Twitter 上で影響力のあるユーザーになるには
Twitter の参加者が増え、規模が拡大すると共に、Twitter をブロードキャストの場として活用しようという動きも増えてきました。中には影響力のある Twitter ユーザーを割り出して、何とか彼らに自社についてつぶやいてもらおうとする企業も現れてきているほど(参考記事)。それではそんな企業に注目してもらい、便宜を図ってもらえるような Twitter ユーザーになるにはどうしたら良いのでしょうか?まずはこちらの記事からどうぞ:
■ The Fine Line Between Informing and Spamming Your Followers (A VC)
Union Square Ventures のフレッド・ウィルソン氏のブログ記事。Twitter 上での情報発信について語っているのですが、「情報とスパムの間の微妙な境界線」というタイトルで表現されているように、「自分の(Twitter 上での)発言は簡単にスパムになり得るのではないか」という懸念について考えています。彼の Twitter アカウントのフォロワーは、現時点で2万7,000人以上。確かに軽い気持ちで「これは良いよ」などとつぶやいても、大きな影響力を持つことでしょう。
また面白いのは、記事中で紹介されているこんなサービス:
■ Twitter Music Chart: Hot Songs Tracks MP3 on Twitter in 3 Days / The Hype Machine
Twitter 上で言及されている楽曲を集計して、いま最も人気のある音楽をランキングしようというサイト。同様のアイデアで作られたサイトは他にもあるのですが、Hype Machine のユニークなところは、「一票の価値」に変化をつけている点です。例えば僕が「"date of rebirth "がいいよ」とつぶやいたとすると、date of rebirth に投じられるのは1ポイントではなく、52ポイントになります。またフレッド・ウィルソン氏のアカウントであれば、これが515ポイントに。だいたい察しがついていると思いますが、このポイントは以下のような公式で導き出されているそうです:
round(( 1/3 * (twitter_followers / 10) ^ 0.5 ) * (twitter_followers / twitter_friends) * 10))
つまり Hype Machine は、フォロー/被フォローという数で示される「どれだけ他人とつながっているか」が、ある特定の Twitter アカウントの影響力を表すのだという思想に基づいて設計されているわけですね。確かにこの発想には一理あると思います。
それでは Twitter 上の影響力は、フォロー数だけで判断して良いのでしょうか。次にこんな記事をご覧下さい:
■ How the Media Wrestle With the Web (New York Times)
昨日の記事でも登場した、Columbia Journalism School の Sreenath Sreenivasan 教授が体験した話について。最近、マイケル・ジャクソン氏が死亡したというニュースがネットを騒がせましたが、その際に彼は「(セレブのゴシップ記事を集めたサイトである)TMZ だけが『死亡』と報じ、他の大手メディアが『昏睡』と報じている中で、多くの Twitter ユーザーが TMZ の記事をソースにして『死亡』を伝える」という現象を目にしました。そこから教授は、こんな教訓を導き出しています:
When he passed on the Michael Jackson news, he said, he wasn’t personally evaluating TMZ. Rather, he was judging the people repeating the news on Twitter. It was their reputations (and by extension their assessment of TMZ’s reputation) that he was relying on.
It is a lesson he says he teaches his students. “I tell them that any time you decide to forward something, you are making a big decision,” he said. “You are putting your reputation in real life and in cyberspace on the line.”
Sreenath Sreenivasan 教授は次のように述べた。マイケル・ジャクソンのニュースを転送するとき、彼は TMZ の信頼性を判断しているわけではない。むしろ彼は、そのニュースを Twitter 上で教えてくれた人々の信頼性を判断しているのだ。彼が頼っているのは、他の Twitter ユーザーたちの評判(そしてその延長線上にある、彼らが評価した TMZ の評判)なのである。
これが、Sreenivasan 教授が学生達に伝えてる教訓だ。「彼らにはこう言います。何か情報を転送しようとするとき、君たちは大きな決断を下している。そこに実世界とサイバースペース上での評判を載せているのだよ、と」と彼は述べた。
彼の最後の言葉は「(誤った情報に自分の信頼性を与えてしまわないように)情報発信には慎重にならなければならない」という意味と同時に、「何か発言する度に、自分の信頼性をリスクにさらすことになる」という意味にも解釈できるでしょう。
つまりある情報が Twitter 上を流れるかどうかは、伝えるユーザーのフォロワー数、伝える情報のソースの信頼性と同時に、伝える人の信頼性も重要になってくるわけですね。考えてみれば当然の話で、140字しか書き込むことのできない Twitter では、「書かれている情報が論理的に正しいか」などという判断をしてもあまり意味がありません。それよりも重要なのは、情報を伝えるユーザーが普段から誠実な態度でいるかどうか、また書かれているトピックに対して詳しいかどうか(例えば僕が @akihito で「iPhone いいよ!」と言うよりも、松尾さんが @mazzo で「iPhone いいよ!」と言った方がはるかに「iPhone は良い」という情報が伝わるでしょう)といった点でしょう。仮にフォロワー数が多くても、「普段から宣伝のようなことをつぶやいている人」だと、彼/彼女の言うことは他のユーザーたちにスルーされてしまうはずです(もちろんそんな人だと最初からフォロワーは増えない、とも考えられますが)。
影響力は発信者個人に備わるものではなく、あくまでも受信者が個々に判断していくものです。そこを無視してフォロワー数だけを増やそうとしたり、フォロワー数だけであるユーザーの影響力を判断しようとしても上手くいかないでしょう。というわけで、結論としては「影響力を持とうとすればするほど、影響力は失われていく」といったところでしょうか。「企業から接待されるようなアルファ・ツイッタラーになりたい!」という野望をお持ちの方は、まずはその野望を捨ててみることをオススメします。
【○年前の今日の記事】
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