オルタナティブ・ブログ > 吉政忠志のベンチャービジネス千里眼 >

IT業界でベンチャービジネスの支援をしている執筆者が日々の活動ログと感じたことを、徒然なるままに書き綴っていきます。

とるべき道は何か?正解の本質

»

ちょっと大げさなタイトルにしてしまいましたが、ビジネスをしていると、当然迷うこともありますし、間違うこともあります。

そんな時は、社長の言葉を思い出します。

「迷った時は客に聞け!」

利益を維持できたうえで、判断に迷う時は、まさにそう思います。

ビジネスを展開する上で、ビジネスの効率を考えたり、駆け引きを考えたり、いろいろなことを考えると、判断基準が薄まり、本当に迷うことがありますよね。

そんな時はお客様の要望に応えることを一番に考え、次のアクションを決めるのが大事だと改めて思います。相手が市場であれば、ターゲット市場の顧客が何を求めているかを聞くべきだと思います。

つまり、ビジネスにおける正解の本質は「顧客本位」です!

その実現の為には、何を基準に考え、何をすればよいのでしょうか・・・?と書こうと思ったのですが、考えてみれば、4年前にAllAboutでそんな記事を書いたのを思い出したので、その時の記事をベースに再編集したものを書いてみます。

以下では、過去のベンチャービジネスを通して私自身が体験した「自分本位」と「顧客本位」の勘違いからおこる悲劇と、そこからの脱出方法について自分なりの考え方を書いてみます。

■ぬぐいきれない自分本位

おもしろい話ですが、どんなに「高飛車なビジネスをしている」と周囲から指さされている会社でも、当人たちは、「自分は顧客の事を第一に考えてサービスをしている」と思い込んでいるような気がします。ひょっとしたら私も自分本位でサービスをしているかもしれないですが、おそらく、どんな人間でも多少なりとも主観と自尊心は絶対に存在するので、ビジネスにもかならずどこかに「自分本位」の危険性は潜んでいると思います。   この「自分本位」を排除することがサービス品質の向上に確実につながると私は考えています。顧客本意のサービスは顧客から評価され、口伝、リピート・オーダーなどで、必ず売り上げに跳ね返ってくると信じています。

■顧客本位/自分本位のチェック項目

「顧客本位のサービス」は重要です。そんな話は誰でも分かっていると思います。ここでは、そこからもう一歩踏み込んでみます。 どうやったら「自分本位のサービス」を見つけ、それを排除することができるのでしょうか?下記項目で当てはまる部分があれば、その会社には「自分本位のサービス」が存在していると思います。

□メールでのサポート業務の全てが必ず定時に終了している

□営業、マーケティング部門の業務がいつも定時に終了している

□ホームページに専門用語・技術用語が多く、わかりにくい

□ホームページのコンテンツが付け足し・つぎはぎで作られている

□顧客満足向上のための提案をすると「そこまでやらなくてもよいと思います」という反論が出てくる

□営業マンの提案書がワンパターンである

□顧客の意見をサービスに取り入れていない

……ほんの一例ですが、多くの企業に当てはまることが多いのではないでしょうか。しかし、”一流企業”といわれているような企業ではほとんど当てはまらないはずです。 一流かどうかは、会社の規模とは関係がありません。小さくても一流の企業はたくさんあります。では、一流企業と二流企業の違いはなんでしょうか?

■顧客本位/自分本位を生み出す差

顧客本位か自分本位かを生み出す「差」は、「人材品質の差」だと思います。 私は大きな企業の一員として社会人人生をスタートしましたが、のちにいろいろなベンチャー企業の仕事を経験していくうち、如何に様々な人間がいるかを思い知りました。 突然ゆくえがわからなくなる人もいましたし、前日まで仕事が順調に進捗しているような報告をしておきながら、期日になって「実はやってませんでした」なんていう報告があったり、良い事しか報告しなかったり(これは結構多くあることかもしれませんね。本当に知りたいのは悪い情報なのですが)、重要なメールに返信がなくて、仕事の依頼が伝達したかどうかもわからなかったり、などなどです。

■具体的な解決方法とは!?

