アマゾンを未だにネットの本屋とかショッピングモールの大きいのと思っている大企業経営者は手にして欲しい、サーバーワークス社のre:Invent 2018 Executive Report
日経に「チェーン店の時代の終結」というタイトルで、ファーストリテイリングの柳井さんのインタビュー記事が掲載れていたのをご覧になった方も多いかと思います。
まだという方はネット版を見てもらえばと思いますが、「アマゾン・エフェクト」に代表されるデジタル時代に消費や経済、企業はどう変化するのか?を日経が柳井さんにインタビューして編集した記事です。
「アマゾン・エフェクト」について検索すると、野村證券のページでこんな用語解説が出てきます。
インターネット通販サイト米アマゾン・ドット・コムの急成長に伴い様々な市場で進行している混乱や変革などの現象を指す。消費者の購買行動が実店舗からオンラインショッピングへと移行したことで、米国内の百貨店やショッピングモールが閉鎖に追い込まれるなど、既存の米消費関連企業が業績悪化や株価低迷に陥った。同社による買収や新規事業拡大の影響は他の産業分野にも及んでいる。アマゾンエフェクトで収益下振れが見込まれる小売関連銘柄約50社で構成される「アマゾン恐怖銘柄指数(Death by Amazon)」も設定された。
既存産業を破壊してしまう象徴としてウーバるであるとか、ウーバリゼーションという造語がありますが、これのアマゾン版と言ったところでしょうか。
さてご紹介した記事の冒頭、こんな感じで柳井さんの意見が紹介されていきます。
- これからの時代は情報産業とサービス業だけになる。
- デジタル化は消費者個々人の嗜好を生産に直結できる可能性を持つ。
- 製造から顧客まで、川上から川下までをつなぐエンド to エンドの姿に変わる必要がある。
- 中心概念はグローバル化とデジタル化
- ECと小売業が融合し、存在意義のある企業だけが生き残る。
- 店舗を標準化するチェーンストアの時代は終わった。
- 今度は小売業がデジタル企業を買うことも出てくる。(アマゾンやアリババ、テンセントがリアル店舗を買っていることをうけ)
記事のタイトルは、チェーン店とだけ書かれていますが、ポイントは「店舗を標準化するチェーンストアの時代は終わった。」がどのような領域に浸透していくのかではないでしょうか。
生活関連商品といったものを日本全国に行き渡らせるというような場面においては、標準化されたチェーン店がまだ必要ではと思える側面もあり、この変革の流れが様々な業界を、どのような形で飲み込んでいくのかはまだ分からない部分も多いと思います。
そして記事ではAIの話題から、革新を続けるアマゾンは脅威ではないか?という質問になるのですが、それに対して柳井さんはこう答えています。
「脅威だからギャーギャー言ってるの。アマゾンはショッピングセンター型だから、そんなに良い商品は提供できない。AIだけで採寸して、材質やシルエット、好みをつかむことはできない。そんなぴったりの商品はできない」
なにやら、ZOZOスーツへの批判?と思える言葉が気になりつつも、やはりいまでも「アマゾンはショッピングセンター型」とされていることにかなりがっかりしました。(たまたま話題が消費に関連する質問だったからかもしれませんが)
世の中にはアマゾンってネットの本屋さんだよね?という層もいらっしゃると思うので、書籍以外を扱うショッピングセンターという指摘も外れてはいません。
このインタビューではアマゾンが、ファッションサービスに拡張していることにも触れているので、純粋にアマゾンの通販だけの話をしていないだろうと思ってこの記事読んだのですが、そうだとすると前述した、
"中心概念はグローバル化とデジタル化"というこの基盤を支えるシステムであるAWS(Amazon Web Services)の脅威について言及がなかったのがちょっと残念でした。
柳井さんがAWSを知らないとは思えないのですが、ふと考えてアマゾンがAWSのサービスを提供していることを日本の大企業の経営者はどのくらい知っているのか?について興味が沸くと共に、少し心配になってきました。
AWSサービスは現在の時点で170を超えるものがあり、ショッピングセンターに関連する分野に以外に、こんなにも多岐にわたったサービスが提供されているのです。
- AWSサービス一覧(2019/01版) - Qiita
- AR およびバーチャルリアリティ
- ブロックチェーン
- カスタマーエンゲージメント
- IoT
- Machine Learning
- メディアサービス
- ロボット工学
- 人工衛星
さて、こちらの写真に写っているのは、わたしの会社のご支援先である、サーバーワークス社の大石社長が書かれた re:Invent 2018 Executive Reportという冊子であります。(弊社でDTPをお手伝いさせていただきました)
この冊子は米国のラウベガスで開催されているAWSの年次最大イベント re:Invent の概要をまとめたもので、基本的にサーバーワークス社のお客さま向けに配布されているものです。
もしアマゾンの存在をネットの本屋もしくは、ショッピングモールの大きいの的な認識の大企業経営者の方は、サーバーワークス社から取り寄せて読んでみることを強く推奨します。
クラウドは安全なのか?とか、基幹システムはまだオンプレでというようなクラウド懐疑論も当然まだ根強くあるかと思います。
ですが、そういう懐疑的な方にこそ、是非このre:Invent 2018 Executive Report に書かれているサーバーレスアーキテクチャーに関する提言を読んでいただきたいです。
個人的には、倹約や整理整頓、カイゼンで無駄の排除が大好きな日本の経営者にサーバーレスアーキテクチャーの、リクエストが来た場合にのみ課金が始まり、処理が終われば課金も終了するモデルは、こういう方々の思考パターンと相性が良いように思えるからです。
今日は日経の柳井さんへのインタビュー記事から、日本の大企業経営者のアマゾン像がどんなものかについて思考実験をしてみた訳ですが、アマゾンへの認識が、ネットの本屋であったりショッピングモールの大きいのというところで止まっている方には、こういう機械学習するラジコンカーをアマゾンが開発することで、ビジネス領域をいかに拡大できる可能性を秘めているのかを想像してみることをオススメしたいと思います。