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stage6の閉鎖に見るサービスの終息

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情報システムが終息する際にはそのデータの行方に困ります。

企業で使われる情報システムの多くはデータベースにデータを蓄積していることと思います。中には計算力だけを提供するようなwebサービスのような形態であったり、出力はすべてテープやディスクや紙などに残してシステム内には保持しないようなものもありますが、多くはありません。すなわち長期間に渡って作成されたデータがシステム上に大量に保存されることになります。

しかしながらシステムにも寿命があります。第一にはハードウェアやソフトウェアから来る寿命です。これはバージョンアップや機器の入れ替えなどにより延命ができます。そして第二には情報システムそのものの寿命です。これはより優れたシステムに置き換えられてしまうものです。例えばこれまで掲示板とメールを中心としたイントラネットを運用していたところを社内SNSに切り替えるようなものです。

この第二の寿命においてはデータの行方が問題となります。移行する場合は新システムと旧システムでデータの互換性を保たなくてはなりません。旧システムのデータを読み込めることを条件に新システムを探すか、変換プログラムを開発するか、諦めるか、あたりが選択肢となるでしょう。自社で構築したシステムでは自分がデータを保有していますので取り出して煮るなり焼くなりできます。十分な費用と時間、そして設計書さえあれば移行ができない事例は無いと言ていいでしょう。

さて自分の手元にデータがないインターネットのサービスを考えてみると下のような終息形態があります。

終わりっぷり

  • 突然
  • 予告あり

機能制限

  • なし(サービス終了までフル機能を提供)
  • 順次縮小
  • 有料会員のみ提供
  • 現行会員のみ提供(新規会員募集終了)

後継サービス

  • 他のサービスの紹介なし
  • 他のサービスの紹介あり(移行なし)
  • 他のサービスの紹介あり(アカウントやデータなどの移行あり)
  • 他のサービスの運営母体に売却・統合(サービスは現状維持)

2月28日に閉鎖が宣告されていた動画サービスのstage6ですが、少しロスタイムがあったのか日本時間の2月29日夜間に閉鎖されたようです。サイトには別の動画サービスのveohへのリンクが貼られていました。ということはstage6のデータもveohに移行されたのか?と思いきやそういうことは無いようです。上のパターンに当てはめれば予告あり、機能制限は順次縮小(当初アップロードが制限され、その後2月29日にダウンロードも停止された)、他のサービスの紹介あり(移行なし)という結果でした。

このstage6の閉鎖っぷりは標準的なものであるように思います。予告する暇もなく突然のサービス停止というサービスも珍しくありません。少なくともアップロードを事前に制限した事は適度な追いやりだったようで、突然表現の場を失うという「難民」を減らす事に成功したと思われます。このような標準的な閉鎖っぷりと反対に、私が困った閉鎖事例を3点思い出しました。

  • 無料サイトスペースが消えてなくなった
  • 無料メールが送受信できなくなった
  • 無料URL転送サービスが転送時にスパイウェアを差し込むようになった

1点目はCGI設置可のサービスでしたので、サークルの掲示板のログを全部失いました。バックアップを取っていなかったのは痛いミスでした。2点目のメールについてはメールの送信すら止まったために「アドレス変更しますよ」という予告のメールも送れなくて困りました。3点目の転送サービスが一番最悪でした。関係者に周知しましたが、どれだけの人がスパイウェアを取り込んでしまったかわかりません。

このように迷惑をかけて閉鎖をすれば、運営母体が新たにサービスを始めると言われても信用ができなくなります。stage6においては閉鎖の仕方も思いやりが感じられましたし、また新しいサービスが始まる可能性もありそうです。その時はまた利用したいと思います。

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