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シトリックスのクライアント仮想化技術で働き方が変わる

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シトリックス・ジャパン・システムズさんでクライアント仮想化についてお話を聞いてきました。

現在Citrixの持つ仮想化技術として基本的なものは

  • XenApp
  • XenServer
  • XenDesktop
  • XenClient

その中でも今日の目玉になったのはXenClientでした。そのへんに普通にあるPC(といってもCPUが仮想化を支援している必要くらいはあると思いますが。vProがいいのかな?)にハイパーバイザーをインストールし(またはホストOS+ゲストOSで)個人で使うOSと会社で使うOSを両方入れてしまったらどうだろう?というところがおもしろい製品でした。それに加えてアプリケーションだけのサービス提供ができたり、デスクトップ丸ごとのサービス提供ができたりと、それぞれに守備範囲の異なる4製品の組み合わせに大きな可能性を感じました。

個人と仕事のPCは物理で分割するのが良いことは言うまでもありません。仕事のPCは会社に置きっぱなしで持ち出さず、個人のPCは持ち歩くとしても決して職場に持ち込まない。それを守れば色々なセキュリティ上の懸念は解決すると思われます。

一方でそれによる不便も大きなもので、例えば通勤時間に個人的にネットをした人が会社にPCを持ち込めなくなると困りますし、仕事でお客様のところへ顔を出す行き帰りも仕事がしたい場面もあるかもしれません。もちろん最近の新型インフルエンザで在宅勤務のよさが見直されたように多様な働き方が見直されてきているということもあります。

そのように個人とPCの距離がぐっと近くなり、また仕事PCを使うフィールドの拡大ということもあり、PC上で準仮想化基盤に保護された区画の中で会社用OSを実行できるというのは非常に魅力的なやり方であるように思います。要件によりファイルの持ち出しやネットワーク接続先を制限し、ローカルHDD内には解読可能な会社情報が残っていないようにすれば会社PCと個人PCの区別を曖昧にすることはそう大きな問題ではありません。

言うまでもなく会社PCと個人PCの分別をつけるべき理由として大きなものの第一位は情報の無制限な持ち出しを避けることであり、それさえクリアできれば会社の外で仕事をしても問題はないように思われます。(これを「社用車でドライブに出かけていいか、と置き換えるともやもやとしたものを感じますがPCは社用車と違ってオイルやタイヤといったわかりやすい消耗品がないとうい違いは大きいかもしれません)

こういったことを他のオルタナブロガーの方と話し合ったりなんだのしていて今日は楽しい時間を過ごすことができました。2つおもしろいと思ったところがありまして、1つはCitrixが仮想化のブームにのって色々とやり始めたのではなく、これまで暖めてきた様々な技術的成果がコストダウンとネットワーク帯域の拡大というチャンスを捉えて花開きつつあるというところです。

もう1つはCitrix社に用意されているものが非常に「道具的」であるところです。こういった製品は「これさえあればなんでもいけます」「当社にお任せください」という状態でリリースされることが多くありますが、今回の勉強会で受けた印象としては技術的に合理的でおもしろいところまでつきつめて製品化しましたのでお客さまのところで工夫して使ってくださいというような姿勢です。

これは非常に重要なところで、永井さんの著作「戦略プロフェッショナルの心得」では、お客様は直径1インチのドリルの刃でなく直径1インチの穴が欲しいのだ、ということが書かれていました。

それと同じように、お客さまは仮想化がやりたいのではなくて1台のPCで何台ものPCの役割を実現してコストダウンがしたいですとか、何百何千台ものPCのOSインストールやプログラム配布の問題などから開放されたいという思いがあるだけです。SMBから巨大企業まで様々なPCの使われ方があるでしょうし、スクラッチの業務システムあり、レガシーなしステムあり、最新のモジュールが動いているシステムや、パッケージソフトの動くシステムもあるでしょう。もちろん純粋なHTMLのWebアプリケーションですべての仕事がこなせる人もいることと思います。

特定のトータルソリューションを導入することでもそういった様々な仕事を支えることはできるでしょうが、基本的なソリューションを提供して組み合わせをお客様側に委ねたほうがお客様がより積極的にIT戦略について考え、またITが経営戦略をフォローしていくような体制作りを促進していけるものと思います。

今はまだクライアントの仮想化技術も枯れてきておらず、ひょっとすると「0.8インチ」や「0.1インチの穴」しか開かないかもしれません。しかし1インチの穴を開けてもらうのではなくいくつかの道具の組み合わせでぴったり1インチの穴を開けることができる会社は2インチの穴も0.5インチの穴も開けられるようになるはずです。

クライアント仮想化が働き方を変えるかもしれない。そんなことを感じました。お招きいただきありがとうございました。

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