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長年相場を見続けてきた現役の情報部長が相場について語ります。

けちって儲けても・・・・。

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 日本市場が3連休となっている間の米国市場が堅調となったことやエジプト騒乱が一段落となったこと、為替も円安となったことから買い先行となりました。ただ、新興国のインフレ懸念、資源高などの影響を懸念する向きも多く、好決算に反応して買われるものが見られる一方で買い一巡感から売られるものも見られ指数の上値も限定的となりました。目先的な過熱感も強く、積極的な買い手にも乏しく上値の重い展開となりましたが、中国の貿易統計が拡大していることが発表されると中国関連銘柄などが買い直されて大幅高となりました。

 決算発表もほぼ出揃って、想定された通り好調な決算と慎重な見通しを示すものが多く見られます。ただ、これまでこのコラムやセミナーなどで述べてきたように、企業業績ということでは思ったよりも改善しているものが多いのではないかと思います。スマートフォン関連やスマートグリッド関連、そして何よりも米国企業と同じように新興国の生活水準の向上の恩恵で業績が拡大する企業などはかなりの業績改善、回復だけではなく、大きな伸びとなっているものも見られます。

 米国では企業業績の向上、回復が雇用や個人消費に結びつき、景気回復の安心感から消費者信用残高=借金をして消費する動きが回復しています。それに比べて日本では企業業績の回復が増配や自社株買いにはつながっても消費や設備投資に回るお金が少なく、「景気の回復」と言う意味では回復している実感はわかないのではないかと思います。米国や中国のような「消費社会」を日本に望むことは無理なのかもしれませんが、バブルの時ではないですが、個人がお金を使えないのでしたら、企業がもっとお金を使うようにしないと景気の回復はおぼつかないのではないかと思います。

 米国や中国のように個人が消費を出来ない上に、企業が「コスト削減」とばかりにお金を使わず、お金があれば配当や自社株買いに使うようでは日本経済の活性化には結びつかないと思います。いつも述べていることですが、例えば、儲かっているゲーム会社がタクシーをどんどん使えばタクシー運転手が儲かり、タクシー運転手が毎日1本余計にコーヒーを飲むようになればコーヒー会社儲かり、コーヒー会社の社員の給料が上がり、どんどんゲームをする社員が増えればゲーム会社がますます儲かる、と言うような流れが企業が「お金を使う」と言うことに罪悪感を感じているから滞ってしまっているのだと思います。思い切って株主よりも社員に還元、コスト削減ではなく、コストもかけるようにしてみると案外うまくいくのかもしれません。

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