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ビジネスとテクノロジーの間には深い溝がある?

悩めるマーケターのための多変量テスト:ルクサの事例より

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Oracle Marketing Cloudのラウンドテーブルに行ってきました。

テーマは「B2CマーケティングにおけるOracleの取組み」。B2Cマーケティングにおける「新規獲得」から「コンバージョン」を経て「リテンション/ロイヤル顧客化」に至るカスタマージャーニーをサポートするため、Oracleでは「Oracle Data Management Platform(旧BlueKai)」「Oracle Testing and Personalizaion(旧Maxymiser)」「Oracle Cross Channel Orchestration(旧Responsys)」「Oracle Social Cloud」といったプロダクトを提供しています。今回のラウンドテーブルでOracleフォーカスのは、事例紹介で登壇されたECサイトのルクサが利用している多変量テストが可能な「Oracle Testing and Personalizaion(旧Maxymiser)」でした。

多変量テストとは?

AとBのどちらのパターンがより効果的かを提示するA/Bテストと比べ、多変量テストでは1つの要素だけでなく、複数の要素の効果をそれぞれの要素がどのように影響しているかを踏まえ、最も効果的な要素の組合せを提示します。色、テキストの内容(キャッチコピー)、ボタンの配置、価格情報など、検証したい要素の組合せが多いほど、多変量テストは価値を発揮します。

Webページ公開前にこうしたテストを実施する利点は、公開の前にサイトユーザーの反応をある程度予測できることにあります。今は最も多くの支持を得られる汎用的な組合せを見つければ、それで済む時代ではありません。B2Cマーケターにとって悩ましいのは、最適な組合せが消費者ごとに違うことです。テストでその検証ができれば、消費者セグメントごとの最適な組合せを見つけ、コンバージョンや売上へのインパクトを最大化することができます。こうした一連の作業はシンプルなA/Bテストツールだけでは難しく、高度なテストツールが必要です。

ルクサが多変量テストツール導入に踏み切った背景

ルクサはプレミアムチケットのECサイトを運営している会社。登壇した秀口成勲氏によれば、ルクサには「タイムセール型のECサイト」「キャリアのECサイト」という2つの特徴があります。タイムセール型のECサイトは、一般のECサイトと比べて商品の入替りが早いため、エッジの効いた商品を目立たせるのと同時に「今買うのがお得」という消費意欲を喚起させなくてはなりません。また、KDDIの子会社ということもあり、キャリア店舗、TVCM、キャリアポータルを利用した独自のキャンペーンを展開しています。

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ECサイトのビジネス成長に重要なのは、「会員がサイトを訪れた際に欲しい商品が常にあること」です。リアルの店舗では、よく売れる商品は来店者の目に付きやすい棚に置かれています。ECサイトでも同じで、ユーザーの関心やサイト内でのユーザーの動線に合わせたページのレイアウトにする必要があります。ショップスタッフが購入をサポートしてくれるわけでもないので、ユーザーが欲しいと思う商品を目にする機会を増やすにはページのパーソナライゼーションが不可欠です。ルクサの会員は500万人。多種多様な属性を持つ会員に向けて質の高い購買体験を提供するには、ツールの支援が必要でした。

実際にルクサが行った検証は、会員のポイント感度に応じたメッセージの出し分けでした。キャリアのポイントは、以前は新機種への交換時の費用に充当するぐらいしか使い途がなかったのですが、最近ではショッピングにも使えるようになっています。以下は、購入時にポイントを一部充当するか、全額充当するかで会員ごとのメッセージの出し分けを行った例を示しています。

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Oracle Testing and Personalizationを導入した理由

秀口氏によれば、ルクサがOracleを選んだ理由は次の3つでした。

  • 多変量テストができること
  • グローバルのベストプラクティスとローカルの運用サポートへのアクセス
  • 導入が簡単であること(タグを埋め込むだけで使えるようになる)

ルクサのように商品数の入れ替えが激しいサイトの場合、パーソナライズするページも頻繁に変わります。多変量テストは、簡単なテストツールでは限界を感じているマーケターにとって魅力的な選択肢と言えるでしょう。今後のルクサは、Webだけでなく、メールやソーシャルなどの他のチャネルも包括したもっと快適な購買体験を提供することを視野に入れているとのことでした。

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