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”家庭生活”ぶら下がり社員が社会をむしばむ?

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誠 Biz.ID:「新・ぶら下がり社員」症候群:「新・ぶら下がり社員」が企業をむしばむ (1/2) http://bizmakoto.jp/bizid/articles/1102/03/news001.html

が企業視点ワンサイドな内容に見えたので、反対サイド”家庭生活”の面から考えてみました。無理な表現になってしまっているところもありますが、それは原文を尊重した上で裏返すことでワーク・ライフ・バランスについて考える事のきっかけとなれば、と思いそうしたことです。失礼なところがありましたら可能なかぎり速やかに修正しますのでコメント欄にてご指摘いただけましたら幸いです。

ワーク・ライフ・バランスのライフ部分、すなわち”家庭生活”を配偶者(主に妻)や両親にぶら下がる”家庭生活”ぶら下がり社員ばかりになったら、社会はどうなるのだろうか。

みなが100%のやる気で働いていたら、そこそこ社会は維持されていきそうだが、それで安心していたら危険である。

社会にとって現状維持は衰退を意味する。マグロと同じで、泳ぎ続けていないと死んでしまうのである。社会が存続するにはわずかでも人口を維持し続けなければならない。目標出生率は2.0ではなく、2.1くらいなのである。

多様な生き方の中で子どもを望まないと考える人がいる一方で、たくさんの子どもを望む人もいる。子どもを持つ人からしたら、うちの子どもが大きくなったら子無しの人を支えなくてはならないんだろうか、と心配に思い、子どもを持たない人からしたら、なんで子ども手当とかで負担が増えねばならないのだ、と思う。互いにそう思えば社会の雰囲気は悪くなるだろう。ただ、両者ともにやはり生活のための時間は必要だ。我が社では会社に貢献しさえすれば、深夜に終電やタクシーで帰宅して土日は寝て体力回復をする時間であり、地域社会や学校等に参画しなくてもいい、そのかわり給料はたっぷり払う、という考えの人ばかりになれば、フラストレーションがたまり、社内全体の活気がなくなる。個々人において会社以外の部分の衰退が始まるのである。

最近のコンビニの商品を見ていれば分かるだろう。めまぐるしく商品が入れ替わり、新商品でも売れないものは次の週には外されてしまう。ヒット商品も3カ月もたてば消費者に飽きられるので、絶えず次の一手を用意しなければならない。高度成長期やバブル期は限られた時間に同じものをより効率的に作って売ればよかったが、今は新しいものを次々生み出すスピードと発想力が求められているのである。なぜか。子どもが減って社会全体の需要が縮小していることと、お金を使う時間がないほど会社に拘束されてしまう人が増えているからである。

そのような時代で現状維持はあり得ない。そして現状維持の企業は次々と市場から姿を消していくのである。なぜか。子どもが減って社会全体の需要が縮小していることと、お金を使う時間がないほど会社に拘束されてしまう人が増えているからである。

子育てなんかさせたくない、古く良き昭和の時代の父親のような会社人間がいいという会社ばかりになったら、社会はどうなるのか。

30歳前後の社員が家庭生活の維持を無視し他の誰かにぶら下がり続けていたら、すべての新たな国民を海外から募集する事態になるかもしれないのである。

外部から新たな国民を招くのは、いい面もあるだろう。日本文化に染まっていない分、大胆な発想ができ、客観的に国の行く末を考えてもらうことができる。しかし、いちから言葉や文化などを覚えるのは簡単ではないし、日本に愛着を持つようになるのにも時間はかかる。日本の人間なら、気候風土を知りつくして人生の最終局面での海外移住をためらうという面もあるが、海外で暮らしてきた実績や経験があれば何より祖国に帰りたくなっても不思議ではない。やはり日本の人間が次世代を産み育て、人口が減ったり移民を受け入れるにせよ、それを緩やかにすすめるのが望ましい。

30歳前後がダメなら、その下の世代の優秀な世代に次世代育成を任せればいいと思うかもしれない。

だが、年下が子育て、年上が独身という構図がギクシャクするのは、雇用機会均等法が導入されてから多くの企業が体験してきただろう。年下の子育て世帯を持った上司・先輩は、もちろん全体のことではなく一部のことではあるが、ますます仕事にやる気を持ち、打ち込んでしまうこともある。それ自体はまったく問題のあることではないが、目上の社員が遅くまで残業するのを横目にまだ日も沈まぬ先に帰宅するのは非常に心苦しい物がある(職場の雰囲気が良ければ良いほどつらい)。しかし帰ったところで遊んでいるわけではなく、

  • お迎え
  • 保護者役員会の準備
  • 食事を作り
  • 食べさせたり入浴
  • 風呂
  • 歯磨き
  • 爪切り
  • 折り紙等の持ち帰り工作を見てあげる
  • 本を読んでの寝かしつけ
  • 保母さんとの連絡ノート記入
  • 翌日の衣服の準備
  • 持ち物の点検

