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IT業界でベンチャービジネスの支援をしている執筆者が日々の活動ログと感じたことを、徒然なるままに書き綴っていきます。

ビジネスの成功にも失敗にも偶然はない

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ビジネスの成功も失敗にも偶然はないと最近よく思います。

結局、ビジネスは仕事をした分しか、成果は出ないと思います。

ここでいう「仕事をした」というのは、あくまでもビジネスが成功するための必要条件をどれだけ埋めることができたか?ということになります。

いくら仕事をしたといっても、成功の必要条件に合わないことをいくらやっても意味がないので、それは仕事ではありません。

では、その成功条件とは何か?

それは、単純に言えば、「お客様のニーズに合ったものを提供し続ける」といえばそうなりますが、それではかなりの部分が足りません。

お客様と言っても、会社の中で決定プロセスに携わる方々の全てが要求に対して合格点を得る必要があります。

単純に言えば、「マネージメント層にはリスクヘッジとコスト削減」になりますし、「現場には使いやすさ(メンテナンスの容易性を含む)とサポート」になると思います。

さらに、間接販売をしている場合には、お客様とメーカーの間に販売店が存在し、「お客様が購買したい必要条件」に加え、「売りやすさ(シンプルなセールストーク、事例、比較資料やセールスツールなど)」、「メーカーからのサポートがしっかりしているか」、「時流に乗った製品のように見えるか」、そもそも「品質が合格点か」などの「販売しやすい必要条件」があります。

この二つの必要条件及びその中を構成する必要条件は全てが同時に揃わなければ、ビジネスは絶対に成功しません。(ちなみに、うちはやっているのに成果が上がらないという方は、やり方が悪いか、やっていると錯覚しているかのどちらかになります。目標とするライバル会社と何が違うか、細かい表を作って比べてみると一目瞭然になるはずです)

実はここがベンチャービジネスの難しいところです。

ベンチャービジネスには夢と希望とアイディアはありますが、その他は何でも足りないことばかりです。
(金もなければ、人もいない!という感じでしょうか?(笑))

実際のベンチャービジネスで起こることは、お客様の購買条件をそろえようと頑張ると、人手が足りず、「販売しやすい必要条件」がおそろかになり、「販売しやすい必要条件」に力を入れると他方がおろそかになりがちです。

では、どうすれば良いのか!?

私が考える回答は下記です。

1)サポートのクオリティは90%以上に保つが、他は60%~70%レベルの完成度でもとにかく実施する
(とにかく走り始めると、残りの30%~40%は販売店のほうが協力してくれたりします。世の中の誰もが儲かるビジネスには参加したいのです。儲かりそうなことがわかると、外部の協力者が自然に増えるので大丈夫です)

2)機動力がない人間はベンチャー会社には、入れない(そういう方々はベンチャー企業には向いていません)
(月額の給与は「1」の仕事をしても「10」の仕事をしても毎月必ず会社から支払われます。(特にソフトウェア系のビジネスはそうですが)機動力がない社員が多い会社は絶対に利益が出ません。利益が出なければ、今度の投資(開発やマーケティングなど)も鈍化するため、衰退しやすいです。

特に重要なのはこの機動力です。

機動力があれば、例え間違ったことをやっていても修正も早いので、ビジネスの完成度や品質が上がるのも早いです。
(大事なのは、じっくり考えることではなく、複数の人間に頻度高くチェックを行い、且つ社外公開のプロセスを明確にすることが非常に大事です)

ただ、機動力というのは実際の会社の中にいる人たちからすると、基本的には自分の会社の中の基準で考えてしまいがちなことが悩ましいことです。

例えば、営業の例をとると、1日1件しか訪問しない営業が過半数をめる会社ではどうなるかといえば、「マーケが悪い」や「製品が悪い」、「戦略がそもそも」と言いだしてしまう始末になります。(1日1件しか訪問していない自分たちを正当化してしまう状態です)

(実際に1日1件しか訪問しない営業が多数を占める会社はかなり致命的な状態にある場合があります。1日1件のペースで訪問をした場合、月間の訪問件数は20件になります。1顧客の平均的な月間訪問件数を2件にした場合、月間の訪問社数は10社になります。その中での受注率を仮に2割におくと、月間2件の受注になります。この2件の受注金額で黒字化するのであれば問題はありませんが、月間2件の受注で黒字化する会社はほとんどありませんよねw)

人間はそもそも自尊心があり、どんな人でも自動的に自分の心を防御してしまうようにプログラム化されています。
それ故に、自身の正当化というのはある程度避けて通れませんが、ここを改善しなければ、なんともしがたいです。

ではどうすれば良いのか・・!?ということになりますが、、最後はつまらない結論を書いてしまいます。

それは、社内目標の数値化が前提になると考えています。

言葉は人によって解釈が変わりやすいですが、数値はそのブレが少ないため、割と原因を把握しやすいです。

ただ、この数値化(例えばKPI)の作り方は、非常にセンスが問われる部分だと思います。
指標の作り方によって、ゆがんだ結論を正当化することも、誤解を与えてしまいうことも、管理オーバーヘッドが増えてしまい、定着しなくなることもなど、どうにでもなります。

このセンスとは何か?といえば、それは物事の本質を見極めることで磨かれると思います。

この本質を磨くための方法については、いつか機会があれば自分のことは棚に上げた大前提で、書いてみたいと思います。

それでは今日はこの辺で。

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