬モデルにAR機能の搭載を発表したNTTドコモのブースでは、AR関連コーナーへの入場が30分待ちということもあったとのこと。対するKDDIも「セカイカメラZOOM」が体験できる実機を展示しており、こちらも大勢の観客を集めていました。
で、個人的に最も気になったのはドコモのARでも、セカイカメラZOOMでもなく、こんな展示だったりします:
■ ビルの“向こう”に巨大な天海春香――KDDIのARが画像認識でさらに進化 (ITmedia プロフェッショナル モバイル)
人気ゲーム『アイドルマスター』の登場人物のひとり、天海春香が巨大化してビルの向こう側にいる――という誰得な展示(笑)。しかし「現実世界にバーチャルなキャラクターを出現させることができる」という、最も分かりやすいARの特性を活かすという点では、こうした「キャラクター登場型」のARはある意味で王道と言えるかもしれません。ということで、架空OR実在のキャラクターを出現させるというコンセプトのARについて、代表的なものを簡単にまとめてみました:
(※カメラで捉えた映像を解析、その中にある特定の物体をベースにしてARコンテンツを出現させるものを「マーカー型/マーカーレス型」、端末の位置情報をベースにしてARコンテンツを出現させるものを「位置情報型」と分類してあります。)
< マーカー型/マーカーレス型 >
- 電脳フィギュア ARis
ウェブカムで特定のマーカーを撮影すると、その上にメイドの姿をした女性キャラクターが現れるというエンターテイメントアプリ。2008年10月に発売された、日本の商用ARアプリの先駆け的存在。
【参考】 「電脳フィギュア ARis」、9800円で10月19日発売 声はゆかなさん (ITmedia News) - ラブプラス
コナミの恋愛ゲーム『ラブプラス』の関連iPhoneアプリ、および『ラブプラス+』で、マーカーを撮影することでゲーム内の登場キャラクターが出現するという機能が実装されている(現時点で『ラブプラス+』では実装予定)。
【参考】 iPhoneアプリ「ラブプラス i」 携帯の中に住む彼女に会ってきた (ITmedia +D モバイル)
この夏、熱海をラブ色に染める「熱海 ラブプラス+現象(まつり)」がいよいよスタート! (ITmedia Gamez) - エア・ファーファ
iPhoneアプリ。ニッサン石鹸のブランド「ファーファ」のロゴを撮影すると、クマのファーファが現れて様々なアクションを取ってくれるというもの。
【参考】 クマのファーファと遊べる――拡張現実アプリ「エア・ファーファ」 (ITmedai +D モバイル) - デジモンクロスアリーナ
トレーディングカードを使用した対戦ゲーム「デジモンクロスアリーナ」内で、読み込ませたカードに対応するキャラクター(モンスター)が出現、現実空間に重ね合わせたゲーム画面の中で操作できるようになるという仕掛けが施されている。
【参考】 ARでバトル?! 7月から展開する『デジモン』新シリーズには大人も注目! (ガジェット通信) - 「スマイレージ」プロモーション
アイドルグループ「スマイレージ」のプロモーションにAR三兄弟が参加。マーカーをウェブカムで撮影すると、スマイレージの4人が画面内に現れて歌い出す。
【参考】 スマイレージ × AR三兄弟 | テレビCM出演+ARシステム開発 (ALTERNATIVE DESIGN++) - 3D野球カード
米トップス社が販売している野球カード。専用サイト上でウェブカムにカードを写すと、3DCGで描かれた選手が現れるというもの。
【参考】 Webcam Brings 3-D to Topps Sports Card (New York Times) - ARGirl
iPhoneアプリ。専用マーカーを撮影すると3DCGの女性が現れ、選択した音楽に合わせてダンスする。
【参考】 iPhoneでマーカー式ライブARが実現? 音楽に合わせて踊る3Dガール (CloseBox and OpenPod) - Society AR Girls (注:アダルトコンテンツ)
アダルト系のサービス。専用サイトにアクセスし、ウェブカムでマーカーを撮影すると、実写の女性が出現してセクシーなダンスを踊るというもの。
【参考】 Augmented Reality(拡張現実)なエッチなダンサー (広告大臣)
< 位置情報型 >
- 実物大ARエヴァンゲリオン
ローソンが今年4月に行ったキャンペーンで登場。専用iPhoneアプリで特定の場所を見ると、実物大のエヴァンゲリオン初号機が画面上に現れるというもの。富士急ハイランドでも再現されている(7月23日~8月31日の期間限定)。
【参考】 実物大エヴァンゲリオン初号機はこうして出現した -ARエヴァ開発秘話 (マイコミジャーナル) - キャラカメラ
iPhoneアプリ。任意の場所に女性キャラクターを配置し、彼女たちとの会話を楽しむことができる。
【参考】 キャラカメラ: 二次元の彼女たちが三次元にやってきた。カメラを使った拡張現実がここに!1924 (iPhoneアプリとiPadアプリをおすすめするAppBank) - 巨大天海春香&『アイマス』エアタグ
「ワイヤレスジャパン2010」KDDIブースで発表されたもの。携帯電話をかざすと、バンダイナムコゲームスの人気ゲーム『アイドルマスター』の登場キャラクターが出現するというアプリが参考出展された。
【参考】 AR巨大「天海春香」や『アイマス』エアタグも -「ワイヤレスジャパン2010」 (マイコミジャーナル)
とまあ、さすがに数多くありますね。海外事例はまだまだ発掘できそうですが、とりあえずこのぐらいで。「これを忘れてもらっちゃ困る」というものがあれば、コメントでご指摘いただければ幸いです。
こうして見ると、出現するキャラクターは二次元/三次元の美女/美少女はもとより、野球選手・モンスター・巨大ロボットと多様であることが分かります。サイズも手のひらに乗るようなものから、ラブプラスの文字通り「等身大」サイズ、そしてARエヴァの全高80メートルと様々。単に「バーチャルなキャラクターが現実に!」というだけのアプリケーションでは、新鮮味が感じられなくなるという状況も間近なのではないでしょうか。
その意味で、ラブプラスが熱海市や旅館と連携してイベントを行ったように、どれだけアプリケーション以外の部分で工夫を凝らせるかというのが「キャラクター登場型」ARアプリ(そしてそれに伴うイベント)の正否を分けることになるかもしれません。つか、熱海のイベントはぜひ体験してみたいなぁ……。
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【○年前の今日の記事】
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■ ソニーの新デジタル一眼「α300」を体験してきました。 (2008年7月17日)
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