GIGAZINEの求人について再度思った。あなたの仕事は蒸発しない。他の誰かがやっているだけ。
オルタナティブブログでもGIGAZINEに関するエントリがいくつも集まりました。
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これらを読んで新たに思ったことは「あなたの仕事は蒸発しない。他の誰かがやっているだけ。」ということです。
私はもっぱらシステムエンジニアとして稼働していたときも開発だけでなく営業も品質管理もするという感じでした。そのため、誰かに何かをしてもらうということがあまりなく、仕事は種まきしていないと無くなってしまうとか、品質は管理していないと落ちるとか、そういったことを実感する場面がありました。そしてコンサルタントとして稼働している今、より少人数単位で動く機会が多くなりその思いは一層強く感じられます。
反対に、大規模な情報システムの開発の場面はどうでしょうか。私の所属する企業や、これまでお付き合いをさせていただいた企業がこのような現場であるという意味ではまったく無く、これまでの社会人経験で交流させていただいた方から聞いた話などを中心に総合的に検討してみました。
すると、そもそも営業か誰かが取ってきた仕事ですし、進捗にしてもテストの結果についても報告を上げていると開発チームやら基盤チームやらに的確な指示が飛んでどうにかなるということがあります。そういった場面では多少自分の調子が狂っても二日酔いでも新婚旅行で休んでも全体の進行に影響が出にくいせいか、”仕事”の部分は適当に済ませて自分の好きなアルゴリズムを追求したりフレームワークを覚えたりしているほうが都合の良いという状況さえあるかもしれません。仕事が早い人に倍のタスクを割り振られ、しかも上司にそのことがよくみえていないという状況もありえそうです。(当然評価に影響はしない。むしろ自分でトラブルを作って自分で解決しただけなのに上司の心象がプラスなんてことも。)
しかしそういった場面でも仕事が再割り振りされた事実が「見えづらい」というだけで実際には誰かが代わりにやっているはずです。再割り振りだけでなく仕事の分担という意味で営業だったり品質管理だったりという役割の人がいるはずです。今日は999を録画してくるの忘れた、と思って1時間早く帰宅すれば、その1時間は自分でリカバーしない限りは誰かに負わされるのではないでしょうか?
また、「営業とSE」や「アプリと基盤」のような境界領域では、互いの縄張り争いが生じます。奪い合いならいいのですが押し付け合いのほうが多いですよね。他人の仕事の領域を「知らない」とか「責任がとれない」とか言って全然知らなくてもよいか、というときっとそうではないはずです。判断の分かれる部分は多いと思いますが、自分の仕事領域と連続する部分を意識して仕事ができれば、本来手をつなぎあうはずのその人達が助かりますし、そうでなければ互いに仕事を増やし合うだけです。
また、自分がわからない技術が出てきた時、誰かに聞くこともできます。全体的な仕事の進め方からすればそうしたほうが確実かもしれません。自分が知らなくて、誰かが知っていればその人がやったほうがいいでしょう。しかし自分が勉強しさえすれば同じようにできるのであれば、よほど厳しい予算管理を求められているのでなければチャレンジする機会と捉えることもできるはずです。果たしてその時間のためにプライベートを潰すかどうかということについては個々人の判断となると思いますが。
知識や技術のフォローの輪はうまく重なりあえばどんどん広がるものですし、失敗すれば悲惨なものです。ある技術が分かる人がごく少数しかいないと,その人がひっぱりだこになってすべての責任を負わされます。それを見ると「自分も学ぼう」という気持ちが失せます。それはその場面を見た人ならば理解できる光景と思います。もちろんまったりとした現場も数多くありますが、特に個人の体調とか権利のようなものは気にしないような場面というのもあるからです。
それがなぜ生じるかというのはよくわからないのですが、おそらく世の中には信用とか面目とか金利とか営業リップサービスという概念があり、例えばあるリリースがある日の朝9時に立ち上がらなければ原因のコードに携わったのが5,6人だったとしても1000人が泣くか笑うか決まってしまう約束があるからでしょう。そこまで緊迫していなくても、例えば営業10人アプリ30人基盤10人のチームでやっていたら、営業10人とアプリ30人の「俺の評価がかかってるんだよ」プレッシャーで基盤10人に3徹させるくらいのパワーはあると思います。ちょっとハーバード白熱教室みたいな感じですが。
そんなシステム開発の場面からすると、GIGAZINEさんの求人記事を見る限り、しょうもない仕事の押し付け合いや国境争いが起こっていたのではないかな、と思います。