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この「故郷」という文部省唱歌を作詞したのは、近松門左衛門全集などを残した、国文学者の高野辰之である。高野辰之は、長野県下水内郡豊田村(現在の信州中野市)の生まれで、作曲家の岡野貞一とともに、この「故郷」のほかにも、文部省唱歌として「朧月夜」「紅葉」「春が来た」「春の小川」などを作った。

私の家の菩提寺がこの信州中野にあり、私は長野市で生まれたけれど、私の故郷はこの高野辰之と同じといえるので、だから、「春の小川」など風景が目に浮かぶのです。護岸工事されていない原始のままの川が、昭和30年の前半には存在していましたからね。

この追って捕まえたウサギは、とうちゃんかじいちゃんに頼んでつぶしてもらい、ウサギ鍋にしたと思うし、小鮒はかあちゃんかばあちゃんに甘露煮にしてもらったんだろうな、と個人的に想像します。昭和30年ごろまでは、日本に高速道路なんて当然なかったし、道は未舗装だし、冷蔵車なんてなかったので、長野県の田舎町には新鮮な魚は届かなかった。牛や豚、鶏なんかも超高価で、口にすることはできなかった。そうするとたんぱく質を取るには、ウサギや川魚に頼るしかなかったんですね。

私が小学校1年生の時に、おやじの仕事で、長野県佐久市岩村田に転校した。聞くからに田舎って感じでしょ。いまは、長野新幹線も止まり、高速の出口もあって、昔の面影は消えました。小学校1年生の秋には、農間休みというのが一週間あり、子供も総出で、稲刈りを手伝った(ほんとだってば)。

稲を刈る前の日、小さい子たちがあぜ道に並ばされ、稲の列と列の間を稲を踏まないように歩かされた。すると、イナゴが驚いて前方に逃げる。あぜ道の反対側には大人たちや高学年の子供がいて、飛び出してくるイナゴを逃がさずに捕まえた。イナゴ取りである。イナゴは袋に分けられて、各家に持ち帰り、うちではばあちゃんが鍋いっぱいにイナゴの佃煮をつくってくれた。とても美味かった。

次の日からは稲刈りで、小さい子は稲を鎌で刈るのは難しいので、刈られた稲を束にしたのを、田んぼから干し場まで運ぶ役だった。子供も労力の一端だったのです。稲刈りの一日が終わるとお百姓さんのうちで、肉無しカレーライスをもらって食ったなぁ。

■■■
翌年。イナゴ取りはなかった。私が小学校2年生のとき、岩村田近辺では、農薬散布が始まったから、イナゴは絶滅したのだった。そして東京オリンピックがあり、所得倍増があり、日本列島改造論があり、日本は世界一富める国となった。

私の世代より前の人たちと後の人たちの間には、大きな溝がある。私は無農薬の米で育った(小学校2年生まで)。みなさんは農薬散布された米を食って育っている。それがどうした、と科学的な根拠は一切ないが、最近の子供の自殺には、なんかそういった負の要素があるのではという気がしてならない。

自殺なら、以前の方が多かったような気がする。ニュースにならなかっただけだ。作家は昔は自殺が多かった。太宰、川端、三島。心中というのもあった。今は、ひとが生き弱くなってしまったのではないか。と、ふと思う。

とおる

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現在サン・マイクロシステムズにて、様々なミドルウェア・ソフトウェアの販売推進・ビジネス開発を担当しています。旅行、食べ歩き、読書が趣味。

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