新制度で高度区分の情報処理試験がちょっと簡単に
12月25日に情報処理推進機構から新試験制度のあらましについての発表がありました。
情報処理技術者試験 新試験制度の手引」-高度IT人材への道標-の公表について
(4) IT ストラテジスト試験(レベル4)
・現行のシステムアナリスト試験に経営寄りの事業戦略策定,IT 戦略実行管理・評価の分野を追加する。現行の上級システムアドミニストレータ試験の範囲を包含する。また選択問題として,組込みシステムに関する企画・開発計画策定・推進の分野を追加し,全体として出題範囲を拡大する。
・試験問題のレベルについては,現行のシステムアナリスト試験ではITSS のレベル5 相当を想定して出題していたが,IT ストラテジスト試験では試験問題で取り上げる題材の複雑性や規模を小さくするなど相対的な難易度を若干下げることで,レベル4 相当の試験とする。(6) プロジェクトマネージャ試験(レベル4)
・出題範囲は現行のプロジェクトマネージャ試験とほぼ同じとし,対象に組込みシステムを追加する。
・試験問題のレベルについては,現行のプロジェクトマネージャ試験ではITSS のレベル5相当を想定して出題していたが,新しいプロジェクトマネージャ試験では試験問題の題材として取り上げるプロジェクトの複雑性や規模を小さくするなど相対的な難易度を若干下げることで,レベル4 相当の試験とする。
システムアナリストとプロジェクトマネージャの試験の難易度が下がるそうです。一般論からすれば、問題そのものの難易度と合格率には関係がありません。問題がものすごく難しくても合格ラインを上げ下げすれば合格率も変動します。この資料だけではどの難易度をどうするということまでは読み取れませんでした。ニュアンスからすれば、合格者を増やすような印象を受けました。
これまで、旧資格区分はすべて置き去りにされて全員が新区分を受けなおさなくてはならないのではないか、という漠然とした不安があったのですが、こうして明記されると安心感があります。(かといって合格時の最大瞬間風速という過去の遺産にすがっていてはいけませんが)むしろアナリストとプロマネについては旧区分のほうが偉い気がするという司法試験のような改革になってしまいそうです。そういえば日本システムアナリスト協会は会の名称をどうするんでしょうかね。
他の区分、アプリケーションエンジニアやソフトウェア開発技術者は現行同等の難易度となるようです。唯一異なってくるのは初級システムアドミニストレータの生まれ変わりである、ITパスポート試験です。
(1) IT パスポート試験(レベル1)
・出題範囲は,ストラテジ系,マネジメント系,テクノロジ系と幅広い分野をカバーする。現行の初級システムアドミニストレータ試験の午前試験の出題範囲に基礎理論分野を追加する。
・職業人として誰もが共通に備えておくべき基礎的な知識を測る試験であることを考慮し,ストラテジ系,マネジメント系,テクノロジ系のいずれの知識においても基礎的な用語・概念などの理解を問うことを主眼とする。
なぜかITパスポート試験だけは特別に移行前後の関係が強調されています。
初級システムアドミニストレータ試験はIT パスポート試験のレベルを包含しており,初級システムアドミニストレータ試験の合格者であれば,IT パスポート試験の合格水準に十分に達している
IT業界に身を置く人だけでなく、全然関係ない会社の人でもITに詳しい事をアピールするために初級シスアドを持っているとう人もいると思います。そうした人に「ITSSとの関係で試験制度を見直します」なんていうのも少し悪い気がします。それもあってか、こうして新旧試験の関係性も強調されていますし、当初の移行スケジュールの見直しも発表されました。
平成21年度春期から、すべての試験区分を新試験制度で実施することとしますが、現行試験区分のうち、初級システムアドミニストレータ試験については、十分な周知期間の設定の要望等を踏まえ、平成21年度春期試験まで継続実施することとしました。
また、試験回数の増加などのメリットが大きいとされるCBT方式による試験は平成23年を目処に本格稼働するようです。
ITパスポート試験について、試験の公平性を確保しつつ、確実かつ安定的にCBT方式による試験を実施するためには入念な準備が必要であるため、試験開始当初はペーパ方式で実施した上で、平成23年度を目途に本格的なCBT方式の導入を目指すことにしました。
それにしても、リンク先の資料は全162ページ。読んでいたらブログにするのが遅れてしまいました。それでもまだ半分も読んでいません。高度区分の午後試験の問題もこのPDF冊子に比べれば薄っぺらいものですね。