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ビジネスとテクノロジーの間には深い溝がある?

カリスママーケターに聞く、こうすればうまくいくB2Bマーケティング

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元GEヘルスケア・ジャパンの飯室淳史さんと言えば、B2Bマーケティング界隈では知らない人はいないんじゃないかと思うくらい有名な方。ぜひ一度お話を聞いたみたいと思っていたのですが、なかなか機会がありませんでした。そんな時、加藤恭子さん主催のKOHO mtgでお話をされると聞き「これは何が何でも行かねば!」と思い、行ってきましたよ。第6回KOHO mtg。

飯室さんはこの9月にGEを卒業され、今は「B2Bハッカー」という肩書きでB2Bhack.comというブログの運営、コンサルティング、講演活動に従事しておられます。B2Bマーケティングは長い間確立された方法論がなく、参考にできる書籍もまだまだ少ないです。とはいえ、テクノロジーの発展とMarketing Automationに代表されるマーケターにとって使えるテクノロジーの普及が徐々に始まり、これまでは肩身の狭い思いをしていたB2Bのマーケターにとって、今はとてもエキサイティングな環境だと言えるでしょう。

講演タイトルは「B2Bマーケティングを失敗する3つのポイント」だったのですが、飯室さん曰く、失敗する3つのポイントは「文化がない」「戦略がない」「ツールに頼りすぎ」とのこと。そして、多くの企業では

「ツール>戦略>文化」

になってしまいがちだと指摘。特に日本の製造業はものづくりには長けていても、自分達で企画して製品を開発してきた経験があまりありません。商品が売れない苦しい状況を打開するため、大体はツールの購入から何かが変わるのではないかと期待してしまうことも多いようです。また、今のMA製品は、昔と違ってインストールすれば使えるクラウド型の製品なので、購入の敷居も低くなっています。今までマーケティング不在だった会社がマーケティング戦略を作ったくらいでは会社は変わりません。ましてや企業文化は何十年もかかって組織に染みついたものであり、そう簡単に変えることのできないものです。そんな会社が「これからはマーケティングだ!」と言ってもお題目に終わってしまうだけ。飯室さんによれば本来の優先度は

「文化>戦略>ツール」

とのこと。「文化を変えると、うまくいけば3ヶ月で効果が出てくる」と飯室さんは話します。そしてうまく行っていない組織は次のような問題を抱えているとのこと。

(ここからメモ)

文化:失敗から学ばない

成功と失敗なら誰しも成功したい。でも成功から学ぶことは少ない。失敗のいいところは次に何をするかを学習できること。失敗させないよう部下を指導するのは失敗を認めないのと同じ。そうではなくて成功するまで部下を勇気づける。これができないと失敗から学ぶことをよしとする文化にならない。

参考にできるのがアジャイルのアプローチ。元々はソフトウェア開発に由来するが、普通の仕事にも適用可能。例えば新製品開発。今まではプロトタイプを作るのに3年くらいかけていたところを、90日で必要最小限の機能(想定の20%)を実装してリリースする。顧客の要求が当初思っていたものと全く違っていたことがわかる。修正する。結果的に半年で完成品ができる。ものすごくTime to Marketが早くなる。こうなると失敗じゃない。実験。お客様から早くどこがダメかを教えてもらい、学習を加速できる。

戦略:結果を担保しない

市場シェア至上主義にありがちだが、ものを売るだけで、お客様がうまく使えるかに頓着しないなら売り逃げと同じ。次から次へと新しいお客様を探し続けないといけないし、逃げられ続ける。ものを売るのではなくて成果を売るのがビジネスの本質。

成果を売るとはどういうこと?お客様の悩み、不満、愚痴を全部聞いて要求を満たせばいいってこと?そうじゃなくてゴールを聞かないと意味がない。ゴールがわかっていたら真のニーズがわかる。だから今困っていることを聞くのではなく、将来どうしたいかを最初に聞くことが大事。

戦略とは現在と将来のギャップを埋めるためのリソース配分を決めること。

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ツール:デジタルツール信仰

マーケターがやりたいことを実現しようとすると、ものすごい数のツールが必要になる。データやインサイトを活用するにはツールを使わないといけない。でもツールだけに頼ってもいけない。マーケティング自動化はマーケティンングのプロセスを整理していないとできない。いい結果を出すためではなくて、手間を省くために使う。

(ここまでメモ)

今回の内容はB2Bに限らずB2Cのマーケターの方でもしっくりくるものではないかと思います。というのは、市場環境変化の早いスピードにいかに適応するかは、日本企業共通の課題だからです。Time to Marketの短縮は、グローバル市場で戦っていく上で重要な要素。顧客からのフィードバックを基にするアジャイルマーケティングが、顧客と直接対峙するマーケティング部門だけでなく、関係部門との連携も含めて今後の企業経営において大きな武器になることを期待します。

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