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あれこれ考えるよりも作ってしまった方が早いんじゃね?と思う、ギークなサラリーマンのアジャイルな日々。

注意!iPhone16eでAirTag(エアタグ)の「正確な場所を見つける」は非対応で使えない

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現地時間2/19に開催される予定だったアップルイベントでiPhone廉価版のSEシリーズ後継版が発表されるという前情報がありました。

蓋を開けてみれば、SEとは全く違う&日本円では意外と高いiPhone16eが出たわけです。

iPhone16と同じチップやメモリサイズでバッテリー保ちも良いのは良いのですが、よくよく調べて見るとSEシリーズの欠点、そして私にとって致命的な機能が欠落しているということで購入は見送りです。

話は少しそれますが、私は忘れ物が多く、古くはMAMORIOやTILEなどの忘れ物タグを愛用してまして、アップルからAirTag(エアタグ)が発売された時も即買いしました。

ただ、私の持っているiPhoneはiPhoneXで、AirTag(エアタグ)の「正確な場所を見つける」には非対応。

従来の忘れ物タグの欠点の一つとして、おおよその位置は分かっても、Bluetooth(BLE)の電波が届く範囲の大体10mくらい半径くらいの近くにあるということは分かっても、どちらの方向にあって、どれくらいの距離のところにあるかは分からないという問題がありました。

そういうときに役立つのがタグからのサウンドの再生なのですが、他の忘れ物タグに比べてAirTagのアラーム音はほんとにか細くて布団の下などにあるとほとんど聞こえない。

そんなAirTagの弱点を補ってあまりある機能が「正確な場所を見つける」機能なのです。

電波をつかんだ後に「正確な場所を見つける」という項目がアクティブになり、その機能を使うとおおよその方向や距離を矢印と数値で表示してくれるのでその表示に従って探せば従来の忘れ物タグと比較して探し物が格段に見つけやすくなったのです。

まあ従来のタグでもBLEの電波(電界)の強度を見ながら歩き回れば似たようなことは出来るのですが、AirTagの「正確な場所を見つける」はBluetoothだけでなく超広帯域無線(UWB)という技術が使われており、これが正確な位置を計測するKEY技術となっているのです。

ただ、この超広帯域無線はiPhone11モデル以降に搭載され、先に述べたように私のiPhoneXでは利用できません。

そして、以下のページにも次のように記述があるように「(iPhone SE (第 2 および第 3 世代) を除く) 」iPhone11以降に発売されたiPhoneの中でも廉価版の扱いのSEシリーズには搭載されていないのです。

Apple iPhone 超広帯域無線の対応状況
https://support.apple.com/ja-jp/109512

で、今回発売されたiPhone16eはどうかというと、、、まさかの非対応
あまりニーズが無い機能なのか、ネット上の情報が少なかったので最終的に行き着いたのはiPhone16eのスペック・技術仕様のページですが、

iPhone 16e - 仕様
https://www.apple.com/jp/iphone-16e/specs/

上記ページの「携帯電話/ワイヤレス通信方式」を以下のiPhone16のものと比較してみると、

iPhone 16 - 技術仕様 - Apple サポート (日本)
https://support.apple.com/ja-jp/121029

なんということでしょう、超広帯域チップの記述がありません。。

機能 iPhone 16e iPhone 16
5G 4x4 MIMO対応(sub-6 GHz) 4x4 MIMO対応(sub-6 GHz)
LTE 4x4 MIMO対応ギガビットLTE 4x4 MIMO対応ギガビットLTE
Wi-Fi 2x2 MIMO対応Wi-Fi 6(802.11ax) 2x2 MIMO対応Wi-Fi 7(802.11be)
Bluetooth 5.3 5.3
超広帯域チップ - 第2世代
Threadネットワーク - 対応
NFC リーダーモード対応 リーダーモード対応
エクスプレスカード 予備電力機能付き 予備電力機能付き
FeliCa 対応 対応

そして、iPhone16からは国際的なIoTホームネットワークの統一規格であるMatterに採用されている無線技術であるThreadネットワークにも対応していますがiPhone16eにはそれもありません。

忘れ物が多く、かつ位置情報マニアであり、家の中はIoT製品で溢れている自分としてはとても残念な情報です。

残念と言えば、iPhoneは11シリーズからProとPro Maxというような無印のものと比較して画面サイズやカメラ性能の異なる上位モデルを出しているのですが、12シリーズのPro以上から搭載されたLiDAR(ライダー)センサーも、ずっと無印に搭載されることを待ち望んでいるものの実現せず。

無印の下のシリーズを作ってそれと無印の差別化をしなきゃいけないというのも分かるのですが、LiDARセンサーで出来る3Dスキャン機能とかを全てのiPhoneで使えるようにしたらそのジャンルのアプリとかサービスが盛り上がって市場が拡大し、もっともっと技術革新が進むのではないかと思うのです。

スマホ業界をGoogleと二分するAppleとしてはぜひ技術革新のために、新しい技術を普及させるためにもっと責任を果たして欲しいなぁと思う次第です。

センサーモジュールや通信モジュールなどの価格もまだまだ高いのかもと思いますが、普及していないから高い、高いから普及しないというジレンマもあるだけに、Appleが動いたら変わるのになあと。

ちなみに余談ですが、こちらのUWBは「超広帯域無線は国や地域によって利用できない場合があります。また、国際的な規制要件で無効にすることが義務付けられている場所では利用できません。」とあり、当然UWBを使った機能も該当地域や場所では使えません。

使えない国のほとんどが旧ソ連を構成してた国々で紛争や戦争が起こっているロシアとウクライナやアルメニアとアゼルバイジャンなどが入っているのはおそらくUWBを使った敵の位置把握などに使われる、つまり戦争に技術が使われないようにアップルや該当国が制限をかけているのかなあと思ったりしています。

なお、日本国内でも超広帯域の電波利用には一部規制がかかっており、Apple iPhone16技術仕様のページにも

『超広帯域が利用できるかどうかは地域によって異なります。規制により、日本では「友達を探す」の「正確な場所を見つける」を利用できません。』

といったような注意書きが書いてあります。

また、電波望遠台の近くなどでは他所で許されている帯域であっても停波しないといけないこともあるので注意が必要です。

https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/uwb_outdoor/index.htm

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