スマートフォンに大規模不具合が発生したら……。
タイの洪水でHDDの生産に影響が出るのではないか、ということがニュースになっています。
HDDといえばSeagateや富士通の製品に潜んでいた不具合が顕在化して対応に追われたことがありました。この問題が大きくなった原因のひとつに、HDDメーカーの寡占が進み、1つの製品が極めて大量に作られて出まわるというところがあったのではないかと思います。(もっとも、HDDメーカーが数多く存在する状態であったとしても必須素材のひとつでも寡占化されていればそれが大規模不具合発生の原因になります。)
また、バッテリについても共通化を進めると複数製品に不具合が出てしまうことがあるようです。CPUでは1994年にはPentiumが全数リコールとなり大変な騒動となりました。その後、Pentium IIIもリコールとなりました。またチップセットではIntel 6シリーズチップセットに不具合がありました。i820リコールを思い出した人がいたかもしれません。
一般的な企業がPCを調達する際に全社で1機種、1調達タイミングに統一するということはあまり一般的でないように思います。メーカーが揃っていても毎年一定割合で購入したりですとか、1年ですべて入れ替えるにしても複数メーカーから購入するですとか、そういうやり方のほうが多いのではないでしょうか。これが自然とハードウェアに多様性をもたらし、大規模不具合の発生リスクを下げているように思います。
一方でスマートフォンやタブレット端末はというと、iOS系とAndroid系を混在させると互いにアプリの互換性がないためにどちらかに染まってしまいがちです。また、iPhone 3xとiPhone 4xでは画面サイズが違いますし、Androidも端末ごとに画面サイズが違います。そのためか、PCよりも端末が画一化されやすい傾向があるように感じます。
今のところはスマートフォンやタブレット端末が「ないと仕事にならない」レベルに組み込まれていることは稀でしょう。一人一台配布されているところはまだまだ少数派です。よって移動時のスキマ時間の有効活用であったり、PCより簡単に情報を閲覧する位置づけであってPCも持ち歩くというような使い方が多いようです。
しかしスマートフォンが業務に本格的に組み込まれてきた頃に大規模不具合が発生したならば、全社員に影響が出ないとも限りません。メーカからの出荷時にうまくロットをバラしてもらえるのであれば、全社的な影響を回避する助けとなるでしょう。大規模なストレージを購入する際にはHDDのロットをずらしてもらうことが多いですが、同じことをする取り組みが効果的であると思います。
バッテリの不具合では社員が自主交換することが多かったですし、CPUやHDDの不具合では現場に派遣された保守員が土日にどんどん交換していくといった手法がとられたようです。一方でチップが分離不能なスマートフォンの場合ですと基本的には端末交換しかないと思われます。
個人的な思いとしては、自分で電池交換をできないiPhoneやiPadに電池のトラブルが発生するですとか、Androidでの採用率が高いSnapDragonやTegraに不具合が発生するようなことがあると、大変なことになるのではないかと危惧しています。iOSのような強力なフルバックアップ機能を有するか、重要なデータはネットワーク上に置いていたほうがいいかもしれません。