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忘年会の季節ですがクーポン販売サイトは消防法違反ビルのテナントを審査で拒否するんでしょうか?

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空気が乾燥する季節となり心なしか消防車のサイレンも多くなったように感じます。

2年前に高円寺の雑居ビルで4人がなくなる火災がありました。2001年には歌舞伎町で44人が亡くなる火災がありましたので雑居ビルに対する消防署の検査が強化されていたはずですが、それでも起きた大きな事故は多くの人の記憶に残るものとなりました。

なかなか無くならない消防法違反の雑居ビルに対して、東京消防庁は2011年4月から建物の住所や名前の公表制度を開始しています。

『東京消防庁<インフォメーション><火災予防条例が改正され違反対象物に関する公表制度を創設!>』 http://www.tfd.metro.tokyo.jp/inf/h22/10/kaisei.html

東京消防庁管内の建物における次の1、2の違反について、当該違反内容を関係者に通知してから一定期間経過後においても同一の違反が認められる場合に「建物名称、所在及び違反の内容」を東京消防庁のホームページ及び管轄消防署等の窓口において公表します。

    1 消防用設備のうち屋内消火栓設備、スプリンクラー設備又は自動火災報知設備の未設置による設置義務違反
    2 防火管理者の選任義務がある建物のうち、遊技場、カラオケ施設、性風俗店もしくは飲食店または雑居ビル等における、同一の関係者による防火管理もしくは消防用設備の維持管理等の繰り返し違反

なお、公表中の違反の是正を確認した場合は、当該違反に係る内容を削除します。

これによると消防署が是正を確認した場合は公表が取り止められるように見受けられます。

と、するならばこちらのリンク先にある建物はまだ対応がされていないと見て良いと思われます。

↓ここから検索できます。

『東京消防庁<違反対象物の公表制度について><公表されている違反対象物>』 http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-sasatuka/ihan/ihan_01.html

この中で試しに飲食店の多そうな「新宿区」や「渋谷区」を検索してみると、自動火災報知設備未設置や屋内消火栓設備未設置といった違反が指摘されています。今年の11月といった比較的新しいものもあれば、5月や7月といった時期に指摘を受けたものが今なおこうしてPDFで公表されているという建物もあります。(PDFなので結果が閲覧しにくいですが)

それらの住所を検索すると、しっかりと営業しているらしき飲食店があるということが確認できます。公表しても効き目がないのかもしれません。それを受けてか東京消防庁はYahooにバナー広告を出して消防法違反ビルの注意喚起を開始したとのことです。

『東京新聞:東京消防庁 消防法違反ビルにご注意 バナー広告で認知度アップ:社会(TOKYO Web)』 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011111902000180.html

私が問題に思うところがあります。今年の初めに非常に低品質なおせち料理を販売したとして、とあるクーポン系サイトが極めて大きな批判を集めました。当該事業者は利用者への「プロミス」としてこのようなことを言っています。

加盟希望店が過去に法令違反をしていないこと、飲食物を扱っている場合に過去に食中毒を起こしていないこと、反社会的勢力との関係がないこと等を外部審査機関とも連携して審査します。

しかし私の検索したところでは消防法違反ビルに入居するテナントのクーポンが通常通りに販売されているように見受けられます。

クーポンを販売することで利益を得る会社として、自社が販売したクーポンを利用した際に消防法違反に由来する火災により利用者が命を落とすということに思い至らなかったとしたら、私の個人的な感情として、それは今年のはじめのおせち事件からの学習が不十分であるように感じられます。また加盟店審査のポイントに「法令違反をしていないこと」とありますが、「消防法違反として公表されたビルにテナントが入居している」というのはそれに該当しないと判断されているのかもしれません。インターネット上で1分ほどあれば確認できることですし、Yahooへのバナー広告配信は一般ではそれほどでしたがインターネット上ではそれなりのニュースとして受け止められたように思います。ですので軽微なものとしてセーフ判定をしているのかもしれません。

もちろんおせち事件で有名になった一社だけでなく他のクーポン系企業も同じように言えます。なお、感想を投稿し共有し合うグルメ情報サイトについてはクーポンの仲介のような直接の金銭のやり取りもなく、また、それと知らずに飲食店を利用したユーザが感想を書きたいという場にもなっているのでしょうが、同様にせっかく公表されている「消防法違反ビル」という情報を活用してもらいたいものだと思います。

消防法に違反しているのはあくまでビルのオーナーであって各テナントは直接の関係がないかもしれません。しかし消防法違反ビルにテナントが入らないようになればもっと事態は好転するはずです。せっかくインターネットで安価に情報共有ができるのですから、見て見ぬふりか気づいていないのかどちらかはわかりませんが、東京消防庁の努力の成果を共有して安全な忘年会としたいものです。

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