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『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』で学ぶマーケティングのおもしろさ

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永井さんが『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』を執筆した経験について講演されるとのことです。

11月26日、『ビジネスパーソンのための出版戦略』講演会を行います

『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力(通称:朝カフェ)』ではマーケティングに関する基本的な事柄が主人公である久美の視点を通して説明されています。私は大学時代にマーケティングを専攻していたのですが、ゼミではこの本と同じように自分が担当者になった気分で勉強するというスタイルを取っていました。

マーケティングというのは新しい学問です。マーケティングの考え方が生まれたのが100年ほど前ですから、他の学問と比べると歴史がありません。そのためか、実際の企業がどのような行動を取ったかをお手本にして勉強したり、架空のケースで自分なりの戦略を立案したり、という勉強方法が取られることがあります。

自分の学生時代を振り返ると、そのための教材はどこにでも転がっていました。シャンプーでもお菓子でも、自分がおもしろい売れ方だな、と思えるものを選べばなんでも勉強の材料になりました。しかしその一方で財力に欠ける学生は市場シェアのレポートなどを好き勝手に買うことはできません。運良く学校の契約する資料検索サービスで見つかれば良いのですが、その一歩手前で「●●調査結果一式30万円」というような表紙を見つけるとがっくり、ということがありました。

また現実の世界の売れ方は非常に複雑な部分があり、ある働きかけがある結果につながったという因果関係が非常に難しいという部分もあります。また、そもそもマーケティング活動は価格や製品ラインナップなど表に見える部分だけでなく、裏側で秘密裏に行われる部分もあります。卸売業との協業強化、などは消費者側に伝わりにくいと言えます。

こういったこともあり、現実の事例というのは素材としては最高なのですが、学生が料理するのに必ずしも向いているとは言えません。そこでそういった場合には、現実の事例をシンプルにした「問題集」があると重宝します。しかしそのような便利なものはあまり見かけることがありませんでした。

朝カフェは問題集であり教科書でもあるという点でマーケティングの教材として非常に優れていると思います。法人マーケティングを題材にしているため、いわゆるマーケティングと言われて思い浮かぶようなシャンプー、化粧品、お菓子、ビールといったものは扱われませんが、法人マーケティング、消費者マーケティングに共通する基本的な考え方については網羅されています。

この本のストーリーは主人公の久美がライバル企業と争いつつ会計ソフトの販売をどう拡大していくか、というものです。この本を読む方はぜひ、この久美の会計ソフトをつぶすつもりの対抗策を考えながら読んで欲しいと思います。

私はその対抗策を考えながら読み進めました。そして対抗戦略を簡単にまとめて永井さんに「おもしろいねー」と言っていただきました。(オルタナの某氏も登場するストーリー仕立て。)その勢いで更に別の会社の参入を想定し、市場に食い込ませるというところまで考えてみました。このように頭の中で仮説、検証をするやり方が身につけば、実際の世の中の数多くの企業活動をマーケティング的に捉えることができます。

とはいえ「マーケティング的に捉える」というのはどのようなことでしょうか。例えば以前の日本の歯ブラシの市場はライオンとサンスターが非常に強い力を持っていました。そこにジョンソン&ジョンソンが「リーチ」という歯ブラシを投入します。既に2社も先行する強者がいる市場でJ&J社は自社のシェアを見事に確保するのですが、どのようにやったかご存知でしょうか。

J&J社はこのとき「歯磨き粉(練り歯磨き)」という商品を持っていませんでした。今もリステリンという液体のマウスウォッシュは持っていますが練り歯磨きはないと思います。一方でライオンとサンスターは練り歯磨きでも多くの売り上げを確保していました。J&J社は事前の調査で「日本人の口に対して巷で売られている歯ブラシのヘッドは大き過ぎる」という事実を把握していました。

ライオンとサンスターはこの事実を知っていたか、知らずにいたかはわかりませんが、J&J社は「もしわが社が小さいヘッドの歯ブラシを投入しても、ライオンとサンスターは練り歯磨きをたくさん載せにくい歯ブラシの投入には二の足を踏むだろう」という戦略のもとで奥歯に届きやすい形状をした歯ブラシを投入したのでした。結果は大成功をおさめ、昔と比べれば今も日本の歯ブラシのヘッドサイズは小さいままになっています。

洗面所に置いてある歯ブラシを見て、次はどのような歯ブラシが受け入れられるだろうか、と想像したり、身の回りに自社の得意分野を守るために別の分野に無理を強いている業界はないだろうか、と考えたりすることが「マーケティング的に捉える」であると思います。基本的には成功したり失敗したりした事例を横展開して考えると様々な発見があります。こういったやり方が習慣になると、洗面所で歯磨きをするときも無意識に歯磨き粉、歯ブラシ、ハンドソープと目に止まった商品について考えるようになります。

ケーススタディ型の本を学ぶことはこのようなメリットがあります。それにより身の回りの商品、サービスが今までよりもずっと魅力的に見えますし、そこで得たアイデアを仕事で活かす機会が来るかもしれません。

マーケティングは消費者のニーズを満たす商品を市場に送り出すことで満足を提供します。さらにマーケティング的な思考方法が身についた人は、身近な消費行動に疑問を持ったり、法則を発見したりして知的好奇心を刺激し続けることが出来ます。卒業してずいぶんになりますし、仕事もマーケティングとの関連が薄いですのでマーケティング的な考えをする時間はずっと減りました。それでもやはり空想する時間は楽しいものです。

私が最近気になったのはハロウィンです。なんでここ数年でいきなり流行したのでしょうか。ボジョレーヌーボーはすっかり定着しましたね。どんな企業が誰とどのように暗躍しているのでしょうか。毎年少しずつ売り方が違いますね。今年の売り場の装いが今から楽しみです。

Comment(2)

コメント

山口さん、
コメントありがとうございました。
山口さんが書かれたその後のストーリー、面白すぎます。(実は山口さん、小説家なのでは?と思っちゃいました)
シリーズ化、面白いかもですね。
考えてみれば、この本も、山口さんが「ボク達の世代向けに書くといいのでは?」とブロガー会議でおっしゃったのが、1つのきっかけなんですよね。
ありがとうございます。

ながいさん、コメントありがとうございます。
オルタナブログは様々な年齢の人が集まりますので私も学ばせていただくことがとても多いです。自分の同学年の様子を見渡すと我々ロスジェネ層はマーケティング、企画、商品開発などの仕事に華やかなイメージを持ち、あこがれる傾向が強いように思います。子供の頃や思春期の時代に何か象徴的な出来事があったのかもしれません。今後も背景を考えていきたいと思います。
朝カフェのシリーズ化(昼・夕・夜・深夜)に期待しております!

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