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色鉛筆で書いた線は消えない

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鉛筆にはHBやBなどがある普通の鉛筆と色鉛筆があります。小学校の頃は色がたくさん入った色鉛筆を持っていると自慢できましたっけ。この鉛筆と色鉛筆はよく似た性質のものです。

  • 親指、人差し指、中指で持つ
  • 削って先を尖らせる
  • 紙にこすり付けるようにして線を引く

しかし、鉛筆の線は消しゴムで消えるのに色鉛筆の線は消えません。鉛筆の原料である炭素の粉は紙の表面に薄く貼り付く性質があるため、消しゴムでこすると剥がして取り去る事ができます。一方、色鉛筆の原料である各色の顔料はそれだけだと紙にくっつかないため、ワックスと顔料を一緒に練りこんで芯にしているそうです。このワックスが紙に浸透する事で色を定着させるのですが、深く定着してしまうため消しゴムに触れる表面の浅い部分だけ顔料を取り去ることができても深いところに色が残ってしまうんだそうです。

大まかな性質は似ているのに本質的な性質が違うため、小さい頃は混乱しました。特に黒色の色鉛筆を消しゴムで消せない事が不思議でした。世の中にはこんな感じで見た目が似ているのに性質が違うものがあります。例えば情報システムの世界ではAJAXなどの技術が進歩したことにより、クライアント上でプログラムを実行する”クライアントサーバ型アプリケーション”と”webアプリケーション”の見た目の差がほとんど無くなってきています。

webアプリケーションのほうがモジュール配布などの手間が少なくて運用がしやすいため、クライアントサーバ型のアプリケーションからwebアプリケーションに乗り換えるという事がよく行われます。ほとんど見た目が変わらないものができるため、機能も同じであるように感じるのですが、完全にそうすることは難しいです。例えばwebアプリケーションでは少し凝った方法を使わない限りは端末内にファイルを消したり作ったりする事ができません。

両者の見た目が似ているが故に、利用者からすれば「なんでできないの?」と思ってしまいます。しかしこれは色鉛筆が消せないのと同じ理由です。見た目は似ているのですが、裏側は別物だからです。

人生の節目に「人生は白いキャンパスのようなものです。これから素晴らしい絵を書いていってください」と言われることがあります。鉛筆で書けば後から修正ができますが、下書きに凝っている間に一生が終わってしまうかもしれません。いきなり色鉛筆で書けばきちんと完成するかもしれないですがやり直しはありません。気に入らなくてもそれが完成品です。消せる色鉛筆があったら良いのになと思いました。

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