「ポリティクス・マネジメント」力を磨こう。
PMBOKにはこんな機能定義はないですけれど、自分的には、「コミュニケーション」とはやっぱり違う、新しいマネジメント機能の定義が必要だなあと最近感じています。
自分にとってステークホルダーかどうかに関係なく、
自分との位置関係(上下関係や取引先)に関係なく、
それぞれが「自身の思惑」によって言動しているわけです。
自分の管理範囲における「チーム・マネジメント」や、
自分の責任範囲における「ステークホルダー・マネジメント」の作法ももちろん必要です。
ただ、全てのポリティクス(駆け引き)に自分が関われるわけもなく、しかし存在は頑張れば知ることができる。知らなければそのレベルでできることをやるだけなのだけれど、知った以上はうまく全体最適をはかりたい。
広範囲に知り得たポリティクスのマネジメント、とても重要だと思います。
これはPMBOKの定義とは別次元の、ある意味上級な付加価値的機能と、私は考えています。
少々局所的ですが一例を。
ある時、或るクライアントがそれまで進めていたプロジェクト計画策定作業において、次工程の本質的WBSレビューより、以降の費用見積もりやリスク評価等の一部分にフォーカスを強めたとき、
普通に視野を持つ、ちゃんとした能力あるサポート役は、
「そればかりやっても、本質的な作業計画が練れてない中で見積もりだけ精緻化しても、意味がないでしょ」
と思うはずです。それも間違ってない。ただ、
そのクライアントは、多分に費用面で丁寧な準備のもと遅滞なく稟議を通して次工程を遅れなく始めたい、ということがその時点で最も重要なタスクになっている可能性もあるのです。
それが否決されたら全てパーです。
プロジェクト終了もしくはリプラン。それは嫌だから、通常の理論とは違うけれど、今回はこれだけは最優先でやっつけなければ。そういう思考のときだってあります。
理論に照らせば間違っているようにみえても、今リアルに展開されているプロジェクトにおいて、それがやるべき(=正攻法)タスクであることがあります。
それを理論ベースに乱暴に戻したら、そのコンサルタントはやっぱりバカだと思います。
人間もプロジェクトも生き物だと思います。理論のリスペクトは大切だけど、それを現実にどうアレンジするかを考えるのが僕らの仕事。
そこで企画をつぶすことなく前に進める(=稟議を通す)ことが関係者にとって何よりのHAPPY。企画には反対者だっていることもある。普通の理論が通じない変な意見者、権力者にも嫌でも気を遣って障害を乗り越えハードルをクリアしていかねばならない。
理論的には間違っていても、今は諸条件からこれを最優先する以外に最悪のリスク・ヘッジが成り立たない。だから、それでも(間違っていると言われようと)俺はやる!そんなクライアントの判断をどうして全否定できましょう。
私達が御仕えしているクライアントは誰なのか?企業として、組織として、そして人として、誰が自分のクライアントなのか?ステークホルダーはもちろん、敵対者や便乗者等、どんな人が周辺にいるか?
その答えが明確ならば、法務や倫理に背いたことは御法度だけれど、一般的マネジメントに沿っていなくても種々の事情あってこそ、
それはそれで当然に達成させて、且つ理論からできるだけ逸脱しない形にうまく纏め上げさしあげるのが、僕らコンサルタントの仕事なんです。
このテーマ、まだまだうまく書ききれてない、伝え切れてないなあと思いますので、今後不定期になりますがシリーズ化して、時々事例交えて理論を纏め上げようと思います。