代替案のある生活:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 代替案のある生活

ITの技術や方向性考え方について別の選択肢を追求します

« 2007年8月23日

2007年8月24日の投稿

2007年8月27日 »

アジール」とは「自由領域」「避難場所」「治外法権」という歴史学的な意味だ。もう少し、詳細にいうと、ここはある本から引用したい。

アジールは人類学や宗教学では、古くからよく知られた主題である。神や仏の支配する特別な空間や時間の中に入り込むと、もうそこには世俗の権力やしがらみによる拘束が及んでいない。そのため、アジールの外でたとえ罪を犯した者でも、そこに逃げ込めばもう法律の追求は及んでこられなかったし、いやな結婚から逃げたいと思っている女性や、苦しみ多い奴隷の生活から脱出したかった者も、多額の借金をかかえてにっちもさっちもいかなくなった者などでも、アジールの空間に入り込めば、いっさいの拘束や義務から自由になることができたのである。

   - 「僕の叔父さん 網野善彦」(中沢新一、集英社新書、2004年)より引用

そして中沢氏は、現代ではアジールは存在しないと、「アジールは存在できない-それが現代人の『常識』である」と言っている。特に日本においてはそうであろう。駆け込み寺という名前はあるが、その機能はすでに過去のものだ。法律を犯して、逃げ込んで、罪がなくなる寺社はもうない。

そのためなのだろか、日本における自殺者は多い。自殺率をみると日本は第10位である。第9位までは東欧・旧ソ連邦ばかりだ。 All Aboutによると、2005年の自殺者は32552人で、自殺の動機は、健康(46%)、経済・生活(24%)、家庭(9%)、勤務(6%)、男女(2%)問題の順だったそうだ。健康のうち、ストレスによる体調の変化、こころの病が大きいようだ。

そういった苦しみや大きなストレスを抱えている場合に、たとえば Mixi や2チャンネルは、ある種の「アジール」として、役立ってはいないだろうか。そういった苦しみや大きなストレスを抱えている時、ひとりでないことを感じ取り、精神的な「はけ口」にならないだろうか。

と、ふっと思いました。そうであればいいな、との肯定的な意味で・・・。

■■■
中沢新一氏の「僕の叔父さん 網野善彦」(集英社新書、2004年)には、驚いた。歴史学、とくに日本の中世史を書き換えた歴史学の重鎮、網野喜彦中沢新一が、叔父・甥の関係だったとは。中沢氏のご尊父の妹さんのだんなさんが、網野氏だった。小さい頃から、網野氏は中沢氏を可愛がっていたようだ。

網野氏は、日本常民文化研究所において、おそらく宮本常一氏やこの研究所の創設者、渋澤敬三氏の薫陶を受けているものと思われる。網野氏の歴史学への入門書としては、「歴史を考えるヒント」(網野善彦、新潮選書)をお勧めする。なお、1950年代60年代の学者の常として、コミュニズム的なニュアンスは否めないが、網野氏の場合、それがある意味、昇華しているところに、網野氏の人間性が現れていて、好ましい。

とおる

« 2007年8月23日

2007年8月24日の投稿

2007年8月27日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

高橋徹

高橋徹

現在サン・マイクロシステムズにて、様々なミドルウェア・ソフトウェアの販売推進・ビジネス開発を担当しています。旅行、食べ歩き、読書が趣味。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2011年3月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
daitaian
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