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書評:「不格好経営」を読みました。

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1999年4月22日木曜日。
僕は第一回ビットな飲み会が開催される渋谷の東急文化村地下1階のカフェ「ドゥ・マゴ」に出向きました。
インターキューの熊谷さんに一緒に行こう!と声を掛けてもらったのです。
あいにくの小雨で中庭には出られない状況の中でしたが、会に集まったその数は、ゆうに100人以上いました。
ネットエイジの西川さんが呼びかけたこの会に顔を出した人の中に、後のビットバレー系・ネット系と呼ばれる中心人物の多くが集結していました。
!その中に、川田くんもいたのです。
ずいぶんと久しぶりでしたが、学生時代とまったく変わらない佇まい。
何年振りでしょうか。単純に計算して8年は経っていることになります。
彼は、リョーマの頃、東京で真田さんや今井さんが組織していた現役大学生による営利サークルSYNのメンバーでした。
新入学の大学生短大生のためのサークル情報誌OMO LOGUEを一緒に制作した仲間です。
「どーしたの?尚吾」  「加藤さんこそ!」
彼、川田尚吾さんはマッキンゼー&カンパニーの名刺を持っていました。あの有名な大前研一さんの。彼は一緒に来ていた友人の吉松くんを紹介してくれました。
僕は既にインターネット広告にポイント集中していた広告会社=日広を経営していることや、インターネットのベンチャーがいま渋谷を中心に集結しようとしている、というムーブメントについて話しました。
川田くんは熱心に僕の話に耳を傾けていました。そして「加藤さん、近々飲みましょう。実は新しいことを準備していまして。」
一週間もしない後日、僕らは宇田川町の奥の焼き鳥屋で逢いました。互いの近況の紹介も適当に切り上げ、さっそく僕は川田くんが準備しているという新事業についての説明をきいたのです。
もらった簡易印刷の名刺には、有限会社ディーエヌエー 取締役 とあります。
ネットオークションの事業会社を日本で新たに創る。
その為に、彼は4月でマッキンゼーを退職した、というのです。
「社長じゃないの?」
「いや、社長になる南場はまだマッキンゼーにいます。いま要職についてて、僕みたいに簡単には辞められないんです。」
ゴールデンウイークが明けて間もなく、僕は富ヶ谷の、代々木公園駅から程近いアパートの事務所を訪ねました。
そこには一緒にマッキンゼーを辞めたという後輩の渡辺雅之くんがいました。狭いアパートに貼ってある漫画の1ページの台詞にある『DNA』。そのDとNの間に小さくeの字が貼り付けてありました。
僕は再び、彼らがこれから取り組むというネットオークションの事業について説明をききました。
そして南場さんは無事マッキンゼーを退職。株式会社ディーエヌエーが8月設立されました。
株式比率は、34%が南場さん川田くん+数名の創業者グループ、ソニーコミュニケーションネットワーク33%、リクルート33%で創業されています。一株のバリエーションは25万円でした。
その4ヵ月後の12月、僕は同社にとってはじめてとなった第3者割り当て増資に参加しました。
このときの割り当て先は、日本テクノロジー・ベンチャー・パートナーズ投資事業組合やトランスコスモスなど。
増資による調達総額は7.2億円となりました。(一株あたりのバリエーションは法人組成時の6倍となる150万円でした)
その直後、2000年2月に第一期は閉じられ、最初の事業であるオークションサイトBiddersの開業。
で、同社はすぐに2回目の第三者割当増資を、今度は一株あたりのバリエーションを400万円まで引き上げて実施しています。その調達総額は13億円。
そのまま僅か一ヶ月後の2000年3月。第二期の決算が閉まっています。この時点での資本金+資本準備金の総額は、21億7000万円まで到達しています。
不格好どころか、まさに調達無双。
その後の分割、株主割当や資本準備金・資本金取り崩しによる欠損補填による累損一掃など、超絶テクを経て、南場さんの本書にもあるように、5期までの赤字を続けた果てのIPOに至っているのです。これぞ格好よすぎ経営です。
※ このあたりの経緯は、さらにはこちらの吉永康樹さんのCFO News 「DeNAの資本政策(2011年5月28日)」 に詳しいです。
僕はこれまでの20年で40社以上のスタートアップに私財を溶かしてきましたが、、こんなものすごい資金調達を当事者として視たことは他にありません。
この創業一年目の驚愕の調達こそ、がDeNAの軌跡の基盤になっているのです。
僕のスタートアップへの資本参画において是非判断の最大のポイントは、社長の人物、視座、志、です。
でも、これまでに一社だけ、社長と逢わずして、参画をきめた会社があります。それが、このDeNAでした。
実は僕、南場さんとは立ち話も含め3度しかお逢いしたことないんです。
その、あまりに魅力のある人物、COOだった川田尚吾さんについては他の機会に紹介させてください。
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