第2回Pardotユーザ会にゲスト講師として参加させていただきました。学歴無し、社員経験無しから、制作だけでなく経営戦略やらマーケティング的な話含めの講演が実現するまでの4年間を振り返る。
ドリカムのバックバンドの仕事を失ってから、その後の生活を成り立たせるために四苦八苦していた時期があります。
同じパソコンで仕事ができるという点でMacで音楽を作っていたことが幸いし、1995年くらいからホームページを作る仕事を個人で開始して1999年には法人化を行うことに。
2002年に代表取締役になりここからも紆余曲折あった訳ですが、2009年にオルタナティブブログの当時の担当の方の好意でこちらの記事でわたしを取り上げていただきました。
このあと同年代だった仕事上の知り合いが転職活動をしたところ専門学校卒のため面接も受けられず困ったという話に出くわします。この時期は単純に制作するだけでは価格競争に追いつめられるという危機感もあり、経営戦略やマーケテイングを学ぶ必要性を痛烈に感じた時期でもありました。
このような背景から、47歳で産業能率大学の情報マネジメント学部、現代マネジメント学科という通信教育課程3年に編入することを決意します。
インターネットが普及し始めた時期に会社を創業したときと同じように、このときも運よく世の中はマーケティング・ブームが到来しつつある時期でITmediaマーケティングでこんな連載をさせてもらう機会も得ました。
このあたりからわたしの人脈は、クラウド関連のテクノロジ・ベンチャーの経営者の方々やBtoBマーケティング業界の方面の方々と知り合う機会が増えていきます。
現実問題として、懇親会のような場所で、普通に名刺交換すると「どんなことやっている会社ですか?」というところから会話を始めると、うちのような零細会社は全然会話が続かないというか、相手が興味を持つ存在ではありません。
ですが、これまた運よく、わたしの経歴は音楽好きな方々とはいろいろな話ができるので、どなたか知り合いがわたしの経歴を補足してくれると急に世界が一変しはじめます。
こんな幸運にも恵まれ、わたしのfacebookにはSalesforceやIBMのSoftLayerに関連するのベンチャー経営者の方々であったり、日本のBtoBマーケティングの業界において著名な方々と繋がりも持つことができています。
先ほども申し上げたとおり、単純制作の仕事だけで食べていくことに危機感があったので、これから自身の仕事や会社の存在価値を高めるためには、専門性をアピールするために商学の博士号を取ったほうが良いのか?などなど、かなり悩みました。
大企業に勤めて事業会社側でのマーケティング経験などがあれば良いですが、バンドマンにそんな経験があるわけもなく、、、
ただ振り返ってみると、
バンドが売れるためにはメンバー、楽曲、音楽・ファッションスタイルなど様々な要因が絡み合います。
バンドだけでなく、スタジオ・ミュージシャンとして音楽活動で生き残るためには、座学ではなく、4P始めマーケターとしての素質が少なからず求められると思うのです。(学校で4Pならうまでは、まったくこの辺が学問とは連携しませんけど)
モノとして同じCDを買ってもらう工夫、ライブでの顧客体験をいかに最良なものにしてもらうかを工夫していたドリカムのデビューから現場を経験したことは貴重な体験ですし、日本ではじめて300万枚を売り上げ、当時の日本のCDアルバムトータルセールスの記録を更新したアルバムに参加できたことは圧倒的な差別化要因だと思います。
そして、新規顧客も大事だが、ファンサービスの本質についても音楽業界で体験済なわけです。
ですので、これらの経験を学問的に確認するために大学院で学び直したいと考え、社会人大学院に入学してMBA取得を目指すことにしたのが2年前でした。
ここからの2年間は平日は19時からと土日は朝から学校があるため残業をしない会社の仕組みを作り上げることが必要でした。(この辺の働き方改革に通じる話はまた別途書きたいと思っています)
経営者と制作者、そして学校のやり繰りはやはり簡単ではありませんでした。
自分の忙しさのためにいろいろご迷惑をお掛けしてしまい疎遠になってしまった方もいて、このような方々にはお詫びを何度しても足りないと自覚しています。家庭と仕事の両立の面においても、家族に沢山助けてもらいました。
2月7日に大学院から修了の連絡をもらうことができ、9日にはSalesforce社が提供するマーケティング・オートメーションPardotのユーザ会でゲスト講師をさせていただく機会をいただきました。
ここでの講演テーマは「Pardot活用に欠かせないCMSもクラウド型の時代へ」と題し、開発ベンダーがインフラ含め提供してくれるサービス型CMSとしてのMovable Type クラウド版、MovableType.netのご紹介から、異なるユーザの事前期待に対応するにはCMS、MA、CRMは心強い味方だよ、という話を満員のPardotユーザさんの前でさせていただきました。
原因と結果には必ず時間的な経過が伴うというのはロジカルシンキングで習うことですが、わたしも大学編入を考え出してから4年が経過しました。
この時間が遅いか早いかはいろいろ考え方があるかと思いますが、単なる制作ではなく、経営戦略的な側面やマーケティング的な観点で、自身の経験、実績と学問的な知見も含めた発表の場としての講演機会をいただき本当に感謝しています。
自分のオリジナリティをどう活かしていくのかは今後の課題ではありますが、ここまで支援してくれた、職場、取引先の皆さん、学校の先生や友人、論文執筆にあたり協力いただいた方々にお礼を申し上げます。
そして家族の支援、恥ずかしいですけど奥さんの後方支援がなければ続けられなかったと身に染みて感じてます。
学校行くのは勉強することだと思いがちですが、上手くことばで表せないですけど、わたしにとって社会人大学院経験は、普段当たり前のように思っていたことが、様々な要因が絶妙に組み合わさって成り立っている「有難(ありがた)い」状態だということを気づかせてもらったことだと感じていて、やはりこれは一生ものの財産だと言える訳です。
皆さま、引き続きよろしくお願いします。