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IT業界でベンチャービジネスの支援をしている執筆者が日々の活動ログと感じたことを、徒然なるままに書き綴っていきます。

焼き畑農業的戦略展開

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昨晩、某上場企業のO氏と会食しました。「社会から必要とされない会社は生き残れない。社会に貢献する仕事ができなければ継続は難しい」と本気で熱く語るO氏。私もまったくその通りだと思しました。

この志を本気で掲げている経営者は意外にも少ないのかもしれません。周囲を見ると、

「自分の成功のために、社会から求められる必要がある」

「自分さえ成功すれば良い」

などと本音では思っている人が意外にも多いかもしれません。

それを口に出さなくても、その会社のWebを見れば、それがわかります。

経営者のスピーチを聞けば、それがわかります。

メーカーやソリューションプロバイダーを例にとりますが、焼き畑農業的な戦略を展開している会社を見ます。市場は搾取するものではなく、育てるものです。ベンチャーを志すのであれば、というよりもビジネスマンとして恥ずべき状況ではないかと思っています。

私が考える焼き畑農業的な戦略とはこんな感じです。

1.その市場に参加するシステムインテグレーターなど(メーカーにとってのパートナー)の投資が派生的利潤を産まないモデル(最初に投資をしたメーカーなどのみが投資を回収できる、メーカーだけが儲かる短絡的なモデル。付加価値を提供できるのが最初に投資をした者になりがちで、ビジネスモデルが拡大せず、需要一巡で終了してしまう傾向があります)

2.極めて特定の存在がたいした付加価値を提供しないのに、永続的な利潤を得ることができるモデル(このモデルに参加する企業はうまみがありすぎて、この形を崩す可能性があるもの排除する傾向があり、モデルが成長しませんし、付加価値を増やそうとする企業努力が減退し、じわじわと衰退するモデルです。このモデルは非常に危険であり、じわじわと体を蝕む癌のように、社員を含む全員がこのうまみに漬けられて、廃人のような使えない人間になってしまうような気がします。そうなっては手遅れです。)

上記のような自体が横行すると、その産業は本当に衰退すると思います。

私はこういうモデルを戦略として堂々と話しをしている経営者を見ると、大変悲しい気持ちになります。自分達が生きている市場はそのあとの後輩たちが生きていく市場でもあるのです。

短絡的な利潤を求めたくなる気持ちはベンチャー企業に身を置く者として、その気持ちはわからなくも無いですが(ベンチャーは何だかんだ言って、なかなかシビアな企業体ですので)、設立当初に存在していた高い志を実現して欲しいと思います。

そして、ここまで書いてしまった私はまずそれを成功例として実現してみます。(今日は自分を戒める意味でも書き込んでみました)

今後ともご指導ご鞭撻のほど、宜しくお願いいたします。

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