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ITの新規開拓営業が綴るいろんな企業とIT、そしてキャリアのお話

IT営業の新規開拓は如何にして成し遂げられるか -プレ編-

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今回はキャリアのお話です。
まだまだ未熟なIT営業。どのようにして新規取引をスタートさせるかをフローで追ってみましょう。

 

1.アタックの準備

まずは「誰に」「何を」売るかを大まかに決定しておきます。
具体的には…

  • テーマ決め:ハード?ソフト?どんなソリューションを提供するのかを決定します。
     
  • 顧客リストアップ:テーマに沿いながら、売上高・帝国データバンク評点などでターゲッティング
    この時に役員の名前も一緒にリストアップしておくとよいです。

2.アポ取り

いよいよ顧客コンタクトです。
手法はいろいろとあります。

  • 飛び込み:約束なしに顧客事務所を訪問する手法。
    度胸が必要だが、100%自分のペースで実施できるのでリスト消化スピードは最速。
    しかしながら応対は担当者になることが多く、ニーズも不明確なためIT営業にはやや不向きか。
     
  • テレマーケティング:電話によるアプローチ。
    受付を経てターゲット部門へ繋がってからが勝負。ニーズを確認しつつソリューションの説明をし、訪問の約束を得る方向へ持っていく。
    あらゆる業界の営業が用いる、オーソドックスな手法
     
  • ダイレクトメール:メール・封書送付によるアプローチ。
    相手に対峙しないため、「断られる」精神ダメージは回避できる手法。
    だが、こちらも相手の反応が見えないのでリアクションを待つしかない。テレマーケティングとの組み合わせが有効

「1.アタックの準備」にて「役員のリストアップ」をお勧めしたのはこの場面のためです。
新規取引である以上、顧客から自社への信頼はまだゼロの状態。
そこから商談を軌道に乗せるためには決済権を持つ人物-役員クラス-の信用を得るのが最も効果的だからです。

具体的には、

役員・取締役部門長・部長→課長→主任担当者

と、アタックが失敗する度に相手のランクを下げていく。
少しでも上の相手からアポイントが始まればラッキーなのです。

どのタイミングでチェンジするかは人それぞれでしょう。
私は基本的に「電話が繋がって、断られた」らチェンジします。

役員に繋がらない?
ならば「月曜日」にアタックしましょう。役員は月曜なら事務所に居ます

3.初回訪問

飛び込みで目当ての人に会えた。もしくは電話・DMで約束が取れたらこのフェーズです。
私が意識するポイントは3つだけです。

  • ニーズの確認:何に困っているのか、何をしたいのかを確認する。
     
  • 自己紹介:自社は何ができるのか。自分はどういう人間かを伝える。
     
  • 宿題をもらう:会話の端をとらえて、「あ、じゃあ次に持ってきます」という継続訪問を取りつけます。

ニーズがあるなら商談スタートです。
自己紹介がうまくいけば、その内依頼がもらえます。
念のため宿題をもらっておけば、また訪問できるので忘れられません。

営業なんて人生の縮図です。1.で売ろうと考えたソリューションが簡単に売れるなんてことは稀です
ここからは「顧客に会えた」という奇跡を次に生かす動きに切り替えます。

4.再訪問

ニーズがある場合とない場合で少々動きが変わります。
今回はニーズがなかった場合を考えてみます。
固執はいけません。アポ取りの時に想定したソリューションは一旦忘れましょう。
また、自分一人で進まないならどんどん他人を巻き込んで力を借りましょう。

  • 宿題の回答を持っていく:きちんと回答しましょう。
     
  • 上司を連れていく:自分よりも売ってきた人ですから、ニーズを掘ってくれます。
     
  • コンサル/SEを連れていく:より専門的な観点からニーズを掘ってくれます。

これだけ手を尽くせば何かきっかけが見えるかもしれません。

例えばこのアプローチで「パソコン資産管理/ログ監視」のニーズが出てきたとしましょう。

5.ソリューション選定

1.の選定とは事情が変わりました。
顧客に訪問し、ヒアリングした結果出てきたニーズを満たすためのソリューションを選びます。

  • 必要な機能
  • 対象クライアント数
  • 予算の価格帯

このあたりを意識して絞り込みます。
パッケージはCat6がいいのか、SKYSEAがいいのか。
はたまた顧客ニーズはフルスクラッチでしか満たされないのか。

営業のセンスが光るフェーズです。
しかし、大切なのはセンスではなくヒアリング。今まで聞いた事の中に必ず答えはあります。

6.デモンストレーション

ソリューションを選定できたら、実際の機能を顧客に見てもらいます。
ソリューション開発元など、デモができる要員をアサインして同行してもらいましょう。
ここでのポイントは2つです。

  • 確認したニーズをもう一度共有する。
  • 選定したソリューションが「解決」に当たるのか確認する。

「微妙に違う…」そんなリアクションだってきっとあります。
でも懸命にニーズの確認と答え合わせを繰り返す事で、きっと正解に近付いていくのです。
顧客が納得すれば次のステップへ進みましょう。

7.提案・見積

詰めのフェーズです。
やる事はシンプルに言って2つです。

  • これまでのニーズをストーリー化する。
  • いくらで売るのか決める。

ニーズのストーリー化とは、
『お客さんは○○で困っていて、 ××というモノがあればそれが解消されます。』
というロジックを提案書としてまとめること。

いくらで売るのかは言葉の通り。
ライセンス買い取りで提供するのか、ASPで月額サービスにするのかなどバリエーションは存在します。

8.クロージング

書き上げた提案書、積み上げた見積書。
加えてこれまで温めてきた顧客への想いを合わせて伝えましょう。

微細な価格ネゴはあるでしょうが、
このフェーズまできた頃には、それまでの行動で結果は9割方決まっていると思います。

受注後のアフターは今回割愛します。
IT営業はフォローの責任も格別ですが、一旦は「受注」を以て「開拓成功」と言えると思うからです。

ただ…最高の営業というものはきっと「システム本稼働成功」をゴールにするんだろうなと思います。

ついつい目先の数字を愛してしまう自戒を込めて。

⇒アフター編へ続きます。

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