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ITの技術や方向性考え方について別の選択肢を追求します

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頭脳が知的な共鳴現象を起こす事、ありませんか?大学の授業で、講演会で、友人との会話の中で、能力のある同僚との共同作業の中で。7月2日、7月3日と、講演を続けて聞く機会が続き、頭が覚醒している感じがあります。

IBM の丸の内オフィス、7月2日 18:30 からIBM が隔年で行っている、Global CEO Study 2008 の説明会を開いていただいた。一応、サン・マイクロシステムズは IBM さんを競合と考えているので、参加を断られるかな、とおもったけど、IBM さんはさすが横綱なので、こころよく参加させてもらった。

多くの方が今回の説明について書かれると思うので、私個人として気が付いた点、日本の CEO に対して、安心する点と不安に思う点を挙げさせてもらう。

日本の CEO 安心した点

  • コスト削減はすでに終わった(優先度が一番ではない)と考えている

コストを削減することは、健全経営のひとつの手法でしかなく、目的ではない。IT 関連で仕事をしていて、一番がっかりするのは、IT サービスを目的をコスト削減と思っている人に出会ってしまうことで、こういったひとは、けっこう頑固なので、そんなの後々、というと怒る。すでにその人た ちは、CEO の感覚からずれているのだ。

  • 2-3 年で、常に変化しなければならない(経営環境の変化をポジティブに捉える)

自ら変化、変革していくためには、人材の育成、エグゼクティブの能力開発が重要だ、と考える日本の CEO は、他の国に比べても多い。CEO ひとりでは変革は出来ない。特に、CEO に近いエグゼクティブの能力向上は必須だ。

これらの人たちは、CXO と呼ばれるが、私は個人的には、CXO のプロフェッショナル化が必要だと思っている。CXO は CEO の予備軍ではない。プロのCIO、プロのCFO がグローバルでは求められているのに、日本のエグゼクティブの中には、「次の社長は俺だ!」なんて考えている人が多すぎるように思える。

さらには、変化の仕組み化も必要で、これには SOA とか BPM が重要だ、とIBMさんは考えている。

日本の CEO 不安材料

  • CEO とその部下、さらには社員との考え方の乖離、感覚の差が大きい

質疑応答で、会場から出た提議の中に、社員の感覚は違うんじゃないか、とか、労働組合はそういった変化は求めないだろう、といった意見があった。その通りだと思う。

講演された日本IBMの金巻氏は、日本で大きく花開いた、TQC って、実は変化することの仕組み化で、従業員も喜んでTQCを実践していたので、日本には変化を仕組み化する実績がある、と考えられていた。

実は私は、日本IBM の開発製造部門でTQCを実際に行い、しかも、日科技連の情報処理業種のTQC上級コース修了者なのだ。ふふ。TQC の他業種交流会では、松下電器(現パナソニック)の工場の若い女子工員の皆さんなんかと勉強会をしたのだった。ふふふ。

なぜ、工場なんかで TQC の参加率が高かったか。あれは自発的な活動、という感じではない。どちらかというと、職場で仲間はずれになりたくないから参加するのである。さらには、参 加して、自分だけ突出して技術を磨く人はいない。仲間なので、みんな横並びになるのだ。出る杭は打たれるのである。

こういった状況で、CEO が変化しようと呼びかけ、会社全体を動かしていくのは、ほんとにCEOの実力がもろに出てしまいそうだ。 

  • 予算や資金を集めることに感心が低い

資金調達や運用について、海外では 31% の CEO が重要と考えているのに、日本の CEO は 7% しか重要視していない。私はここが最大の問題だと思うのだが、会場では話さなかった。日本の CEO が資金調達に不便を感じていないのは、系列的な銀行が、比較的簡単に融資してくれるし、日本円は、現在、世界で最も「安い」資金なのだ。

しかし、状況は日々変化するはずで、資金調達を効率的かつ知的に行うことは、爪に火をともしてコスト削減するよりも、もっともっと、効果的だ。なぜ、日本 のCEOが自社の資金運用・資金調達・予算管理をギチギチと行わないのか、不思議だ。有能な CFO を雇い、先頭に立って実行すべきで、それをしない CEO には、不安を覚える。

■■■
7月3日と4日、SWIFTが主催する「SWIFT Business Forum 2008 Japan」に参加しています。おお。ここには、日本の真の国際人が参加している!明日のセッションも含めて、後ほどご報告します。

とおる

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高橋徹

高橋徹

現在サン・マイクロシステムズにて、様々なミドルウェア・ソフトウェアの販売推進・ビジネス開発を担当しています。旅行、食べ歩き、読書が趣味。

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