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私はつくづく、晴れ男なのだなあ、と思う。最近も徐々に秋が始まって、秋雨など(というより豪雨!)が降ったりする。けれども、私が外出しようとすると、その時間だけ雨が止むのだ。

晴れ男になる要因は大きくふたつあると思う。

ひとつは、ほんとに巡り合わせが良くて、大事なイベントがあるとほんとに晴れてしまう。私は、セミナーやコンファレンスなどのマーケティングイベントを何 回もやっていて、こういったイベントの場合、雨が降ると来場者の「入り」が悪くなるのだが、私が責任者になったイベントはほとんど晴れるのだ。また、以 前、山に行くプランを立てていたら、台風が接近し、それでも行きたかったので、雨が降ったら温泉でも入るプランに変えようと思っていたら、台風が消滅して しまったこともあった。

もう一つ、自分が晴れ男だ、と思い込むのは、雨が降って嫌な思いをした事を、すっかり忘れてしまう能力だ。昔の同僚に雨男がいて、自分はいかに雨男かと説 明してくれた。晴れ男の私の隣に雨男がいて、同じ時間同じ場所にいるわけだから、私もたぶん雨には降られているはずなのだが、雨が降って傘をさしている記 憶がない。

運が良いこと + 楽天的なこと + 自分の都合の良いように記憶してしまうこと

などが、雨が降ろうが雪になろうが『晴れ男』の本質なのだと思う。

同名の小説(?)のような本『雨の日も、晴れ男』が出ていたので買ってみた。水野敬也さんという人の本で、このひとは他に『夢をかなえるゾウ』という本も書かれている。

以下、あらすじの一部を書くので、読みたくない人は読まないようにね。

■□■□■□ 
主人公の運命を思うように操作して、なんとか不幸にしてやろうとする、いたずらな子供の神様(そんなのいるか?)と、どんな目に会おうとも、楽観的に、前 向きに、人を喜ばせようとする主人公。というもの。検索すると、感動したとか、これは自己啓発の本だ、とかブログなどで書かれているけれど、結論から言えば、この本、とても幼稚だ。

最初は目覚まし時計を効かなくしてしまうといういたずら。主人公は、時計に向かって、もう一度チャンスを与えようといって、もう一眠りする。でも時計には 意志はない。この考えにはなんの前向きな思考もない。私なら、時計が止まって目覚ましがならず、会社に遅刻してしまう、となったらどうするか。私なら、 もっとゆっくり寝る。たぶん、午前中たっぷりと。

私は目覚まし時計をセットすると、体調が良ければ目覚ましが鳴る一分前ぐらいに目が覚めて、止める。目覚ましがなくとも、必要な時間に起きることができ る。しかし、目覚ましが鳴らないで、寝過ごしてしまうのは、体調がおかしいからだ。だからゆっくりと寝る。15分遅刻するより、半日休んで体を癒した方 が、自分にとっても会社にとっても良いに決まっているからだ。

と言った感じで、いたずらの神様は、この主人公を不幸に落とし込ませようとするのだが、まず、この作者が不幸と考えていることが、みな物理的な欠損だけだ、会社を首になる、家族に逃げら れる、家が焼ける、死にそうになる。まあ、不幸と言えば不幸かもしれないが、同じ馬鹿な男を主人公にした魯迅の『阿Q正伝』にある、どうしようもなく、悲 しく、貧しく、時代に翻弄され、人格などぼろぼろにされ殺されていく、そんな不幸は、この水野氏の本にはない。

死ぬ寸前でも、この水野氏の本の主人公はそれでもまわりを笑わそうとする、そんなこと普通はできないと思うだろうけれど、そんなことはない。ひとは笑う動物であり、死の間際まで、ユーモアを忘れないものだ。

残念ながら、この『雨の日も、晴れ男』は、物理的な欠損を不幸と思ったり、楽観あるいは達観する物の考え方と悪ふざけとを取り違える、作者の思索の低さが災いしていると思われる。

■□■□■□

とおる

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高橋徹

高橋徹

現在サン・マイクロシステムズにて、様々なミドルウェア・ソフトウェアの販売推進・ビジネス開発を担当しています。旅行、食べ歩き、読書が趣味。

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