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ITの技術や方向性考え方について別の選択肢を追求します

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失われた10年間、日本においては1991年から2002年までの平成不況時代を過ぎ、世界経済危機は依然として存在しているものの、国際間ではグローバライゼーションが進んできた。金融や交易などの国際的な連携をする場合、いままでは、相手の国の文化を理解し、相手国と友好的な関係を作り、相手のパワーバランスを探って連携をしてきた。しかしそれば、一対一の連携にのみ有効で、複数国を相手にする方法ではない。

現在のグローバライゼーションにおいては、富の分散化、資源の分散化を前提にしている。さらにはIT化も重要な要因である。つまり相手がどんな文化を持ち、どんな人的なプロトコルを持っているかを前提にしない。すべては、ITサービス化、プロセス化される。STP(Straight Thru Processing ) が世界金融での合言葉のようになっている。プロセスに任せる。人をかいさない。 

グローバライゼーションの共通言語としては、比較的安易に使える英語が選択された。現状、アメリカやイギリスが金融・流通で主導権を握っているかどうかなど関係なく、すでに、選択されているのだ。もう変わらないだろう。IT技術も英語をベースに作られているので、英語が便利なだけだ。

むかし、エスペラント語などという人工言語を世界共通語にしようとする動きもあったが、すでにあるものを使ったほうが簡単である。それだけの理由だ。英語は比較的簡単だし。日本語も例外が少なく、文法どおりなので、覚えるには簡単な方だが、日本の国土以外で話されていないのが致命的だと思う。

さて、日本のあらゆる産業がグローバライゼーションを推進していかないと、日本存亡の危機に陥ることになるだろうと思っている。金融、通信、製造、流通、医療、農業、水産業など、新しいグローバルスタンダードを早急に適合していくことが重要だ。よくある勘違いは、グローバルスタンダードは、アメリカやヨーロッパ各国が決め、それを日本に押し付けている、と思っている人がいる。グローバルスタンダードを日本が受け付けないので、押し込んでいるだけのことだ。外圧に弱い国だというのは、世界の常識だ。

考えのベクトルが反対なのである。積極的にグローバルスタンダードの策定に参加し、日本の権益が守られるようにすることを、「国際化」というのだ。日本が率先してグローバライゼーションを進めていくぐらいの気構えが必要だ。

さてさて。IT業界もグローバルスタンダードを目指して積極的に活動を展開すべきだと思う。現状をいえば、おそまつ、の一言につきる。

私の担当する製品に「Sun Java CAPS」という製品があり、SOAを「本当に」実現する、数少ない製品のひとつだ。この中で、たいへん重要になってくるのがBPM : Business Process Management だ。6月頃から、このBPMの重要性を知り、現在勉強中なのだが、この分野でもいかに日本はグローバライゼーションが遅れているか、をまざまざと知ってしまった。

最近では、BPMはMBAを習得する際のひとつの分野として確立されつつあり、単なるツールではなく、重要な経営活動となっている。当然、学産の垣根もなく、研究が進められている。BPMの国際的な集まりがオーストラリアであり「5th International Conference, BPM 2007」がブリスべインで開催され、論文集が Springer 社から発行されている。

驚いたことに、おひとりを除いて、日本人がまったく関与していない。中島震(なかじましん)国立情報学研究所教授が、論文の審査員として参加されている以外、まったく、ひとりもいない。理由がよくわからない。国際的な技術交流に参加していないのは重大な問題だ。JavaOneですら、日本人参加者が少ないなと思うのだが、今後重要となるBPMの領域で、誰も論文を提出していない状況は異常である。

とにかく、今後、主要となる技術関連の国際イベントには、IT各社とも積極的に参加していくべきだろう。さらに進めれば、そういった動きから、SI事業を海外に展開していくのもいいだろう。中国と比べて、日本が劣っているとは思わない。以前、あるSI企業さんがブラジルの案件を取ったことだってある。まあ、その際は、デザイン(画面のことではない)を重視し、かっこいいシステムを提案できれば、成功率もあがるだろう。少なくてもバグゼロだけでは、なんの魅力もない。

とおる

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高橋徹

現在サン・マイクロシステムズにて、様々なミドルウェア・ソフトウェアの販売推進・ビジネス開発を担当しています。旅行、食べ歩き、読書が趣味。

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