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ビジネスとテクノロジーの間には深い溝がある?

変わるOracle Academyの日本における取組み

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日本オラクル株式会社は、2月2日、教育機関向けのIT技術者育成支援プログラムOracle Academyを刷新することを発表しました。この記事はこの発表内容をレポートするものです。

Oracle Academyとは?

Oracle Academyは、教育的社会貢献活動の一環としてグローバル規模でOracleが展開しているプログラムであり、テクノロジー分野での知識、スキル開発、イノベーション、多様性促進のため、世界規模でコンピューターサイエンスを推進することがミッションです。グローバルでは2000年に開始した取組みですが、国内におけるOracle Academyは2002年から始まりました。以来、大学や専門学校に在籍する学生を対象に、データベースに関する基本技術についての知識とスキルの習得を支援してきました。その後、2010年のSun Microsystemsの買収を経て、Javaプログラムの開発に関するコンテンツを統合し、現在に至っています。

プログラム刷新の背景

日本オラクル株式会社 代表執行役社長兼CEOの杉原博茂氏は、「グローバルでITスキルを必要とする仕事が増加するのは確実なトレンドであり、日本の現状の課題である「少子高齢化による労働者人口の減少」「低い労働生産性」を踏まえると、ITによる生産性の向上が急務である。その反面、パートナー企業との会話の中で、質的・量的両方でのIT人材が不足しているとの声をよく聞く。理由としてはいろいろ考えられるが、ITによる生産性の向上が急務である以上、IT人材育成に投資をしないといけないと感じた。また、既存参加校の70%以上は首都圏以外の教育機関であり、人材育成の裾野を広げることが地方創生にも役立つと期待している。」と述べました。

プログラム刷新による新たな取組み

プログラムの詳細について、オラクル・アカデミー担当マネジャーの瀬戸亮一氏は新しいプログラムの特徴として次の3点がポイントと説明しました。
  • 会員制度の刷新
1年ごとの契約更新から3年間の複数年契約に変わるだけでなく、会費自体を無償化する。また、従来は授業に使うことを想定し、教育機関単位での契約のみを受け付けていたが、新しく個人契約も提供開始する。これにより、先生が授業計画の一環として研究目的で試してみるといった使い方も可能になる。
  • 対象教育機関の拡充
従来は、即戦力を求める企業側のニーズに応えた就職活動を支援するため、大学と専門学校の学生を対象としてきたが、これを中学・高校まで拡大する。そのため、もっと若い世代が高度なIT技術の習得を楽しむことができるよう、CG制作やゲーム開発のコンテンツを提供する。
  • 最先端学習内容・方法に対応
データベースやプログラミングに留まらず、クラウド、ビッグデータ、IoTなど最新のITについての知識を深めるためのコンテンツが用意される。これは中高校生には難しいトピックかもしれないが、大学や研究機関にとっては、最先端の技術に関する研究開発のサポートが期待できる。
瀬戸氏によれば、「今の中学生は技術家庭科の授業の中でコンピューターを学ぶし、高校生も情報という科目が必修となっている。」とのこと。学校の先生は、生徒が興味を持って熱心に学科に取り組むような授業計画を考えないといけないわけで、その責任は重大です。今回の取組みが、新しいことに挑戦しようとする意欲的な教育スタッフの助けとなることを期待します。
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