代替案のある生活:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 代替案のある生活

ITの技術や方向性考え方について別の選択肢を追求します

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2006年10月10日の投稿

2006年10月11日 »

マネージャの良し悪しひとつで、そのチーム全体の能率が下がってしまったり、場合によってはパニックに陥ってしまうことがある。最近ちょうどそういった場面に遭遇してしまい、失礼かもしれないがたいへん印象的だったので、あえてここに書かせていただく。

といっても、これはIT企業の事例ではなく、実は、ビアホールでの出来事なのである。10月9日日曜日、銀座7丁目にある、ギンザライオン5階の音楽ビアプラザライオン 銀座店に行った。私のかみさんは、バイオリニストの吉田直矢氏のおっかけである(写真の方です)。

Naoyayoshidatopphot
CDも出している、優れた(情熱的な)バイオリニストなのだが、月に数回この音楽ビアプラザで演奏している。この音楽ビアプラザは、二期会や藤原歌劇団の本当のプロの音楽家たちが出演しているビアホールで、吉田氏も楽しそうである。

 
 
 
 
 
 

30分演奏しては、30分休憩、その間に食事を取るというのがパターンなのだが、徐々にサーブするフロアスタッフの動きが変になり始めた。どのスタッフがどのテーブルを担当しているのか、決まっていないらしく、また、注文した料理や飲み物は自分で取りに行くので、右往左往して見える。いつの間にか、ビールを注いでいたサーバ担当も注文を取りに行っている。フロアマネージャは何をしているのだろうと見ると、スタッフとは違う青色のシャツにネクタイで、自ら注文を聞いたり、皿を運んでいる。そして、スタッフのが走り回り始め、みんなでキッチンに入ってしまって料理が出来るのを待っていたり、ついには、スタッフの顔にから笑顔が消え、お客に背を向け始めてしまった。

これは、明らかにフロアマネージャの失敗である。チームがシステマチックに動いていない。スタッフ同士が不信感を思い始めている。お客様にサーブするという気持ちが薄れていく。

レストランでたまに見かける情景ですが、さて、あなたがフロアマネージャならどうしますか。

わたしならまず、担当するテーブルを決めます。

この音楽ビアプラザでは、ほぼ100席。フロアスタッフ4人、ビールのサーバ担当1人、フロアマネージャひとりです。キャッシャー、ビールのサーバータップ、キッチンは入り口の側にあります。

まず、キャシャーに一番しっかりした人をひとり、フロアを3人で分け、新人はキッチンの一番近くに配置。ビールのサーバ担当はビールほか全てのドリンクのサービングに集中させる。ビールのサーバータップの前にはカウンターもあるので、カウンターのお客のフード・ドリンクもビールのサーバ担当の仕事。フロアスタッフは自分のテーブル以外の注文も、快く受ける。ただし、極力自分のエリアに集中する。新人をキッチンの近くに配置するのは、自分の分担以外のテーブルから注文を受ける頻度を下げるためだ。

そして、フロアマネージャは、お客をお迎えする役を果たし、座席を指定する。席までお連れするのは自分でなくとも良い。そのテーブルの担当者にレシーバーでコンタクトして誘導させる。新人の担当するテーブルは自分の立居地に近いので、新人が困っていたりしたら自分が動かず、キャッシャー係りに手助けさせる。

あとは、毎日始まる前と終わりに簡単にミーティングを行い、指示と、何か良いことをしたスタッフがいたらそのミーティングの場で褒める。新人には基本的なサービングの技術を教える。自分で熟慮し、上司と相談して、そのフロアの意味・目的(この音楽ビアプラザなら、年齢層はこのあたりを狙い、こういったフード・ドリンクをメインにするなど)を決め、それに沿った目標を定め、それをミーティングで徹底させる。

私自身は飲食業の経験はないのだが、客の立場で観察していると以上のような事が重要なのではと見えてくる。これは、ビアホールに特有なのではなく、IT企業の業務やプロジェクトの運営も同じだ。

さて、ここのフロアマネージャの問題点のひとつは自分で注文を受け、フード・ドリンクを給仕していたことだ。フロア全体の動きや流れを把握し、フロアスタッフの負荷をうまく配分し、トラブルを処理していくのがフロアマネージャであり、サーブする人間ではない。おそらく、ここのフロアマネージャは「給仕」として非常に優秀なひとで、注文の量もある程度ひとりで多くこなせるのだろう。だからこそ、自分のキャパを超えたとき、パニックが始まった。

昇進してマネージャになることは、一見良いことのように見えるが、実は現役を引退しなさいという引導をわたされたに等しい。スタッフという現役を引退し、新しい仕事に就いたのだと考えたほうがいい。IT企業でも同じだ。もしあなたがスタッフ職であれば、冷静にみて、おそらくあなたは技術的には自分の部長より上のはずだ。

日本の組織は伝統的に徒弟制度ないしはやくざの組織の系統である。したがって今までは技術が上の人がうえに立つと考えられてきた。自動車を作るのも、脅して金を巻き上げる技術もけんかも強い人が「長」の付く地位をえてきた。

しかし、今後のシステマチックな組織になっていかなければ勝てない時代になれば、専門的な知識や技術があるスタッフと、全体を把握しチームをシステマチックに運営していくマネージャという担当者という考え方に代わっていく必要があるように思う。その方法論を教えてくれるのがMBAだ。だから自分がスタッフであることに自信を持たず、マネージャになることがえらいことだと考えるのは、時代遅れなのではないか。

アメリカがこの辺はクールに割り切っているかというと、実はそんなことはなく、マネージャというよりリーダーがマネージャ役と技術者を兼任している場合が多い。リーダーは「フォローミー」といって最前線で一番に突撃するのがアメリカ的なので。

私はちなみに、主幹部長といういかめしい役職を名刺に付けているが、これは日本でお客様のキーパーソンに会う時に私が何者か理解しづらいからだ。米国本社に登録している役職名は、プリンシパル・ソリューション・アーキテクトで、マネージャではありません(それにしても、生意気な役職名ですね?名前負けしないよう精進します)。

とおる

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高橋徹

高橋徹

現在サン・マイクロシステムズにて、様々なミドルウェア・ソフトウェアの販売推進・ビジネス開発を担当しています。旅行、食べ歩き、読書が趣味。

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