ソニーの新デジタル一眼「α300」を体験してきました。
昨夜はアジャイルメディア・ネットワーク(AMN)のイベント「デジタル一眼レフ入門 ブロガーミーティング」に参加してきました。本日7月17日に新発売となる、ソニーの新しいデジタル一眼レフカメラ「α300」(ITmedia +D Lifestyle での紹介記事)をいち早く体験できる上に、フォトグラファーの瀬川陣市さんにデジタル一眼レフの基本を教えてもらえるという内容……だったのですが、仕事で遅れてしまい、30分ちょっとしか説明を聞くことができませんでした。残念。
ということで短い時間だったのですが、α300の魅力を一足先に堪能してまいりました。個人的に魅力を感じたのは、ライブビューモードでもオートフォーカスのスピード・性能が劣らない「クイックAFライブビュー」と、高い位置/低い位置からでも液晶を見ながらの撮影を可能にする「可動式液晶モニタ」。この2つがあることで、通常のコンパクトデジカメしか使ったことのない初心者でも、これまでと同様の感覚(液晶を見ながら写真を撮る)でなおかつデジタル一眼の特性を楽しめるようになっています。チャンスがあったら、ぜひいちど実機に触れてみて下さい。
と明確なセールスポイントをご紹介いただく一方で、ちょっと面白い話も伺いました。このα300、というよりソニーのデジタル一眼レフシリーズでは、シャッター音にもこだわって各機種で微妙に変化させているとのこと。僕が聞けたのはα300のシャッター音だけでしたので、具体的にどこがどう違うのか理解できたわけではないのですが、「ハイエンドモデルでは玄人向けにしっかりした音を」「エントリモデルでは初心者向けに軽めの音を」といった方針があるそうです。
αシリーズでの比較は無理でしたが、自分のEOS Kiss X2を持ち込んでいたのでシャッター音を聞き比べてみたところ、当然ながらまったく異なっていました。α300が「カシャッ」という昔のフィルムカメラに近いイメージなのに対し、X2は「バシャッ」とより手応えがある感じ。どちらが良いというのは完全に好き嫌いの問題ですが、確かに好みを左右するポイントだろうなぁと気づかされました。
デジタル一眼レフを買ってから「ああ、僕はいま写真を撮ってるんだな」と感じることが多くなりました。それは何が原因なんだろう、とずっと考えていたのですが、もしかしたらこのシャッター音に秘密があるのかもしれません。手にするのは同じデジタルデータであるとはいえ、普通のデジカメが「ピロリン」というピコピコ音でそれを生み出すのに対し、デジタル一眼レフでは「カシャッ」という機械音から生まれます。もちろんデータを生むのはシャッター音ではありません。しかし手応えのある音が耳に入ることによって、「形のある何かがつくられた」という感覚を与えてくれるように感じるのです。
最近は「五感を駆使して商品の魅力を高めよう」などということが叫ばれ、例えば「高級車はドアの閉まる音まで計算されている」といったケースがよく紹介されています。写真を撮るというのはごく日常的な行為ですが、それによって生まれるもの(大切な思い出を宿した写真)を考えれば、カメラもクルマと同様にエモーショナルな部分が強い製品なのでしょうね。ドアを閉める音もシャッター音も、本質に付随する部分のように見えて、実は本質を左右する力を秘めているのかもしれません。
そういえば最近、インタビューの達人たちから話を聞く極意を学ぼうという本『聞き上手は一日にしてならず』を読んだのですが、その中で糸井重里さんがこんなことを仰っています:
どうでもいいことが、じつはその人だったりするので。「贅肉こそ、そいつだ」みたいなね。
「神は細部に宿る」ではないですが。ごく小さな何かが実は全体の軸になっている、ということは(人かモノかを問わず)意外に多いのかもしれないなぁと感じた次第です。
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