代替案のある生活:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 代替案のある生活

ITの技術や方向性考え方について別の選択肢を追求します

« 2008年11月23日

2008年11月25日の投稿

2008年11月27日 »

夏も過ぎて、ビールの季節も終わりか、と思うと、クリスマスシーズンや年末年始、忘年会新年会と、なんか理由を付けてお酒を飲むのが飲み助の可愛いところ。暖かい部屋で、冷えたビールも美味いものだ。

最近のビール戦争のトピックスとしては、サントリーのプレミアムモルツの売り上げがめざましい成長をしたことが上げられる。詳しくは、たとえばこのサイトにまとまって書いてある。私の知り合いの女性も、「ビールはプレミアムしか飲まないの。」なんて言ってた。

まず、市場調査をしていて、この「プレミアム」ビール市場は、行けるぞ、と思った(ないしは思い込んだ)。マーケティングの一部の人たちだろう。それを、トップに話し、マーケティング戦略を組んで、推進し始めた。マーケティングはサントリーさんの大得意分野だ。

モンドセレクションも取り、テレビCMでは、「最高の週末」や「プレミアムなうまさ」「プレミアム、いきます」などのキャッチコピーもあたり、谷沢永吉、竹下結子のCMもうまい。だけど、こんなCMはサントリーなら当たり前。他のビール会社のCMとどの程度違いがあるだろう。

商品そのものはどうか。サントリービールは、カールスバーグ直系のピルスナータイプのビールだ。ザーツのホップとカールスバーグの伝統を引くサントリーの酵母はうまく相応生かしているように思える。いわゆる「カールスバーグ・ピルスナー」のゴージャスなやつ、と言えるだろう。深みあるのにさっぱりしている。ちなみに、カールスバーグは世界最古(600年続いている)のビール会社「シュパーテン社」の酵母を使っており、直系である。

いままでのこの「プレミアム」ビールのトップだった「ヱビス」は、じつはビアスタイルが異なる。ヱビスは「ドルトムンダー」と言われる、ラガータイプでは、濃いもので、アロマやホップ感が押さえられているが、しっかりとしたビールだ。ピルスナーに比べると、がぶ飲みするより、ゆっくりとビール本来の味を楽しむものだ。名前のとおり、ドイツのドルトムント近辺で作られるもので、ヱビスは、日本にありながら、ある種、ドルトムンダーらしい、美味しいビールだと思う。

日本人の味覚としては、あっさりさっぱりが喜ばれるので、プレミアムモルツが流行ったのか。そうでもないと思われる。

マーケティングの先見性と努力はあったが、最後に営業の猛烈な努力があったからだと思う。普通なら、プレミアムも置いて欲しいし、普通のモルツも店頭に置いて欲しかっただろうに、とにかく、店舗や飲食店に、普通のモルツを引っ込めても良いから、プレミアムモルツを置いてくれるように、営業努力した。今回は、絶対にサントリーの営業さんたちの努力が報われたのだと思う。

もちろん、営業とマーケティングの戦略の合致、お互いの信頼、集中がこのすばらしい成果を生んだのだと思う。さてでは、広報はどこにいるのか。よく、広報をマーケティングの一部と思っている人にはよくこれを見て欲しい。これが広報の仕事だ

ここには、宣伝はない。いかにサントリーという企業を理解して貰うか、いかに正確なニュースソースを提供できるか。それが広報の使命である。そして、プレミアムモルツが成功したことを、正しい数値で示している。

ここでは、工場の人について触れなかったが、カールスバーグ・ピルスナーとドルトムンダーの所を読んでいただければ、その重要性は充分伝わるだろう。このように、営業、マーケティング、広報がそれぞれ求められる仕事をしっかり行い、お互いに信頼し、徹底的に進めていくことこそ、成功に向かうための第一の鍵である。

私信:小林麦酒君、間違ってないよね。ドイツ系ビールのことなら、小林君のホームページを見て下さい

とおる

« 2008年11月23日

2008年11月25日の投稿

2008年11月27日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

高橋徹

高橋徹

現在サン・マイクロシステムズにて、様々なミドルウェア・ソフトウェアの販売推進・ビジネス開発を担当しています。旅行、食べ歩き、読書が趣味。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2011年3月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
daitaian
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