あの大宮の夜から1年が経過して…
ちょうど1年前に谷川さんと、ばんちょ~という3人で大宮のラーメンパブで相談した事があります。
それは主義主張がめちゃめちゃハッキリしていた高橋さんのブログはきっと体調が悪くても、自分の思いをちゃんと伝えたいというブログだったんだよね…と我々のあくまで想像の域を出ない話ではあったのですが、いろいろ状況を察するところから想像できることを繋いでいくと高橋さんのエントリの重みにしばし3人が圧倒されて黙ってしまう場面もあったほど。
そんなこんなで話が進むうちに、そういう本気なモノというか、触れると切れそうな実在感というか、良質・本物ではあるけどまだ世に知られていないものを広める事が出来たらいいね…というような展開になり、もしかして普段結構な数のエントリを書き、こういうブログコミュニティに属していたりするとか、仕事として記事を書いたり、キャリアのカウンセリングが出来るとか、制作プロデュースが出来るとか、こういう自分達の特性を活かすことで、自分を出版したい人を助ける事ができるんじゃなかろうか?という話に発展したのが1年前。
歩みはとってもゆっくりではありましたけど、相談を重ねるなかで自伝・自分史・自費出版・自主制作などなど様々なキーワードが出ては消えしていくなか電子書籍というキーワードがiPad出現以降注目度合いが高まってきて、そこから電子出版というワードに行き着きました。(この辺の取り組みについては別途またエントリ化を予定しております)
自分を表現する(出版して世に広める)という行為自体は本を出すでも、音楽CDを作るでも、写真集を出版するでもその形はなんでも良くて、それらの費用もアナログ全盛時代に比べたら圧倒的に低価格化が進んでいる訳ですが、残念ながら低価格でリリースできるように進化したから、それに合わせて自分の才能が開花し、どんどん作品が出てくる…という事にはならない訳ですね。
ほんとテクノロジの発展したイマドキネット社会においては、情報を発信するだけなら簡単にできるけど、そこを作品・記録として見てもらえるように仕立てるには色々な工夫や努力も必要。
そして作ったものを多くの人に見てもらうためにはソーシャルメディアを使って自分の作品とパーソナリティを伝えていく事も当たり前な時代ですし、伝えるためのツールの選定やら活用方法もその時々で変わってくるので、コンテンツとなるモノを創る人とプロデュース(編集)する人の共同作業という事の大切さへの理解がもっと深まることが結構大事なポイントではないか…などと改めて考え直している今日この頃。
自分を例にすると高校時代はコピーバンドでしたけど、当然世の中に認めてもらうために作品を創る必要があったのでオリジナル曲を演奏するバンド活動もしてました。それがスタジオなりセッションの仕事をするようになってからはオリジナル作品を残す努力を自分は怠っていた為に、気が付けは誰かに依頼されて演奏した曲以外に自分の作品と呼べるものが無い状態…というかなり恐ろしい状態になっていた訳です。
ただこれは才能あふれる人に囲まれ、自分がリーダーアルバムだせる訳ないって考えていたことや、その当時からディレクションのほうが自分の気性には合っている感じがしていた…という事もあるのでその辺の路線変更が上手く行ったか、ダメだったのか…という話でもあったりはするのですが、デジタル製品が自分の仕事領域を浸食してしまって仕事がどうもうまくないな…と悩んでいる人の多くって、自分の経験も踏まえつつ職業人として依頼された仕事は沢山こなしているけど、本質的な意味の自分の作品をコツコツ貯める努力をどっかで辞めている人だったりするような気がしてます。
一介のプロとして食べていくには、コンスタントに作品を作り出す能力が必須ですが、本当の創作・創造者って、そういう枠からもはみ出していますよね…
なので、納期や各種制約を守りながら、ちゃんと数を生み出していく職業作家としての仕事のやり方への理解はしてますという前提のもと、仕事して食べていくために、取引先やら会社での人間関係とかいろいろ気を使い、気に入らない事があっても今後の仕事に響くから…と場を取りなす人生が当たり前になっていたり、挙げ句クライアントのいいなり作品を自分の作品として紹介するしか無いような状況ってどうなのよ…と自問したりして
7月はわたしのブログも宮崎さんに関するエントリでこれまで経験した事が無い程のアクセスがあったのは最初は嬉しかったのですが、冷静になってみるとその騒ぎの中に自分は居ない訳ですよね…そうあくまで「宮崎監督」という有名人が発言した事が重要なのであって、伝えているわたしは関係ないのです。
ですから、GIGAZINEの求人の件で山口さんから「ささきさんの経験からの一言が聞きたいなと思っておりましたので」とコメントもらって心底嬉しくて、やはりこの「平凡でもフルーツでもなく、、、」は私を伝える・表現するチャネルとして手放すことが出来ない存在という事を再認識させてもらいました。
今日はこんな話題のニュースがあったけど、佐々木はどう書いている?とか、このネタを佐々木はどう書いている?って訪問してくれるユーザさんと繋がりながらこのブログを地道に続けていくことが、いろいろな意味でこれまで自分に足りなかったことや失敗した事の穴埋めだったり、自分の人生のひっかかりを解いていくにはそれしかないかな…と思いつつ、こういうきっかけを与えてくれた高橋さんにはまたお礼を言わねばいけません。
ありがとうございました。