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システム調達のラチェット効果

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ASCII.jp:インストール不要で複数OSが高速起動する東大の変態Mac (1/5)

みたいな記事がありました。

この時にユーザ側の要件が提示された要件そのものであれば問題ないと思います。だがしかし、デュアルブートとか、ブート時間が数十秒という要件よりもゆるーいゆるーい要件がるけれども提案者が頑張って価格以内でこの機能を出したとして、その次が問題になるんじゃないでしょうかね。

エンドユーザは最高の品質を求めると思いますが、調達の主体となる情シス部は安かろう悪かろうであったとしても、コスト度外視の品質至上主義というよりは、予算内でコストパフォーマンスを重視して選定するのが一般的かと思います。

金額からして、例えば1回のターンアラウンドタイムが3秒が妥当というシステムがあったとして、そこ以外の運用面とかヘルプデスクとかがボロボロでもターンアラウンドタイムを順守したシステムがあったとして、次期のシステムが3秒ぴったりであったとするとします。例えば現行システムが3秒ならば現状維持なので劣化した感じはないと思いますが、現行システムが1秒であった場合、次のシステムが総合評価で1位ながらも性能面で3秒であった場合、調達および評価という面では問題なくとも利用者の視点からは明らかに劣化した感があり、費用負担をする立場ではないので「劣化した」という印象だけが先行することとなります。

おそらく現状の公共システム調達ではこうした観点が抜け落ちており、半自動的に「現行同等」というスペックが先行するためにオーバースペックであったとしてもターンアラウンドタイムなどは一度上がろうものならばラチェットのように下がりはしないという特性があるかと思います。

戸籍などの処理は遅延すると相続などの観点で大変な事態となることもあるでしょうが、図書館のシステムなどはこの辺りは全然問題にならないのに硬直的なシステム調達の仕組みが存続して全体最適を妨げているのではないかと感じました。

というのも以前は1秒以内にはレスポンスのあったシステムが指定管理者の移管で1.5秒くらいに劣化したからです。ただ、図書館のSLAを考えるとイライラするほうがお門違いというものですが、やはり列に並ばされると「何やってんだ!システムちゃんと選定しろよ!」という視点になってしまいます。お財布感覚を持ち続けることの難しさを実感いたしました。

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