New York Times、記者達が「いま読んでいる記事」を配信
おなじみ New York Times が、また新たな取り組みを始めました。テクノロジー系のニュースを集めた"BITS"(Business, Innovation, Technology, Society)セクションにおいて、記者達のおすすめ記事を配信するコーナー"What We're Reading"を始めたとのこと:
■ New Feature on Bits: What We’re Reading (New York Times)
確かに BITS セクションを開くと、上にあるようなコーナーが画面右側に表示されています。"What We're Reading"とは、まさしく「いま私たちが読んでいるもの」という意味。説明にはこうあります:
In it, we’ve been testing a new feature that showcases interesting articles, blog posts and pages from elsewhere on the Web that have caught the attention of the technology reporters and editors at The New York Times. Sometimes they are items from little-known blogs, sometimes they are news articles from our competitors and sometimes they are simply Web sites that we think are worthy of your attention.
このコーナーでは、New York Times の記者や編集者たちの目にとまった、ウェブ上にある興味深い記事やブログ等を紹介するという新しい機能をテストしています。紹介されるのは、まだあまり知られていないブログに書かれている記事や、私たちの競合社の記事など。また単に、私たちが「これはチェックしておくべきだ」と感じたウェブサイトの場合もあります。
ということで、New York Times 内の記事をオススメするわけではなく、競合メディアの記事を紹介してきますよということですね。日本で言えば、asahi.com で YOMIURI ONLINE の記事を紹介するということですから、これはなかなか大胆な発想です(ただ New York Tims の場合、既に他サイトへのリンクを貼るという行為を積極的に行っていますが)。
「いつも情報をキャッチするのが早い○○さんがチェックしている記事」を確認できることの価値は、ソーシャルブックマークを使われている方々ならば既によく理解されていることでしょう。例えばはてなブックマークの場合は、「お気に入りユーザ」という形で他人がブックマークした記事を共有することができます。著名なユーザーの場合、何百人という単位で「お気に入り」に登録されることも。今回の"What We're Reading"は、記者たちが集めた記事がそのまま公開されるというわけではないにせよ、イメージ的にはこの「他人とブックマークを共有する」に近いのではないでしょうか。
これまでも何度か述べたことですが、ジャーナリズムとは決して「自分の発信する情報だけを受け取ってもらうこと」ではありません。重要なことを調査して伝えるのがジャーナリズムの本質であるならば、他人が提供する優れた情報も積極的に紹介するべきでしょう。またその行為は単なる利他主義では終わらず、自身をポータル化させて「まずはあの人/あのサイトを訪ねてみよう」という行為を引き出すという直接的な利益にもつながっていくはずです。今回の New York Times の試みは、一見無謀なように見えて、実は非常に理に叶っているのではないかと思います。
ちなみにこの"What We're Reading"コーナーですが、RSSフィードは当然として、Twitter でも情報が配信されるとのこと。ご興味のある方は、BITS の公式 Twitter アカウント @NYTimesBits をフォローしてみて下さい("What We're Reading"記事の場合、タイトルの末尾に^DDのような形式で記者のイニシャルが付くとのこと)。
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