こういう状況に直面した際に、「人員を全面的に入れ替えて、人材の品質を上げる」というやりかたも方法としては存在します。しかし、そのような案は仮に実現しても状況はあまり変わらないとも思っています。 なぜなら、社員を一流に、あるいは二流にするのは経営陣だからです。(そもそもベンチャー企業にそうそう素晴らしい人材は入社しません!どこか型破りでとんがった人材ばかりですので、うまく使わないとてんで役に立たないはずですww)人員を入れ替えても、経営のやり方が変わらなければ、改善はしません。社員を入れ替えるくらいなら、いっそ経営陣の誰かを入れ替えたほうがよっぽど良いと思っています(笑)。 では、どうすれば人材品質が上がるのでしょうか?

1.「理由づけ」と人員の精査

人員に対して、仕事において「なぜ、そうしなければならないか」、そして「その作業の対価として給与が支払われていること」。この2つの理解徹底をします。これが理解できない人間は、厳しいようですが去っていただくことも視野に入れねばならないとも思います。コスト意識(経費だけではなく、人件費のことも言っています)が無い人は、一般的に仕事の品質も悪く、パフォーマンスも悪くなるのです。

2.手本を見せて、やらせてみる

命令するだけでは、人員が理想的な動きをすることはありません。上に立つ者がみずから現場作業を行い、手本を見せることが大事だ、と思っています。「この会社で、自分もやればできるのだ」という感覚をもたせることが必要であると考えています。これにより人員は高品質なサービスを実現できる喜びと市場・顧客からの反応を体感でき、顧客本位で動くベースとなるマインドが生まれてきます。(山本五十六 元帥の「やってみせ、いって聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ 」そのままです!)

3.信賞必罰 

良いこと・悪いことを明確にする これは簡単そうで、なかなか難しいです。なぜなら、企業では良いことと悪いことの基準が、会社のビジョンそのものであるからです。このビジョンがしっかりしていないと、サービスのみならず、営業のセールストーク、対外的な文章なども全てブレます。 但し、この基準さえ明確になれば、社員が何をすればよいか、何が顧客にとって一番提供するべきサービスかわかるはずです。

ずいぶんと堅いことを書いてしまいましたが、最後は直球的かつ実践的な、私なりの解を書こうと思います。

■一流と二流の差は○○にあり!

企業を一流と二流に分ける差?は経営陣・人員が「本気でぶつかること」を実践しているかにあります。 自分に甘えて自分本位なサービスを平気で行う人員には本気でぶつかって、理解してもらうしか方法はありません。しかし、実戦ではうまくいっていない会社の場合は特に、そういった自分本位な人間が多数派を占めているので、大勢を相手にするのは結構大変です。自分本位がその会社の常識になっているので、その中で「顧客本位」を強く打ち出すのは、かなり奇人扱いもされますし、勇気がいることです。そういった場合に必要となるのはやはり、自分自身で徹底し作りあげた「顧客本意のサービス」と強い信念をもって、相手の心を動かすことが一番の上策と信じています。 実績に裏づけられた発言や企画。苦労して作り上げた「顧客のサービス」。「絶対実現するんだ!」という鉄の意志。 事業の核となる人間が真面目であれば、時間をかければかけるだけ、そして苦労すれば苦労したぶんだけ、企画や発言は重くなります。そして、みずから実践するサービスの品質は上がり、そして、その意志は時間と苦労を積み上げた分だけ、強くなるものです。自分本位なサービスを顧客本位に変えるためには、社員のマインドを徹底的に変える必要があります。そのためには、自分がまず実践しなければいけないですよね。私も精進します。お互いに頑張りましょう!

Comment(0)