等に加えての、家事が待っている。保育園関連の雑務については二重保育等の問題に陥ってしまった場合には2倍になるし、その場合は出費も相応に増加する。

今の時代は、企業にも家庭生活の維持目線で判断できる人が必要である。

先日、課長クラスの男性が企業内育成プログラムに参加し、ファシリテーターから「子どもに37度以上の熱が出た場合、あなたならどう判断し、どう対処しますか」と問いかけられ、「まずは病児保育に連絡して空きを確認します」と答えたというネットの記事を読んだ。さらにファシリテーターが「保育園によっては事前に身元確認の取れていない人(両親や祖父母以外で、初めて保育園を訪れる人)が出迎えに行っても引渡してはくれません。また、病状によっては病児保育も預かってはもらえませんよ。あなたならどうするのかという意見を聞きたいのです」と食い下がると、「どうしても仕事が抜けられないので、電車で1時間半のところに住む義母に電話します」と答えたのだという。

この課長は、子育てを頑張っているとは言え”家庭生活”ぶら下がり社員である。

いちいち父母、義父母に支援を求めて行動に移すのではなく、夫婦の力で子育てできる社員がいないと、企業は生存競争に勝ち残れない。30歳前後は、ちょうど子育てに関する意思決定を求められる場面が増える時期である。この時期に子育てと仕事の両立に苦心している先輩を見て、果たして会社を、子育てを、その両方を魅力的に見ることができるだろうか。企業はいつまでたっても自律できない子どもを育てているようなものである。

恐ろしいことに、ぶら下がり国民は伝染病のような威力を持っている。

50代・60代のベテラン社員が「フライパンなんて持ったことないよ」と自慢げに話すのを見ても、その下の世代は「自分はああなりたくない」とむしろ反感を抱くだろう。会社人生の終着点間際で妻との家事分担の方向性も見いだせずに強がっている姿を見ても、それは自分にとって20年後、30年後の遠い未来には絶対になぞりたくない奇跡であり、それほど影響は受けない。その目はまるで伝染病患者でも見るかのようである。

ところが、組織の中堅である30歳前後が結婚の意思があるのに過重労働などで結婚できずにくすぶっていると、20代にとっては数年後自分もそうなるかもしれないと「近い現実」になってしまう。高速で渋滞が発生したときのように、前が停まっているからと次々とスピードをゆるめるかというと、そうなる前に結婚してしまい、子どもが先に生まれれば、少なくとも「今」は子どもがいない先輩に仕事を肩代わりしてもらって家庭基盤を築いていこうという気持ちも起こるかもしれない。そして今、新卒者向けの会社説明会等で見栄えのよい先輩社員として照会されるのは、ワーク・ライフ・バランスの取れた先輩である。

今の30歳より若い世代は小学校に入学した時点では男女雇用機会均等法(1985年)が施行済みであり、6・3・3と社会科や公民の授業を通じて女性は今後社会参画するものと習った。家事育児は夫婦で分担するものとして男子でも高校まで家庭科を習い、調理実習や裁縫に留まらず赤ちゃんの発達や消費者問題までをも修めている。(高校は1994年以降男子も必修)下の世代が家庭生活を重視し、会社の上層部がその傾向を「ワーク・ライフ・バランス」として良しとしつつ、その埋め合わせを「現場の努力」に任せれば任せるほど、40代から50代ほどの層で仕事が一向に減らずにフラストレーションが貯まる恐れがある。

かくして、組織にはピリピリ感が蔓延しているものの、トップがワーク・ライフ・バランスの号令をかけているうちに家庭基盤を築こうとする若手社員と、そもそも以前から仕事一筋であり、若手のワークライフバランスのしわ寄せで長時間残業することになる”家庭生活”ぶら下がり社員ばかりになる。

しかし”家庭生活”ぶら下がり社員が全社的な勢力となると大変だ。「休みづらい」「帰りづらい」の空気感から、仕事から目を逸らすことができない。

一度このような状況になってしまったら、そこから脱するのは難しい。ピカピカのみかんがびっちり詰まった贈答用のケースからは、一つ目のミカンに手を伸ばしづらい。箱の中のみかんが1つでも食べられて隙間があるとき、他のみかんは大層いただきやすくなる。

だからワーク・ライフ・バランスは訴求するだけでなく、まず誰かが行動に移し、できれば先輩が後輩の相談に乗ってあげられることが死活問題なのである。

これは決して大げさな話ではない。1割や2割の社員が妻に、父母に、ぶら下がっているのならまだいいが、数十人いる30歳前後の社員がみなこの調子で、”家庭生活”ぶら下がり社員の兆候が見られる企業のほうが圧倒的に多いのである。今や”家庭生活”ぶら下がり社員を抱えていない会社を見つけるほうが難しい。

当社のクライアントである不動産会社の総務部長は、「もっとも育成したいのは新入社員と30歳前後」と話していた。

「30歳前後は、結婚に考えが向きやすい時期だ。新卒として入社して5~6年もすれば、ある程度の仕事の基礎力はついてくる。そのうえで、自分はどの方向に向かうのか、どの山を登るのかを決める必要性が出てくるのがこの年代となる。その上で、どんな人と一生を共にをするのか。それとも結婚しないのか。これからの人生の方向性を決める重要なポイントとなる時期なのである」

彼の言葉のとおり、ビジネス人生の方向性だけでなく結婚も考えることが必要な世代なのである。この世代の家庭生活面のサポートこそ最重要課題であり、どう支援するかによって企業の将来は決まるのである。

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