まとめサイトはインターネットのシェールガスか。
最近いろいろなところで「まとめサイト」の名前を耳にします。そんな折このブログを拝見しました。
『まとめサイトの手法は、テレビのワイドショーと全く同じ - 長椅子と本棚』
http://d.hatena.ne.jp/dergeist/20130217/1361117835
確かにもやもやしたものをはっきりと言葉にしてもらったような感じです。ただその一方で、たしかに否定的に言われているようなあまり役に立ちそうにないまとめブログも増えているようですが、そもそものまとめブログはそんなひどいばかりのものではなかったようにも思います。
唐突ですが、私はエネルギー産業には詳しくないので間違っているかもしれませんが、化石燃料というのは
(1)掘れば出る時代
(2)海底油田のように工夫して掘る時代
(3)シェールガスのように大きな工夫をして掘る時代
というように三段階くらいになっているかと思います。
インターネット上の有用な記事というのもこんな変遷があったのではないでしょうか。
(1)情報発信が一般的ではなかったものの、その反面でネット全体の情報量が少ないためにこってりとした記事が書ける人がきちんと目立っていた時代(目立つHPはおもしろいという時代)
(2)情報発信が一般化してきてゴミみたいなブログとおもしろいブログの区別が難しくなり始めた時代(はてブ等で目立てばおもしろいという時代)
(3)情報発信が非常に一般化してきて「こってりとした書き手」が埋没し、その他大勢の意見に気圧される時代(その他の意見を組み上げればおもしろいという時代)
振り返ってみると、実はまとめブログというのは「育児」「エロ」「情報漏えい等の祭り」のような分野で(2)の時代からひっそりとはじまってきています。それは一般的な人をひきつけるような今のまとめブログとは異なりますが、根本的な手法としては最近出てきたものではありません。最近目立つようになったのは、上のブログで指摘されているような、多くの人の目を集めやすいような仕組みを学習し始めたからだと思います。
また、(2)の前後にはネットでの情報発信の技術的な難易度が変わったということも大きなできごとです。文章だけでは人目を集めないような内容でも、「やる夫で学ぶ」シリーズにすれば大きな注目を集めることができた時期がありました。やる夫ブログの盛り上がりの理由の1つにはコピペAAが豊富で投稿がしやすかったことがあるでしょうし、もう1つにはそこに読んでくれる人が集まっていたということがあるでしょう。
(2)から(3)へのシフトはなぜ起こったのでしょうか?それには化石燃料が枯渇してくるのと同時に技術が進歩してシェールガスに向かったのと同じような背景があるように思います。(1)や(2)で目立ちたい、読んでもらいたいと考える人がソーシャルメディアの盛り上がりにともなって労力に見合わないアクセスしか得られないという現象に見舞われました。その一方で検索技術は向上し、まとめサイトエディタやtogetterが誕生しましたし、ツールだけでなくてフォントいじり等のノウハウも確立されました。更に精神的な満足感だけでなくてアフィリエイトという要因も大きかったでしょう。ただし、私の考えではまとめサイトはアフィ目的のものばかりではないと思っています。なぜならば(1)や(2)で作られていたようなヘビーで役立つコンテンツは姿を潜め、そのかわりにバラバラにしか情報が存在していないのが今のインターネットの状況だからです。(もちろん私のようなブロガー達もがんばっていますので、一般的な傾向として、の話です。)
そんな中で情報を欲しいと思った人が2chやtwitterを検索して、わざわざWordやExcel等に貼り付けずにどこでもいつでも見られるブログ上に置いておけば他の人からお礼を言われて嬉しい、という繰り返しによってまとめサイトは増える一方にあるのでしょう。これからもずっとこの傾向は続くと思います。しかし進化の方向性というと強くというよりは広く進化し、よりニッチな分野でのまとめであったり(最近海外版の2ch的サイトの日本語翻訳やスポーツ分野が人気ですが)、過去スレを漁って古い情報を振り返るような方向が有り得るのではないかと見ています。
最後になりますが、この(3)の時代になって一般の人にとっては情報は自分でまとめるか他人にまとめてもらうものという感じとなりました。自分でまとめるというのは探すを含みます。(1)や(2)の時代には自分でまとめるという選択肢はまったくなかったわけですから可能性が広がって便利にはなりました。ところがもっと便利になった人がいます。有名人です。twitterで万クラスのフォロワーがいれば自分でまとめなくても「●●ってどうするの?」と聞けばその回答がたくさん集まります。あっという間に集まります。ですので有名人がソーシャルメディア最高だからみんな使おうというのはネズミ講で言えばアンダーの人がたくさんつく状態になりますからどんどん薦めたくもなりますが、下にいる人は別に最高でもなんでもないわけで(ほとんどの有名人は心の底から便利と感じで100%の良心で薦めていると思いますが)有名人と一般の人とでは使い心地には差がありますね。